見出し画像

沖縄の苗字はむずかしい

遠いむかし。
かえるちゃんが結婚相手に求めたものはただひとつ。
「北海道の両親が読める苗字」でした。
これが意外とむずかしい条件で、沖縄で多い苗字のスリートップである、比嘉、金城、新垣でもうちの親は無理だろうなと思ったわけです。
新垣くらいは楽勝かもなんですが、読みがけっこう種類あって、あらかき、あらがき、しんがき、にいがきって感じで、読みをまちがうとほぼほぼムッとされるんですよね。
自分が苦労したことを親にまで押し付けるのはやめようとなるわけです。
嵩原さんとかは見たことも習ったこともない漢字だったので、なんて声かけたらいいのか悩みました。
なかむらさんだって沖縄では中村姓と仲村姓があってまちがえると気まずいです。
島袋、真玉橋、根路銘、謝花、瑞慶山、比屋根、阿波根、當銘、当間、上門、そして極めつけの保栄茂。
最後のは「びん」でスマホではふつうに変換できました。
むずかし過ぎてスマホの方が配慮してくれてるんだと思います。
かろうじて読めるにしても書くのは怪しいのが玉那覇、我那覇みたいなイカつい苗字ですね。

大城さんとかは画数が少ないし、比較的まちがえにくいかと思うんですけど、これが地名になると、うふぐすくと言うこともあるんです。
まだ人名でうふぐすくさんにはお目にかかったことないですが。

結局、かえるちゃんは読み書きが平易でクセのない苗字の人になりました。
小学校低学年で習う漢字だけです。川の字がつく苗字なんですが、かわって言う人とがわって言う人が
半々です。
どっちでもいいのでいちいち主張はしないんですが、自分ではかわと言ってます。

かえるちゃんが婚活大作戦だった時はこんなふうに詠めない名前の方にはあまり近づき過ぎないようにしてたので、当然、アダムスさんとかジョーンズさんて言うのもなしだわけです。
機会がなかったこともないんですけど。

そして無事に結婚をして、子どもができた時。
沖縄の名付けの伝統なんですが、男の子はその家の文字が入るんです。
朝って文字ならお父さんが朝幸で長男は朝賢みたいに。
大体、音読みが多いです。
具志堅用高みたいのは、用の字が具志堅家の文字みたいです。

かえるちゃんは長男嫁で長男を生んだんですけど、家の文字についての知識がなくて、テレビで見た坊さんの名前に一目惚れして「慧太」に決めたんです。
夫は「生むのはかえるちゃんだから」と自分の意見は言わず、後で恵と言う文字のおうちだとわかったんです。
夫の弟の長男がすでに恵太だったので、家族が集まる時は大けいた、小けいたと呼ばれていました。

慧太は彗星の彗の字とまちがわれることが多くて、よく「すいた」さんって言われてました。
かえるちゃんの親はもちろん、夫も慧太が10歳くらいになるまで書けなかったみたいです。
もっと平易な文字がよかったかなと後で思ったんですが、息子本人が電話で漢字を伝える時に大変だったんじゃないかと思います。
小学生の時は「携帯」って言われるとよく泣いてました。

沖縄では男の子の名前がわりと伝統に縛られるので女の子の名前はかなりフリーダムでキラキラしています。
アラ還のかえるちゃん世代でもエリカみたいなおしゃれな名前の人が多いです。

かえるちゃんは長男嫁なんですが、死んだら北海道の両親が建てたお墓に入る予定です。
暮らすには沖縄がいいけど、あの世に行くなら親元に帰りたいんです。
夫の家のお墓が近くにあるんですけど、福祉系の仕事をしている夫が「利用者さんで身内のいない人にお墓を開放しようと思ってるよ」って言っているので、自分の行きたいところに行って問題ないんだと思います。

この記事が参加している募集

スキしてみて

ふるさとを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?