M@STER SPARKLE 07 感想

 やつと07まで来ました。ライブの記憶も適度に薄れてきて新鮮に聴けるやうになつてきたかも。
 1曲目から亜利沙で飛ばしてゐるやうに見えて全体で見るとまとまりのあるアルバムだと思ひます。このアルバムには思ひ入れがあるのですが特に可憐の『教えてlast note...』は担当といふことを差し引いても出色の出来だと思つてゐます。では毎度のごとく1曲づつ。

何光年先だって大丈夫。松田亜利沙『Take3.2.1→S・P・A・C・E』

 冒頭の「宇宙、それは……」の台詞だけで笑ふのですけど、亜利沙らしいハイテンションな曲調の中にアイドルの煌めきを届けてくれるアッパーチューンは期待を裏切らずむしろ堅実ないい仕事ぶりを感じさせます。要所で声の伸びを見せて、単なる色物枠に留まらないところを見せてくれるのもよい。ネタもマジもいつぱいに詰め込んだキラキラのアイドルソングです。

ときどき、手を繋いで。中谷育『ときどきシーソー』

 個人的にこれ滅茶苦茶沁みます。いつも背伸びして「大丈夫だよ」「心配ないよ」と強がる育が、それでもときどき振り返つて「一緒に乗ってね」と声を掛けてくる、そんな景色が浮かんでくる感じ。歌の表現力も相俟つて絶妙な「育らしさ」が伝はつてきます。シーソーは1人では乗れないから、誰かと一緒でないといけないんだけど、それも「ときどき」といふ辺りがまた育ですよね。「あれこれ ごにょごにょ話そう」のところとかも本当に好き。

マフラーの毛玉は頑張つた証。木下ひなた『スノウレター』

 幼い頃の雪だるまによせて、自身の夢を語るしつとりしたナンバー。「憧れ 好きって気持ち」を雪だるまのやうに積み重ねていつか夢に届くやうに、と願つてゐるのでせうか。それは憧れだけでは届かない場所だけれど、雪だるまのビー玉の瞳が見てゐてくれるから頑張れる、ひなたらしい「のんびりとした頑張り感」がよく表れてゐます。「とろくさくっても、一歩ずつ進んでいくんさ」といふ台詞が聞こえてきさうな1曲です。

誰よりも強い気持ち。篠宮可憐『教えてlast note...』

 もうこの曲はね、「篠宮可憐」ですよ。「可憐つてどんな子?」と訊かれたらまづこの曲を聴かせたい。アッパーなダンスチューンに乗せたか細くも芯のある歌声、可憐自身のモチーフとも言へる「香り」を主題に「私変わりたいんです」と振り絞る決意表明。一見不協和にもなり兼ねないそれらの要素が高いレベルで融和して「篠宮可憐」を表してゐます。「成長したいの」と言ふけれど、「誰よりも強い気持ち」と言へるまでに成長した可憐のことを考へるだけでもう。単純に曲としての完成度も高く、ちよつとレトロなダンスナンバーが好きなら必聴です。

この手信じたもん勝ち。所恵美『Hearty!!』

 トリを飾る恵美の曲は『アフタースクールパーリータイム』からの系譜を思はせる軽快なポップチューン。ASPTほどの中毒性は無いものの、恵美の人情家な部分をフィーチャーして「心の込もつた(hearty)」温かみを前面に出した曲になつてゐます。ブラスの盛り上げも一役買つて、「みんな」と一緒の「Magic Time」を演出してゐる感がありますね。そんな曲調もあつてか、歌唱も一層エモーショナルに、温かく聴こえます。

 1曲目の亜利沙でまづ飛ばして、その後に育、ひなたで少しクールダウン、可憐が再び盛り上げたところを恵美が引き継いで〆る、それぞれの曲が引き立つかなり理想的な構成だと思ひます。単純に可憐の『教えてlast note...』推しといふのもありますが、結構お薦めの1枚ではないかな、と。感想を書くために改めて聴いてみてそんな印象を受けました。いやまあお薦めと言ふなら全部お薦めなんですけどね。

 MSシリーズは次でラスト。まあのんびりやつていきます。

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