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打ち上げ花火の華ひらく日常に感謝

「たかが花火。されど花火」
たかが、なんて言うと怒られてしまいそうですが、皆さん本当に大好きですよね。花火大会の集客力はピカイチで、夜空を彩るその瞬間を一目見ようと多くの人たちが集います。経済効果を狙って、各地では競って花火大会が開催されていますが、ここ数年は、コロナ禍ということもあり、様相は一変。今年も判断が分かれたようで、開催か否か、決めるのはなかなか難しいようです。

打ち上げ花火は、1733(享保18)年に隅田川で行われた水神祭がその由来だそう。 当時の関西や江戸では、飢饉や疫病の流行により、多数の死者が出ています。その死者たちの慰霊や悪疫退散のために水神祭が催され、花火が打ち上げられました。その後、競うように花火が上がるようになり、華やかなものを好む江戸の庶民にも受け入れられました。また、日本の蒸し暑い気候が、夕涼みの文化としても根付かせたようです。こうして花火大会は時代を超え、夏の風物詩として、全国の人々に愛され続けています。

多くの人に愛される花火ですが、場合によっては嫌われることもあります。例えば、住まいが花火大会会場の近くにでもあろうものなら、訪れる群衆の人混みや渋滞、ゴミの散乱などのほか、火の粉による火災の心配をする人もいます。熊本市の花火大会の開催場所は、今は江津湖で定着していますが、一時は江津湖にするか熊本城周辺にするのか、結構な議論になったこともありました。

今朝の情報番組で紹介されていた群馬県前橋市の花火大会では、見物を終えた人たちが、少しでも早く帰ろうと駅に殺到する光景が映し出されました。2001年(平成13年)の兵庫県明石市の花火大会では、歩道橋の混雑で11名が圧死、183名が傷害を負うという悲惨な事故が発生しています。過去の惨事を想起させるような状況には怖さを覚えましたが、安全の確保は花火大会を実施する上での重大な問題です。

熊本市の花火大会は今年も中止になりましたが、前橋市のように3年ぶりに開催するところも少なくありません。今年は特に新型コロナウイルス第7波の渦中にあり、尊い命が失われ、医療機関では不眠不休の看護が続いています。また、ウクライナでは戦火が収まる気配もありません。それぞれで安全を心がけることはもちろん、慰霊や感謝の気持ちを持ちながら、花火が観られる日常をいつまでも大事にしたいものです。

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