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若き日の思い出を刻む~大濠公園

誰にでも懐かしい思い出の場所がいくつかあると思います。それは幼少の頃や学生時代、社会人に成りたての頃、結婚してから等々、時代も人ぞれぞれでしょう。
私にとっては福岡市中央区にある『大濠公園』もその一つで、先日はある用事で久しぶりに行ってみました。ここは私にとって学生時代の思い出深い場所。当時の出来事がいくつも蘇ってきました。

学生時代は徒歩で10分もかからない賃貸住宅に住み、アルバイトをしていた定食屋は公園のすぐ近く。出前のために公園の周辺をホンダの『スーパーカブ』で走りまわっていました。また最寄り駅が公園の反対側で、親しい友人も駅近くに住んでいたこともあり、私にとっての公園はしょっちゅう行き来する普段使いの通路のようなものでした。

『大濠公園』の池の外周は約2キロメートルで、ジョギングやウォーキング、サイクリングなどにはちょうどよいサイズ。早朝や夕方、暗くなっても多くの人が汗を流します。池に浮かぶ島々がいくつかの橋でつながっていて、公園を南北に貫く歩道を歩くと、しばし都市の喧騒を忘れさせてくれる癒やしの空間でもありました。夏には花火大会が開催され、当時は平和台球場がすぐ隣りにあり、イベントなどでも賑わう場所でした。

久しぶりに訪れてみると、当時の面影は残しつつも、いくつか変貌を遂げていました。園内には能楽堂ができており、能の公演や体験教室など、全国でも有数の能文化の振興拠点として活用されています。若い人たち向けにはおしゃれなカフェやレストラン、スタバもできていました。小さな子ども連れには大型遊具やボートハウス。『大濠テラス』という八女茶と日本庭園を中心に、日本文化を体感できる新たな施設も最近オープンしたばかりのようです。

熊本で生まれ育った私は、共通点の多い『水前寺江津湖公園』と比較してしまいます。江津湖は豊富な湧水を湛えているだけに、水質やそれにともなう自然環境では引けを取らないと思いますが、その魅力をもっと引き出す、あるいは多くの人を引き付けるための『仕掛け』という点では、少し物足りないかもしれません。もちろん、開発をすることで最大の特色である自然環境を破壊してしまっては元も子もないので、景観も含め調和のとれた整備が求められます。

いずれにせよ、『大濠公園』も『水前寺江津湖公園』にしても、都心に近い場所にある癒やしの空間、豊かな自然環境や郷土の歴史を体感できる場所として、もっと多くの人に訪れてほしい場所です。そして、私がそうであったように、この地を訪れた人たちが、これからもそれぞれの思い出を刻む場所であり続けることを願っています。

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