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台湾総統選と「釈迦の頭」

台湾総統選挙の投票(2024年1月13日)まで1か月となりました。
前回(2020年)は現職の蔡英文氏が圧勝で再選されましたが、今回はかなりの接戦になりそうです。現時点でのポイントをサクッとみましょう。


候補者たちの番号

12月11日には候補者たちの番号を決める抽選会が行われて、1番は民衆党の柯文哲(か・ぶんてつ)前台北市長。2番は与党・民進党の頼清徳(らい・せいとく)副総統、3番が最大野党・国民党の侯友宜(こう・ゆうぎ)新北市長となりました。
この番号、台湾の選挙ではかなりインパクトがあります。支持者たちは番号が大きくあしらわれたベストやジャンパーを着こみ、遊説では候補の名前と同じかそれ以上に番号が連呼されるのです。

日本の選挙における候補者の番号は、掲示板のどの枠に選挙ポスターを貼るかを定めるくらいしか意味がありませんよね。この違いは、中華民族の人たちが受け継いできた数字への独特のこだわりから来るように思えます。

日々の暮らしでは8や9がたいへん縁起がよろしいとされて皆から好まれます。「八(bā)」は「繁盛する」という意味の「発財(fā cái)の「発」と発音が似ているから、「九(jiǔ)」は永久の「久(jiǔ)」と同じ発音であるためです。2008年の北京オリンピックは、開幕が2008年8月8日午後8時でした。

政治のキーワードも数字だらけで、「一つの中国」という中国共産党の原則、米中間の「三つの共同コミュニケ」、日中間なら「四つの基本文書」などなど。
歴史に残る出来事も、その日付で伝えられることが多く、1919年の民衆運動「五四運動」や、1989年の天安門事件を指す「六四事件」など…

接戦模様

各候補の番号が街角で連呼され始めたところでの情勢をみますと、2の頼清徳氏がリードし、それを3の侯友宜氏と1の柯文哲氏が追う展開。
以前の記事 ↓ でも紹介したように、3と1が一本化されるかと思いきや土壇場で破綻し、最後は国民党と民衆党の間で非難の応酬となってしまいました。

エンディングは野党側にとって痛手ではありましたが、それまで一本化をめぐる政治ドラマが予想以上に盛り上がったことで、その期間中、野党側が総統選の話題をかっさらい、民進党はやや脇に追いやられました。
この結果、与野党間の支持率の差は、かなり縮まったようです。
とくに国民党の侯友宜氏が激しく追い上げていると伝えられます。
英誌エコノミストが12月4日時点での各種世論調査の平均値として伝えたところで、その差は僅か3ポイント(頼清徳氏37%、侯友宜氏34%)。

そこに中国大陸から投げられた「釈迦頭」というクセ球

さあ、いよいよ盛り上がってきました…というところに、中国共産党が妙なカードを切ってきました。台湾を代表する果物の一つ、「釈迦頭(しゃかとう/バンレイシ)」の輸入業者を大幅に増やすと発表したのです。

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