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つらつらと③ 誕生日やら冷静と情熱のあいだやら

早起きして、お気に入りのパン屋へ。前に食べて美味しかったものと、初めてのもの。合わせて5つ。店先のベンチで青空と浅間山を見ながら。優しく心と胃袋をつかんでくるパンたち。思えば、移住前に訪れたこのエリアではじめて食べたのは、ここの豆乳パンだった。

その後、午後の過ごし方を決めるためスタバに行き、チャイティーラテを飲む。エスプレッソショットを追加すると美味しい…と聞いたから試したものの、チャイ感が消えて悲しい。美味しいただのカフェラテみたい。美味しいからいいけど。

お昼は、この世で最も好きな食べ物、いくら丼をどんぶりテイクアウト店にて。今日は、ネタ大盛りにしちゃう。ふるさと納税・回転寿司以外では滅多に買わないから、特別感をひしひしと。美味しすぎる。いくらのために、北海道に住みたい。

家で一息ついたあと、佐久で一番とも聞くケーキ屋さんを訪ねる。ちょっと遅かったのか、在庫がほとんどなく。どうしようか…と思ったけど、卵専門店のシュークリームを思い出す。あれは本当に美味しい。プリンもつけちゃおう。

晩ごはんの買い出しも。メインディッシュ。肉まん。肉まんです。関西人のソウルフード(と勝手に決めている)551の豚まんを再現すべく、初チャレンジ。包み方が汚いのはご愛嬌。持った瞬間、懐かしさを感じる。指は覚えているもので。551の豚まんの、ふわっとしているけど、むぎゅっと詰まっている感触がここに。期待で胸を膨らませ、肉まんで頬を膨らませる。ほんまもんの551や…とはならなかったけど、目を見開くほどに美味しい。4つも食べちゃう。

別腹は大きいので、シュークリームとプリンを冷蔵庫から。こだわり卵のカスタード。こだわり卵のプリン。もう説明は不要。淡い黄色が、幸せです。

妻とたくさん笑い合った。あぁ、おなかいっぱい。

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27歳最後の日だった昨日、いろいろあって泣いた。柔らかい絶望として、生きていけないなぁと思ったから。ここ数日のあいだ、かなり調子が悪かったしなぁ。

昨年の自分は、こんなことを書いている。

いままでは、数字に追いつかない中身を憂いていた。「こうあるべき」を設定して、そこに辿り着けていない自分を持て余していた。

けれど、今年は違った。

この見栄っ張りめ。僕が前向きな言葉を並べるときは、そう自分に言い聞かせたいとき。「ずっと苦しんできたけど、少しずつ道を見つけ始めている」という物語に自身を乗せるための、嘘っぱち。そんなことは、僕が一番知っている。

だから、心に渦巻く呻きを、そっくりそのまま書き殴っておく。28歳になりたての僕より。これからの僕へ。

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「なんで生きないといけないのか」と「生きていきたい、生きていこう」とが戦っている。どちらかに偏れば、いろんな意味で楽なのに。後者が攻勢を示し、いろんな活動を進める日々があったと思えば、前者が反撃し、布団から起き上がれなくなる。この両者は、どうやったら和解するのか。

やりたいこと、やってみたいことは、たくさんある。

はじめたばかりの図書棚を、いつか図書館にしてみたい。語り合う場を、もっと持ちたい。場もそうだし、一対一で話す機会も。ラジオ配信を口実にしてみようかとも思っている。妻とカフェを開きたい。好きなものばかりを詰め込んだ「肉まんとフレンチトーストとチョコミントアイスとほうじ茶のお店」を開いてみたい。久しぶりにバンド活動をしたい。ベースなんて久しく弾いてないし。アンプに繋いで大きな音を出したい。好きな曲を楽しく弾きたい。

昨日、サッカーのなでしこジャパンがベスト8で散った。試合終了の笛と共に泣き崩れる日本の選手たち。悔し泣く姿は、心が震える。もちろん、歓喜の輪も。何故かザ・ブルーハーツの曲を聴いていた。『情熱の薔薇』にて、甲本ヒロトが歌っている。「情熱の真っ赤な薔薇を 胸に咲かせよう」と。真紅の薔薇を震わせたい。

ここ2週間ほどで、手塚治虫の『火の鳥』を一気読みした。生生流転を繰り返す、生物たち。権力・名声・結果・充実・愛情。さまざまなものを求めては、最後に死んでいく人間たち。生まれては死に、生まれては死ぬ。じゃあ、なんで必死に生きるんだろう。

「なんで生きないといけないのか」と「生きていきたい、生きていこう」とが戦っている。静と動、とでも言えるもの。どっちも自分。なのに、どっちかでしか生きられていない。

『情熱と冷静のあいだ』という小説がある。昔の大切な人が好きだった小説。恋愛の物語だけれど、この題名がやけに心に残っている。僕は、冷静と情熱のあいだで生き続けられるだろうか。

「生まれてきてくれて、ありがとう」

妻からのことばだけは、忘れずに。

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