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東京都同情塔、読了

 芥川賞を審査員から高評価で受賞した作品。どんな内容なのか興味があって、読んでみた。最初、書店で手に取って、1ページ偶然開いたページを読ん見た。性に関する描写で、あまり興味をひかなかったので、買わなかった。とても薄い本で、大長編ではないことが分かった。
 そのあと、電車に乗っている間に読むのにちょうどいいかなと思いなおして、Kindle版を購入した。
 出だしが気に入らなかった。とてもり理屈っぽい、主人公の独白が続いて、読むのやだなーと思った。ぎりぎりで読みつなぐことができた(幸運?)。主人公の独白が読みにくい。しかし、ストーリーとしてグダグダと、理屈っぽく独白するのは、意味がある設定だった。仕方がない。
 古今の名作のオマージュのような部分がいくつもあり、読書家には受けるのかもしれない。私も、これは、『レ・ミゼラブル』か、なんて思ってちょっと自慢気な感傷があった。
 全体に、性行為をモチーフにしたような関係性がたくさん描かれている。作者は、性について、なにかわだかまったものを持っているのかもしれない。
 私には主人公の独白が気になった。他も独白が続く構成になっていた。主人公がかわいがる、美男の男、理想主義者的な大学教授、ジャーナリスト、独白が続く。美男の男の語り口が、一番自然でほっとする。大学教授の論はこの本の核心を、丁寧に解説している。丁寧に解説するって、小説なんだろうか。感じてもらうのが小説のような気がする。ジャーナリストは、登場しなくても支障ないじゃないかと思った。
 あまり気に入ったわけではないが、久しぶりに小説を読み切った。それには達成感があった。また、本を読めた。まだ、本を読めるという安ど感があった。
 小作品だったので、Kindleでもほとんど苦にならずに読めた。文学を読むってちょっといい気分。書き出しでつまづいた本でも。

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