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【通勤電車の詩】今も変わらずぼくを魅了するもの

ぼくの家は山の上にある。
だからぼくが通勤に乗る電車は山の斜面に沿って走る。

毎朝、電車が最寄り駅を出発すると、すぐに長いトンネルに入る。
時間にして5分ほど。
そのトンネルを抜けると、目の前に街を一望できる景色がパッーと広がる。
数10キロメートル先?かなり遠くまで見える。
立ち並ぶビル群のはるか先に連なる山々が見える。
朝もいいが、帰宅時の夜景もまたいい。

出勤時の景色は、電車の進行方向に向かって右側の窓から見える。
と言うことは、左側の窓は山の斜面しか見えないことになる。
乗客は右側に吊り革に集中している、かと思いきや案外そうではない。
実のところ、ぼくもそんなにこだわっていない。

この電車に乗り出した頃は、この壮大な景色を見て毎朝ホッとしていた。
しかし何百回となく見続けていると、やはり人は飽きてしまう。
だから今はよくある変わり映えのしない景色の一部になってしまっている。
こんな景色は、他の電車から見ることはできない唯一無二の景色なのに。
人間とはつくづく贅沢な生き物だと思う

しかし一年に数回ほどしかないが、帰宅時に出会う遠い街並みの向こうに見える真っ赤な夕焼けは、今もぼくを魅了してくれる。



▼「通勤電車の詩」はこんなふうに生まれました▼


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