登場人物
　大沢琴音（17）
　垣内直人（29）

　　　ＳＥ　扉をノックする音。

大沢「（扉を開閉しつつ）失礼します」
垣内「よう、不良少女」
大沢「カッキー、呼び出しなんて職権乱用」
垣内「垣内先生だろ？　正当な業務だ」
大沢「優等生に何の用ですか？」
垣内「大沢、スカートがいつもより短い」
大沢「はあ？　もっと短い子だって見逃してるじゃない」
垣内「お前はダメなんだよ。罰として今日のノートは大沢が集めて持ってこい」
大沢「……へえ」
垣内「何だよ？」
大沢「カッキー、ちょっとむこう向いて」
垣内「え？」
大沢「ほら。（こそこそとスカート丈を直す）いいよ」
垣内「……あれ、長さが戻った？」
大沢「ウエストのとこ折ってただけだからね。こう、くるっと３センチくらい」
垣内「へえ」
大沢「たったこれだけの違いに気付くって普段どこ見てるのよ？」
垣内「どこだろうな？」
大沢「もう戻っていいですよね、垣内先生？放課後ちゃんとノート持ってきますから」

　　　ＳＥ　扉を開ける。

垣内「待った」
大沢「何ですか？」
垣内「（耳打ちで）その時はもっと短くてもいいからな。スカート」
大沢「え？」
垣内「俺しか見てないんだから、好きなだけくるくるっと」
大沢「先生、あの……近いです」
垣内「（冗談めかして笑う）ここで照れるか。色気づいたり優等生に戻ったり、女子高生も大変だな」
大沢「……この不良教師が！」

　　　ＳＥ　扉を勢いよく閉める。