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ついでに抜かれた親知らず

産後歯がボロボロになるタイプなのか、はたまた20年前の治療にガタがきたのか。

わからないけれど、虫歯がぽろぽろ見つかって絶賛歯医者通い中です。

これがなかなか終わらない。

最初は、詰め物が取れたと思っていたら虫歯が原因で歯が欠けていた、というショッキングな出来事から始まり、もうひとつ虫歯が見つかり、いよいよ治療も終わりかと思ったら銀の被せ物が折れて中が虫歯になってるのが見つかった。

もうこれ以上悪い歯が無いことを祈りたい。

で、今日は3本目の虫歯の治療だったのだが、麻酔を打つことになった時、「あ、ついでに右上の親知らず抜いちゃう?」と先生。

えっ、今日?

ちょっとそのつもりではなかったな。

実は私は親知らず4本が残っている。
これは職場の人曰く珍しいことらしい。

これまでにも何度か抜くのを勧められたが、体の中に無駄なものはないんじゃないか、と思ってなんとなく嫌だった。予防の意図も若い私にはピンとこなかった。
しかも、上の2本はまっすぐ生えているが、下の2本は横向きに生えていて、そのうえ神経の近くにあるらしく、大きな病院でないと抜けないらしい。

その手間も煩わしくて、ずっと放置していた。

ところが、妊婦歯科検診で下の親知らずに虫歯が見つかり、「これは妊娠前に抜くべきだったね」と散々なことを言われてしまった。

実際子どもが生まれてみると、子の病院通いだけで精一杯で、とても自分には手が回らない。

上の親知らずは下の歯と噛み合わない分下がってきており、将来的に腫れたりする。下の親知らずは横向きに生えてるので、虫歯になりやすいし、その際隣の歯も被害にあいやすいそうだ。
一気に抜く気になった。

さっさと抜いて気楽になりたかったが、なかなか虫歯の治療が終わらないなぁなんて思っていたのだが。

まさか、こんな気楽に、ついでに抜くことになるとは思わなかった。
(でもさっさと抜きたい気持ちもあったのでお願いした。)

親知らずを抜くというと、すごく痛そうなイメージがある。
映画「パレード」でも藤原竜也演じる男が、親知らずを抜いてすごく痛そうにしていた。

それで緊張していたのだが、なんと、30秒くらいであっさりと抜かれてしまった。

「ちょっとミシミシ音がしますけど、気にしないでね」と言われ、そりゃ無理ですよ先生と思いながら、歯が軋む音を聞いたけれど、痛みは全くなかった。

その後も麻酔は切れてるはずなのに、痛みが無くてちょっとこわい。

そんなわけで、30年近く連れ添った親知らずとあまりにもあっけなくさよならした。

いや、後から出てくるんだから30年も一緒にはいなかったか。

ともあれ、身体の一部が失われたことに一抹の寂しさを感じる。

抜いた親知らずを見せてもらったが、なんというか、歯だった。

思ったより小さかったかな……(無理やり感想を捻り出しました。)

持ち帰りますかという提案を丁重にお断りして、なかなか止まらない血に脱脂綿を噛みながら歯医者を後にすることとなった。

先ほど寂しいと言ったが、この調子だと数日後にはその存在を忘れそうである。

案外、私も薄情なものだ。

#エッセイ #親知らず #抜歯 #歯医者 #虫歯 #産後 #歯医者通い

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