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暗がりの備忘録

降りよう。そう思った。いや、何回も思っている。降りよう。降りないといけない。降りないと、もう生きていけない。

なにから降りるのか、正直なところ明確にあるわけではない。他人の評価を気にすることなのか、ちゃんとしなきゃと思う自分の思考なのか、「できない」ことを極端に恐れることなのか。どれも正解で、どれも的を得ていない気もする。

どれかひとつを降りたからといって、万事がうまくいくなんてことはないのだろう。

いろんな要素で絡み合っているのが人間だし、それらの要素は自分を傷つけることもあれば、守ってくれることもある。これさえなくなれば…そんなのは幻想だ。

いまが苦しいのならば、時間をかけて、ひとつひとつ解きほぐさないといけない。そして、ひとつひとつ作り上げないといけない。

大変な作業だと思う。27年間をかけて身につけたものは、いままでの僕を守ってきたもの。そこから降りるのは、一朝一夕でできない。でも、これからの僕には、少なくともいまの僕には“重り”でしかなくなってしまった。

楽なんだろうな。このままでいくのは。苦しいけれど、楽。

この楽さは、とても厄介で。降りることを決意しても、すぐに引き戻してくる。慣れ親しんだモノサシをあてがってくる。

いまの僕には窮屈でしかなくて。でも、それしか知らなくて。気付かずに背伸びをしていた。無理をしていた。無理という自覚もなくて。心は簡単に麻痺する。

身体は正直だから、そのうち動かなくなる。そして初めて、心の無理を悟る。

そんなことを何度繰り返したんだろう。何度繰り返すんだろう。

少し元気になったら、いままで通りの生活に戻れると思ってしまう。休んだから、走れるだろうと走り出してしまう。

とっくに、走れる身体と心ではなくなったのに。

走れていた頃の楽しさと快楽を思い出して、そこに縋っているばかり。思い出に縋るのは、楽だから。いまの苦しさを塗りつぶせるくらいに。

僕は、歩かないといけない。歩かないと生きていけない。

決意は、すぐに揺らいでしまうけど。楽な方に流されてしまいそうになるけど。

新しい方角への覚悟を持って。

走らずとも生きていけるんだと。他でもない自分に見せつけていこう。

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