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映像研には手を出すな! 7巻読んだ

7巻ネタバレを含み、「映像研には手を出すな」を読んだことのある方向けの記事です。


「映像研には手を出すな!」 
6巻発売から約10か月、無事7巻が発売され読み終わった。

ちょっと手が出てますね( ´∀`)

ものすごく興奮している、のではなく、じんと身につまされていて思わずnoteを開いてしまった。

何が身につまされたかというと、もちろん浅草氏である。
人付き合いが苦手でぬいぐるみを友とし、将来の夢は一人で生きる仙人。
人の世で生きづらさをかかえている。

だが彼女はアニメづくりに執念を燃やす。
一人で生きたいのに、誰かに見られることを前提としたアニメづくりをやめられない。
しかもアニメーションは一人では作れない。
面倒な人だ。

そしてこの7巻で浅草氏は、さらに面倒な覚醒をしてしまう。
「自分の作品にみんなが興味を持つなんて知らなかったし実感が湧かない」
だから伝えることを軽視していたけれど、「そろそろ誰かに見てもらいたいかも」
覚醒!

自分のワールドを「見てくれるたくさんの人に伝えたい」と。

だが人が苦手な浅草氏、他の人たちがどのくらい自分の言うことを分かってくれるか見当がつかず、不安のあまりますます一般に人には伝わりづらい作品を作ってしまうのだ。

ここで間違ってはいけないのが、浅草氏が「ストーリー」を作っているのではないということだ。
アニメーション世界の設定から始まり、様々な視覚的言語的情報、コンテすべて、もちろんストーリーも含め、アニメーションのおおもとを作る監督である浅草氏。
伝えたいストーリーはあるのだけれどそれがすんなり伝わらないような、伝わらない不安故の(余分な)情報てんこ盛りで視聴者を置き去りにするアニメを作りがち。

その浅草氏、自分の作品は一般の視聴者に伝わっていないのではと自覚し、内省し、伝えたいという気持ちに目覚め、映像研の仲間たちの元へ戻り、そこで心情を吐露する。

その流れの描写がじーんと沁みるのである。

一昨日ちょうど、「真夜中インター」という文化祭に、
「閉じた自分は、面白いと思うことを人と分かち合えなくてもいいと思っていたけれど、それではあかんかった。心の中にマグマがあってそれをどこかで噴出させたかった」
という記事を書いたばかりだ。

浅草氏の創作と私を比べるなんてちょっとおこがましいのだけれど。

浅草氏が孤独の中で自問自答するシーン、少しずつ世界が広がり彼女一人の世界に登場人物が一人二人と入ってきて、最後、仲間たちのもとで毛布にくるまり、心のよりどころであるぬいぐるみのうさぎをすーはーしながら自分の想いをぶちまける、そのナイーブな表現が本当に素晴らしかった。
あんまりタイムリーに、書いたばかりの私の心情とリンクしてしまった。

浅草氏が愛おしすぎる。

(「真夜中インター」まとめマガジンには、同じようにやむに止まれぬ創作への思いがたくさんあふれているので、興味がある方はぜひご覧ください)

 

さて、「映像研」7巻について、大事なことがまだある。

いったい何が浅草氏を覚醒させたのか。

さっさと書いてしまうと、6巻で初登場した小悪党の桜田セキ、芝浜高校中等部女子だ。6巻では無謀にも映像研に手を出し、無残に返り討ちにあった挙句に映像研にホカクされてしまった桜田さん。

やりたいことに吹っ切れ、ぶっ飛び、アニメーション制作に邁進する映像研のパイセン3人と百目鬼氏。
そんな4人を横目に見ながら、小説家を志すもどこか自分にストッパーがかかってしまい熱くなりきれない桜田さん。

だが小説家志望だけあって「人に伝える」能力に長けており、映像研の過去作品を観て何気なく指摘したことが浅草氏の心に刺さってしまった、という流れ。

浅草氏の苦手な部分を補う新たな人材の登場である。

だが彼女も「映像研」の登場人物、一癖二癖は当たり前、一筋縄でなんていくわけがない。
今後彼女の中の心のマグマの噴出そして映像研との絡みがどうなっていくのか、楽しみすぎる。


一番書きたかったところは書いた。
余分なことも、どうせネタバレ記事だから書いておこう。

水崎氏が桜田さんのために(というテイで)書いた映像研メンバープラス百目鬼氏の人物紹介が、個人的に宝。見開きで載っている。

こんな感じで4人分
ほんの一部だけ出してみました


忙しい水崎氏の代理で、金森さんがどういうわけだか天敵さかき・ソワンデちゃんを巻き込んで雑誌のモデルとなり、なんと二人が表紙を飾ってしまう冒頭回。シビれた。金森氏スタイルいいし、カッコいいもんなぁ。

外に飛び出そうとする映像研に対し、学外での評価は功名心溢れる大人を呼び込み学内の自治を危うくするとして目の敵にする生徒会。
今回生徒会は過激に攻撃を仕掛けてきて、応戦する映像研と、両者戦車まで持ち出しての銃撃戦が勃発してしまうwww
高校の敷地内で、どういう仕組み?学内自治って何?w

そのぶっ飛び具合と、それさえ作品作りに利用してしまう映像研のしたたかさが好きだ。
芝浜、いい学校だなぁw

その戦闘を生き延びた(ここもw)映像研は、校外のコンテストに参加しそこでまたオトナの壁にぶち当たりそいつらを…

と、ストーリーは続き、次巻の発売が待ちきれない。

今回もスマートなブックレビューというわけにはいかずに語りたいことを熱く語ってしまった。

読んで下さった方、ありがとうございます。




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タグで #推しのバトルマンガ  を使ってみるが、「映像研」はもはや立派なバトル漫画だと思う。



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