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鼻と舌で味わうコーヒーの嗜み

この年になって、ようやく「コーヒーって美味しいなぁ」と思うようになりました。以前から嫌いではありませんでしたが、これまで私にとってのコーヒーとは、会議や商談、知人友人との会話など、少し時間のかかる場面に出てくる、眠気覚ましか間を持たせるための飲み物。コーヒーのホットかアイスか、日本茶か、たまに紅茶やジュースなども加わるメニューの中からもっとも頻繁に選び、何千、何万杯と飲み続けてきたものです。そんな具合でしたから、多少濃かろうが、苦かろうが、ほとんどお構いなし。時には手を付けないこともありました。

事務所の近くにコーヒーショップが開店したことを知り、なんとなく気になっていたので、前を通った際、試しに立ち寄ってみました。グアテマラにニカラグア、エルサルバドル、エチオピアと世界各国の豆が並んでいて、お店の人に勧められるままに注文することに。ひと口飲んで、これまでとは全く違う味にびっくり。

それぞれの味の特徴が表示されていて、甘みと酸味の高いものを勧められたのですが、これまで感じていた苦味や後味が全くない。本当に初心者でお恥ずかしい限りなのですが、「酸味って酸っぱくないんだ」としみじみ思いました。そういえば、みかん等の柑橘類だって、糖度だけではなく酸の度合いも味に影響します。どんなに糖度が高くても、ある程度の酸味がなければ甘ったるいだけで、そんなに食べられるものではありません。一人で妙に納得してしまいました。

そしてコーヒーって飲むだけでなく、香りも楽しむものなんですね。「フルーツの香りがします」と言われて、「そんなことはないだろう」と思って嗅いでみると、本当にフルーツの香りがしました。香りを楽しみに、その後に香りと味を楽しむ、「コーヒーとは鼻と舌で味わうものなんだ」と、また一人で納得しました。

そして極めつけが、冷めても美味しいんだということ。もちろん温かいのは美味しいのですが、途中から冷めてくると、酸味が際立ちすっきり感が増します。最後に飲み干す瞬間は、何かを成し遂げたような達成感を覚えました。

大げさかもしれませんが、なんだかこれまで人生を無駄にしてきたような…… 少しでも取り戻そうと、豆を買って帰り、我が家でも楽しんでいます。








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