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「問い」を作る力はどこから生まれる?

「問い」を作る力

考えてみると、これって、どこからくるのでしょうか?

私たち昭和世代は学校で常に答えを探す訓練を受けてきました。
いわゆるテストと言うものはすべてそうでした。
先生が正解を持っています。
それを当てると◯がもらえる、当てられないと✗。

水が溶けると何になる?

そう言えば、有名な話ですが、氷が溶けると何になる?
という質問に、「春になる」と答えた子どもがいて、もちろん、✗でした。
答えは「水になる」が正解。
なんと、当たり前過ぎて夢のないことか・・・・

その話を聞いた時、なんて豊かな感性の子供だろう、と感動したのを覚えています。
でもそういう素晴らしさをどんどん✗で潰して行くのが、私たちが受けてきた教育でした。

質問されると意識は外側へ

挙句の果てに私たちは、質問されるといつも、質問した人の持っている正解を、探そう、探そうと無意識に心が外側へ向かい始めます。

そして◯の答えを見つけるとホッと安心する。「よし、OKだ」と言ってもらえるから。
質問されると身構えるのは、そう、どこかで評価されていると感じているからです。
相手の期待する◯の答えを、自分がちゃんと言い当てられるかどうか、そればかりを気にするから。

でも、サポーティングの「質問」は全く意味が違います。

サポーティングの質問とは

相手がもしかしたら忘れている、でも心の奥底にちゃんとある思い、それをいっしょに探しに行く。もしくは二人の間にある、まだ誰も言語化したことはないけれど、大切な答えを創造する。
そんな質問を、サポーティングの質問と呼んでいます。
相手をサポートしたいと思った時の質問です。

少なくとも前述の学校の先生のような、評価のための質問とは異なります。

ただ、サポーティングの質問は、どんな答えが返ってくるか全く予測がつかないので、聞いた側は相当な覚悟が必要です。
氷が溶けたら何になるかと聞いて、春になる、と答えた人に対して、たじろがずに、ほう〜!と言えるかどうか、ちぇっ、バカバカしいという顔でジャッジしてないかどうか。

それを答える側は答える前から見抜いています。
だから、自由な答えはなかなか出てきません。

サポーティングの質問とは、
へんなことを言って笑われないか、
こんなことを言うとどう思われるだろうか、
そういう相手の恐れや不安を、まずは取り除くことが必要です。

何を言っても大丈夫、それぞれ異なる意見や新しい考え方、感じ方の中から互いに学ぼう、という相互影響力を信じる意識が必要です。
そして、自分もわかっていない、でも仲間と自分にとって考える必要のある「問い」を共創する力が必要です。


「問い」を作る力とは

でも、どうやってそんな力を培うのか?

最も早い方法は、自分がそんな「問い」を受ける体験をすることだと思っています。
「問い」を受けてみて初めて、うーん・・・・と頭を絞り、頭に汗をかいて考える、
どこにも当て物の正解のない質問を受ける、そんな経験をしてみてはじめて、サポートスキルの質問の意味が体感できます。

私の体験

私はもう20年ぐらい前、そんな体験をしました。
ある年に出会った新しい上司が、そんな質問を私に1年間、し続けてくれました。

「ふくたにさんにとって、理想の仕事ってどんなの?」
「どうするとこのチームがもっとイキイキするかなぁ?」
「何をしていると、生きてる実感がある?」
「メンバーが自発的に動くために、何があったらいいと思う?」
「ふくたにさんが、今一番やりたいことは何?」

などなど。
どれもこれも、すぐに答えられない、一瞬、へ?という感じだったけれど、
上司はいつもニコニコ、考えておいてね、僕も考えてみるね、と。
会うたびに彼は、そんな質問を私に1年間、し続けたのでした。

その時すぐ答えられなくても、彼の質問はずっと私の頭に残っていて、何かの瞬間に、ああそうだ、きっとそうに違いない、と思いつくことがありました。

「あのぉ、この前の質問ですが、こんな工夫をするとチーム全体が主体的になるかなぁと・・・」
上司に伝えると、いつも彼はこう言いました。

「おっ、いいね!それ、やろうよ」

そしてその上司がいた1年、私の仕事上のパフォーマンスは、どの年度よりも最も上がりました。

まさに人をサポートするための質問を受け続けるという体験をしたのでした。
実はその時まだ、私はサポートスキルなど何も知らなかったのです。

ただ、その上司の質問が、どうやらこれまでの人がしてきた質問とは全く異質のものだということ、そしてその質問のおかげで、自発的に考え始める心地よさを、私はたしかに実感していました。

後にコーチングスキルを学んだ時、あ、あれだった!と思い当たるほど、その質問は他の誰からも受けたことがないほど、際立っていたのです。

コミュニケーションとは理屈を学んでわかるものではなく、体感して覚えるものです。

あなたがこれまで、もしかしたらあまり受けたことのなかったサポートスキルの質問、体験してみたいとは思いませんか? 良かったらコメントをお待ちしています。

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