どの業界においても言える事ですが、職人としては一流で実績も申し分ないにも関わらず、独立したら全然商売がうまくいかないという人を見かけたことはありませんか？

あの人、腕はいいんだけど人が良すぎて商売下手なのよ。
業界ではすごい人らしいんだけど、ちょっと何言ってるのかわかんなくて。スポーツで例えると、一流選手が一流監督になるとは限らないというよく聞くアレです。

先日、私が尊敬する飲食業社長と司法書士さんと３人で打ち合わせをした際に、「士業と飲食業ってすごく似てるよね」という話で盛り上がりました。

経営は素人という点。

士業と飲食業が似ている大きな点の１つに、経営者としては素人の人間が代表をしていることが多いということがあります。
有名店で何年も修行した料理人が満を持して自分のお店を！と言ってもお勤めの料理人はほとんど、料理や仕入れに関する業務しかしていなかったりします。

フランチャイズの店長等をしていたなら店の売上げ管理やスタッフの勤怠管理等もしているでしょうが、基本的には自分の安全（基本給）は守られた中でやっていることですし、オーナーの指示に従ってマニュアル通りに進めるので経営をしているとは言い難い場合が多いです。

士業も全く同じで、脱サラ者の多い行政書士の即独開業者のほとんどは経営未経験ですし、士業事務所で補助者勤めをしていた人でも、身内でもない限り経営や運営に携わっていることは少ないでしょう。

司法書士さんであればしっかり研修もありますし、どこかの事務所で修行してから開業する人が多いので業界知識や実務経験はある人が多いですが、それでも経営者としては素人という人が多いみたいです。

しかし、これを自分でしっかり理解した上で開業している人は案外少ないのでは？という話になりました。

良い商品を作ればお客様はやってくるのか？

お客様が満足するだけの商品を作る技術と経験はある、しかし、お客様を呼ぶ方法を知らない。
こういう捻じれが生じていることが多いという印象です。

簡単に言うと以下のような人です。
きっと一度は見かけたことがあると思います。

丹精込めて美味しい料理を作っていればいつかきっとお客様が来てくれると信じている料理人。
本を読んでセミナーを受けてひたすら勉強して法知識を深めていけば必ずお客様の役に立てると信じている士業。
毎日真面目に職業人としての自分を追求していくことでいつか成功できると信じている個人事業主。

もちろんこれらはすごく大切なことですが、あくまでもイチ職業人としての部分しかないですよね。

ターゲットに届くための適切な宣伝戦略を考える人が居て、それに従って必要な量の営業してくれる人が居て、それによりお客様に情報が届いて、心動かされて、わざわざ足を運ぶという行動に移して頂いてようやく来店という最初のゴールにたどり着く。（購入というゴールは更にまだまだ先）

その過程を飛ばして良い商品を作っているだけでは結果を出すのは難しいのではないでしょうか。
『良い商品をただ作り続けるだけではお客様の目には触れる事もない』のですから。

個人事業主にはまぁありがちではあるのですが、特に士業と飲食業関係者に多いように感じます。

結論。（極論）

良い商品を作ればお客様はやってくるのか？という問いに対する答えはこうです。

良い商品を作っていても認知されなければ存在していないのと同じ。
存在していない商品は商品ですらなく、それはお客様を呼ばない。
極論を言えば、良い商品を作れなくてもお客様を呼ぶこと自体は可能。

なんともイヤな結論ですが・・・。
これはあくまでもお客様を呼ぶことが出来るかどうかだけを論点としていますので、悪い商品でも商売がうまくいくという話ではありません。
長く選ばれ続けるためには良い商品であることは必須だと考えます。

素人経営者が生き残るには。

経営を学ぶしかありません。
至極当然の結論ですね。
これが出来ないのであれば経営者になるのはやめて、職人のままで居続ければ良いのです。

無理してやりたくもない経営をするよりも、煩わしいことから解放されて、職人として高い評価をしてくれる経営者の元でその素晴らしい腕をふるうことは社会の利益にもなると思います。

素人経営者が自分は経営者になると決めたのなら、まず自分の正確な立ち位置を認めて、経営・マーケティング・仕組化等々、会社運営のために必要な知識をどんどん吸収していき、それを自事業に活かしていかなければならないのではないでしょうか。

とまぁ、こんな理想論をふりかざされてもしんどいだけですよね。
そんなん分かってるけど経営の勉強って何をどうするんかわからんし、毎日の仕事で忙しくてそんな暇ないねん。
こっちが本音ですよね。

かくいう私も恥ずかしながら、やらなあかんやらなあかんと思ったまま何カ月も放置している事務所の内部的なこと、広告宣伝活動、いくつかあります。
人には等しく２４時間しかありません。

やれることには限りがありますので、やらないことを決めていかなければなりません。