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統合失調症とわたし ⑧

私のこの病気『統合失調症』は初めからその病名がついていたわけではありませんでした。

私は初め、どこの病院でも『うつ病』として扱われてきました。しかし、病気は悪化の一途を辿り、今通っているまさしく命の恩人的な病院で精神鑑定をし、そこで初めて私の病名は『うつ病』ではなく『統合失調症』へと変わりました。

その話は後々ということで。

一番初めに言った病院のことは覚えています。今から約二十年前のことですが。病院に行くと、まずはアンケートのようなものを書かされます。例えば『夜眠れていますか』だとか『最近になってよく泣くようになった』とかそういったものでした。ずらーっと質問が並ぶそれに答え、ようやく診察。初老の男性医師でした。

しかし、その医師にやる気は見られず「あー…うつ病ね、はいはい」みたいなそんなやっつけ作業的な、アドバイスもなにもくれないただ処方されるのは少量の薬のみ。

これはおいおい書くつもりでしたが、この約二十年。いろいろ経験してきて、いろいろなところに行って、死にかけて、そして生還して思うのですがこの病気に関しては特に薬を飲むのが一番ということです。というか、薬でしか症状を抑えることは出来ない。

不安な気持ちだったり、イライラした気持ちだったり、意味もなく涙が出てきたり。身体が強張って眠れなかったり。

それらはすべて、薬で抑えつけてます。最終的には薬だと私は思ってます。

しかし、当時の私というか死にかける前まではどちらかというと薬の効力を信じていませんでした。それはまあ…ただ単に、どの病院でも薬の量が圧倒的に足りなかっただけ、なのですけれど。

けれど最初は、薬の効力を信じていたように思います。薬を飲めば元気になって、といった。けれど、いろいろな病院を渡り歩いた結果、だんだんと薬の効力を信じられなくなっていきました。そして最終的に「薬なんて飲んだって仕方ない!!」とまで思い、途中から断固否定するようになりました。

それは、先ほども書きましたがただ単に私に合った、それも重い症状用の薬を処方してもらえなかったから、という理由だと思い至ったのは今の病院に通い始めてからなんですけれど。

その話はおいおいするとして。

けれどその頃は、先生に話を聞いてもらって薬をもらえばきっとすぐに元通りに元気になっていつもの日々が送れる。そう信じてました。適当な診療の後、薬を処方され、なんだか納得のいかないまま家に帰って薬を飲みました。が、これちっとも良くならず、症状は悪化の一途を辿り…会社へ行くのは到底無理、そこら辺まで私の心の調子はどん底に落ちていました。

そこで、その病院の医師に頼み診断書を書いてもらうことにしました。10日間、休みを与えてください的な。

私はそれを持って会社へ行き、社長に渡すとそれはそれは渋い顔に変わりました。

家に帰って、その社長の顔を思い出して泣き、10日間のうちにもっといい病院があるはずと、そう思い必死に調べて病院を変えました。随分評判も良く、患者にとって優しい病院という謳い文句に惹かれ訪れた病院先では、私には優しくありませんでした。

どの基準で『優しい』なんて言えるの?

その病院は何人も先生を抱えていて、いい先生に当たればこれはツイているといった具合なのだと思います。そこで私はまたしてもハズレを引いてしまった。

毎日泣いてばかりで、苦しくて苦しくてたまらなくて。けれど、誰かを頼ることだけは考えていなくて。これは後々の母の言葉ですが、私は車の運転が得意ではないのですが、病院だけは自分の力で行こうと無駄に肩ひじを張って病院へ通っていたわけですが……。母に言わせると、頼って欲しかったらしいです。独りで抱え込まず、一緒に頑張って欲しかったのだと。車の運転だって、私にさせず母が乗せていきたかったのだと。そう言ってくれたのは随分経ってからですが。

しかし、そこが病気の怖いところ。

こうと決めたら、もう『こう』なんです。他は何も見えない。自分がこうだと決めたらこうなんだと、ただただ暗黒を目の前に恐れ戦きながら日々と戦う羽目になりました。


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