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おたねさんちの童話集 「子ざるのエデル」

  子ざるのエデル
 
 えるえるえるえる考える。
 子ざるのエデルは考える。
 お空はどうして青いのか。冬はどうして寒いのか。
 えるえるえるえる考える。
 子ざるのエデルは考える。
 おならはどうして臭いのか。ママはいったいドコなのか。何時になったら帰ってくるの?オネガイ!早く帰ってきてヨ!
 えるえるえるえる考えるけど、子ざるのエデルは考えるけど、答えは、ちっとも見つからない。パパに聞いてもワカラナイ。フムフムフムと聞いてはくれる。だけど、やっぱり教えてくれない。パパはゼンゼン教えてくれない。フムフムフムとウデくんで、フムフムフムと考えて、うんうんうんとウナってばかり。答はゼンゼン教えてくれない。
 みるみるみるみる空をみる。だからエデルは空を見る。お空はどうして青いのか。ワカラナイから聞いてみた。子ざるのエデルは聞いてみた。真っ逆さまに落ちてきた、キレイな色のカワセミに、子ざるのエデルは聞いてみた。エデルが突然聞くもんだから、魚に逃げられ悔しそう。キレイな色のカワセミは魚に逃げられ悔しそう。
 ナニナニそんな簡単なこと。どうしてお前は知らないの?お空がとっても青いのは、曇りの空を忘れるためさ。台風だって、カミナリだって、ザーザーどしゃ降り雨だって、みんな忘れて青い空。赤い空なら涙がでちゃう。キレイなキレイな青い空。 
 キレイな色のカワセミは、アっという間に飛んでった。魚に逃げられ悔しいことも、さっさと忘れて飛んでった。
 ヤイヤイヤイヤイ、エデルがいたぞ!弱虫エデルを捕まえろ!やってきたのはイジメっ子。嫌いな嫌いなキツネの兄弟。子ざるのエデルは逃げ出した。さっさとエデルは逃げ出した。でもね、でもね、でもなのよ。どんなに素早く走っても、キツネの足にはカナワナイ。子ざるのエデルはカナワナイ。エーっという間に、取り囲まれて、エデルは慌てて木に登る。
 マツマツマツマツ松の上。子ざるのエデルは松の上。マツマツマツマツ待っていた。子ざるのエデルは待っていた。イジワルキツネが待ちくたびれて、どこかへ行くのを待っていた。
 マツマツマツマツ松の上。エデルは見つけた、ヒグマの親子。ヒグマの親子の近くなら、きっとキツネも近づかないサ。
 あっちの枝へと飛び移ろうと、子ざるのエデルは力を入れた。お腹にグググと力を入れた。ブーブーブーとオナラした。子ざるのエデルはオナラした。くっちゃいくっちゃいオナラした。あんまりおならが臭いから、キツネの兄弟逃げ出した。クサイクサイと逃げ出した。子ざるのエデルは大笑い。ブリブリブリブリ大笑い。
 ねえねえねえねえクマさんよ。子ざるのエデルは聞いてみた。冬はどうして寒いのか。ワッカラナイから聞いてみた。
 ナニナニそんな簡単なこと、どうしてお前は知らないの?冬がとっても寒いのは、グーグーグーグー寝るためサ!秋にはたっぷり木の実を採って、グーグーグーグー寝るためサ!蒸し暑かったら眠れない。クマの親子はそういって、ズンズンズンズン消えてった。森の奥へと消えてった。
 夕焼け小焼けでマッカッカ。お空はキレイにマッカッカ。遠くで聞こえる「ご飯だよ!」子ざるのエデルもお家へかえる。ママはどこかへいっちゃったけど、子ざるのエデルもお家へかえる。パパのご飯は美味しくないけど、それでもエデルはお家へかえる。
 ねえねえねえ、パパ聞いて!明日一緒に遊びに行こう!お魚たくさん捕まえて、木の実もたくさん採りに行こう!
 子ざるのエデルは、教えてあげた。お空はどうして青いのか。おならはどうして臭いのか。冬はどうして寒いのか。フムフムフムのウナズいた。子ざるのパパはウナズいた。なるほどなあとウナズいて、遊びに行こうと笑ってくれた。
 お魚たくさん捕るよりも、木の実をたくさん採るよりも、もっといいトコ教えてくれた。フムフムフムとうなずいたあと、子ざるのパパは教えてくれた。
 子ざるのエデルはやってきた。お魚たくさん捕るよりも、もっといいトコやってきた。木の実をたくさん採るよりも、もっといいトコやってきた。
 小さな森の病院のママのベッドにやってきた。
 やっぱりやっぱりママがいい!お魚たくさん捕るよりも、やっぱりやっぱりママがいい!木の実をたくさん採るよりも、やっぱりやっぱりママがいい!
 ママのベッドのとなりには、小さな赤ちゃん眠ってた。
 今日から僕はお兄ちゃん!子ざるのエデルはお兄ちゃん。
 ねえねえねえねえ、教えてあげる。分からないこと教えてあげる。だって今日からお兄ちゃん。子ざるのエデルはお兄ちゃん!

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