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北朝鮮の衛星打ち上げ予告 主役は別だ

11月21日、北朝鮮が偵察衛星の打ち上げ期間を予告しました。22日から30日までの間だとしています。これまでの例からいうと、天気がよければ迷わず初日からでも打ち上げると思われます。
北朝鮮は2回続けて打ち上げに失敗していて、今回が「三度目の正直」となるわけです。

ただ、今回の打ち上げで最も注目すべき国は北朝鮮ではありません。

韓国です。


偵察の確かさ、警告の厳しさ

もともと北朝鮮は2回目の打ち上げに失敗した直後に「10月中にまた打ち上げる」と宣言していました。「有言実行」を是とする体制なので、日米韓3か国は10月の間ずっと警戒を強めていましたが、何も起きませんでした。

北朝鮮が「有言不実行」となった理由は、当初考えていたより技術的な問題が多かったということでしょう。
とくに金正恩総書記がロシアの宇宙基地を訪問してプーチン大統領と会談したことで、ロシアの科学者たちが北朝鮮にどれだけアドバイスをしたかが注目されました。ただ、「ロケット打ち上げの手助け」は表向きで、実際には北朝鮮が別の軍事的支援を求めたという見方も根強いです。

ロシアの科学者たちが北朝鮮の研究所に行って合同で今回の準備にあたったのなら、ロシア側が多くの技術的な問題をみつけ、打ち上げが遅れたのでしょう。もし後者(実際にはロシアからロケットの支援はなかった)なら、北朝鮮が自力で問題を解決しようとして難航したことになります。

いずれにしろ、しばらく音沙汰がなかった北朝鮮ですが、韓国軍はアメリカ軍とも連携して、かなり正確にその動向を把握していました。
申源湜(シン・ウォンシク)国防相は19日に公共放送KBSの番組で「今週のうちに、あるいは30日の月末までに打ち上げる可能性が高い」と明言。北朝鮮が打ち上げ期間を予告する2日前にそれをメディア用語でいう「前打ち」して、的中させてみたのです。

そうした偵察の確かさに加えて目を引いたのは、打ち上げをやめるよう求めた韓国軍の警告、そのメッセージの厳しさです。20日、軍は北朝鮮に対し、打ち上げが実施されれば「軍は国民の生命と安全を保障するために必要な措置を講じる」と述べました。

韓国軍のいう「必要な措置」こそ、今回の衛星打ち上げをめぐる最大のポイントだと思います。北朝鮮は、実は引き立て役です。

南北軍事合意の効力停止か

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