見出し画像

住んでみたい家 FUTURO

以前、中銀カプセルタワービルという建物に住んでいました。つい先日に老朽化のために取り壊されてしまいました。70年代に日本で起ったメタボリズムという建築思想で設計された小さなカプセルが連なって全体を構成する非常に面白い建物でした。以下の記事でも紹介していますが入居当初から雨漏り、お湯が出ない、激狭など住居として使うにはなかなか厳しい条件。しかしそれに勝る物件の魅力が詰まった物件でもありました。

そんな経験からこれから住むなら普通のよりも何か特徴がある家や面白みがある家が良いなと思いうようになりました。色々と探しているうちにFUTUROというUFO型の家を発見。しかし調べてみると世界でも60棟程度しか現存せず日本には2棟しか無いレア物件であることが分かりました。もちろん販売や賃貸はしていないので住むことはできませんが興味をそそられました。FUTUROとは一体どんな家なのでしょうか。

画像3

FUTUROは中銀カプセルタワーと同時期の60〜70年代、フィンランドの建築家のマッティ・スローネンによってデザインされたレジャーハウスです。特徴はなんと言っても楕円形のUFOのような外観。当時流行していたスペースエイジ全開のレトロフューチャーなデザインです。楕円形のシルエットや窓は航空機や宇宙船をイメージさせます。

画像4

高さ4m、直径8mのFRP製で工場で作られたパーツを設置現場で組み立てるプレハブ工法を採用。少ない部品で作られているため輸送や建設が容易でした。基礎はコンクリートブロック4つだけでよく、圧倒的に少ない資源と手間で設置ができたため通常の建築では不可能な場所ににも設置できました。大量生産ができ、低コストで場所を選ばず設置ができる住宅はまさに60年代の描く未来の家の形でした。

画像4

当時、FRPなどの新しい建築素材を使用した輸送や設置が容易なプレハブ住宅が沢山生み出されていたようです。当時の人達はこうしたプレハブ住宅が主流になる未来を描いていたのかもしれません。しかし現実は異なり、これらのプラスチックなどを材料とした住宅は70年代のオイルショックによる材料の高騰でほぼ全てが消滅します。FUTUROも例外ではなく70年代には市場から姿を消しました。商業的にも成功したとは言えず、UFO型のような奇抜なデザインや見慣れない円形の間取りは受け入れられなかったようです。実際に生産されたFUTUROは100棟以下であったと言われています。

画像3

世間的には散々の評価のFUTUROですが現在でもマニアの間ではカルト的な人気のあります。海外には放置されたFUTUROを個人で買取り10年かけて修復した方もいるよです。コンセプトや設計、個性的な外観は浪漫があります。よく目にする建築は地面に建っているのが普通で必然的に地面にしっかりとくっついているように見えます。しかしFUTUROはボディから脚が生えているようで大地から切り離されている感じがします。この空から降りてきて着陸したような浮遊感が未来的、SFチックでたまりません。60〜70年代の未来を表現しようという勢いが感じられます。妄想の中だけでも住んでみたいなと思う浪漫の家です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?