M@STER SPARKLE 05 感想

 随分遅れて05の感想です。今回は(も?)アイドルの年齢層も曲調も幅広い1枚。それでも取つ散らかつた印象は無く、巧く全体がまとまつてゐますね。04ほど振り切つた電波曲は無いにしてもよくまとめた感があります。
 ではいつも通り各曲の感想を。

大人の服を着た子供の気持ち、受け止めて。百瀬莉緒『Border Line→→→♡』

 莉緒姉の新曲はビッグバンド風のトラックに乗せて片想ひの切なさを歌ふナンバー。莉緒姉いつも片想ひですね、といふのはさておき、大人びたオケの上で「大人の服を着てる 子供なのよ」「恋に恋をしてる」と歌ふ辺りのアンビバレンツが莉緒らしい。過去曲の『Be My Boy』、『Why?』が歌詞に織り込まれてゐる辺りも憎いですね。小道具がメールからSNSに変はつたのも時代でせうか。「子供」と言ひつつも歌声の切なさは大人ならではのもの。セクシーです。

小さな幸せを響かせて。宮尾美也『ふわりずむ』

 美也らしいふんわりとした曲調ですが、注目すべきは「前だけ見つめて 進むと決めたから」といつた強い意志が見えるところでせう。のんびりふわふわだけが美也ではない、雨のち雨でも傘を広げて歩いてゆく、だからといつて必要以上に力を込めたりもしない、そんなしなやかな強さを垣間見せるところが実に「宮尾美也」だと思ひます。ドラマティックでなくても、のんびりしてゐても、その奥に真つ直ぐ歩く強さと情熱を秘めてゐる、美也らしい、いい曲です。

たのしーぞ うれしーぞ。大神環『たんけんぼうけん☆ハイホー隊』

 これは環ですね。子供ならではの瞬間を全力で楽しむ感じ。何の裏も隠れた意味も無く、「たんけんぼうけん」に全力(まあ本当に熊に出会つたら危ないんですが)。全力全開で童心をぶつけてくる歌声もすごい。落ちサビでもテンションが落ちない辺りとか面白いなあ、と。これはこちらも全力で乗つかつて楽しむのが正解でせう。あんまり言ふことは無いです。ライブでは盛り上がりさうだなあ。

切り札そろそろ見透かして。真壁瑞希『Silent Joker』

 瑞希の新曲は今までのソロとは毛色の違ふアッパーなテクノビートが響くクールな曲調。ゲッサンを経てLTFでの『Raise the Flag』でハードな曲もこなせると証明してからのこの曲で「クール・マカベ」を確立した感がありますね。ただ歌詞は意外と(?)前ソロ2曲を引き継ぐ恋する乙女心。伝へられない気持ちに気付いてほしいと歌つてゐます。注目すべきフレーズは「月が美しい夜ですね」でせうか。百合子のお株を奪ふ文豪(漱石)オマージュは乙女ストーム!随一の成績優秀者ならでは、と思はせるものが。不器用な声無き声(Silent Voice)が届く日はいつになるのでせうか。

ともに生きる喜びを咲かせて。エミリー スチュアート『はなしらべ』

 大和撫子を目指す英国少女、エミリーが歌ふは雅びやかな和の心。箏の音をフィーチャーした和の雰囲気溢れるオケに、流れゆく刹那と生命の美しさを瞳に焼き付けるやうな歌詞、ゆつたりと歌ひ上げる声もまさに大和撫子。雅に御座います。とはいへエミリーもまだ13歳、完璧な優雅さではなく、幼さも声に表れてゐる辺りがまた良きです。13歳の幼気さと大和撫子の優雅さが同居したギリギリの線を攻めてゐる辺りにプロの仕事を感じますね。現時点での「エミリー スチュアート」を見事に表した1曲だと言へるでせう。

 全体としてはやはり流れの良さを感じます。各曲それぞれに個性がありつつ繋がりが良い。特に〆の『はなしらべ』はいいですね。大人と子供のアンビバレンツを曲調で見せる『Border Line→→→♡』、クール方面で攻めた『Silent Joker』も見逃せません。まだまだミリオンスターズの可能性は広がると感じさせてくれます。ミリシタも盛り上がつてゐるし5thライブもあるしいろいろ楽しみですね。まあ残りのMSシリーズについてもその辺とはあまり関はり無くのんびり書いていくつもりです。

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