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良い写真の共通点を探す(5)

良い写真の5つの指標

前回の記事では、これからの写真がどの様になっていくのかを、Z世代の方のinstagramと、LEICA OSKAR BARNACK AWARD 2021の写真をベースにして考察してみました。そこで、偶然「差し色」の概念を発見しました。良い写真には、彩度の高いアクセントカラーの存在が欠かせないのでは、という新しい発見です。また、個性についても重要な観点である事がわかりました。

さて、この記事ではいよいよ今までの発見から良い写真の共通点についてまとめます。

最初の記事では、LFIのランキングを作りそこから「決定的な瞬間」という共通点を見つけました。2つ目の記事では、ウェディングの写真から「わかりやすい≒伝わる写真」という共通点を見つけました。3つ目の記事からはいいねされるものが世界観の延長線上に存在するとは限らないという警句が得られました。そして「インパクトのある(惹きつけられる)写真」について発見しました。4つ目の記事からは「差し色と、個性」について発見がありました。まとめると、この5つの指標になりそうです。

・瞬間性(決定的な瞬間である)
・わかりやすさ(伝えたい事が伝わる)
・インパクト(惹きつけられる何かがある)
・アクセント(差し色などのワンポイントがあり、全体としても調和がとれている)
・個性(世界観を感じる)

長々と書いてきましたが、ようやくそれらしい要素が出揃いました。他にも沢山あると思うのですが、私の記事ではこの5つとします。この記事は良い写真の共通点を探す記事ですが、書いていて何となく「良い写真かどうかは、見る人によっても変わるのではないか?」と思い始めたため、写真以外の要素にも触れていきたいと思います。それは、写真を評価してくれる「評価者」の存在についてです。

同じ写真でも評価が変わるのはなぜか?

同じ写真でも、公開する人が違えば評価が変わります。有名な写真家が載せる写真は評価が上がりやすくなります。心理学ではこれを「ハロー効果」と呼びます。尊敬する人が投稿している写真は輝いて見えるものです。「良い写真」という言葉には、実は「誰が誰に見せるか」と言った外的な要因も含まれてきます。また、見る人によって「良い写真」の条件も違ってきそうです。

話を進めるため、上でまとめた5つの指標を「内的な評価要因」とします。そして、写真以外の要因であるものを「外的な評価要因」とします。極端な話ですが、誰が見ても「良い写真である」と認識してしまうような写真があったとしても、評価する人がゼロであれば「(良い写真と認める人が居ないので)良い写真ではない」ということになります。つまり、良い写真の条件には「良い写真と認識してくれる人たち≒外的な評価要因」も必要になってきます。

外的な評価要因とは「評価してくれる人や環境」の事になります。つまり、写真を「誰が」「いつ」「どこで」「誰から」評価されるかという要因です。この要因を考慮することで、全く同じ写真でも掲載する人や場所によって評価が違ってくる問題にも説明がつきますね。次の5つくらいが考えられそうです。

・誰が(写真を公開した人が何者か)
・いつ(公開された写真の季節性など)
・どこで(SNS上での公開か、写真展での公開かなど)
・誰から(評価してくれる人はどんな人たちか)
・どのような関係の人から(評価してくれる人と公開者の信頼関係)

つまり、風景が好きな人が周りに居るのなら風景が、ポートレートが好きな人が周りに居るのならポートレート写真が「良い写真」としての共通認識を作りやすいということになります。当たり前過ぎて何を言っているんだという感じかもしれませんが、良い写真は孤立していては絶対に撮れない(そもそも評価する人が居ないから)という事を再認識できたなと思います。そして、あなたの写真をあなた以上に「良い」と思ってくれる人が居るかも知れないと言うことを、忘れないでおきたいですね。

落合陽一さんのいいね数ランキング

写真は誰に見てもらうかも大事だということもわかったところで、恒例のいいね数ランキングを作って写真の特徴を見ていきたいと思います。落合陽一さんと言えば色々な顔があると思うのですが、写真に関連したところで言うとやはりLeicaを使う有名なアーティストだと言うところでしょう。Leicaの申し子のような彼のinstagramがどのようになっているのか、見ていきたいと思います。第1位から順番に引用させていただきます。

個人的に、かなり好きな写真たちでした。Leica関係の何かの雑誌で見た表現なのですが「媚びのない自然な写真」という印象を受けます。アーティスティックな写真も沢山あったのですが、お子さんの写真が上位を占めています。共通点を上げるとすれば「動きがある」と言うことでしょうか。第1位の写真は産まれた時の決定的な瞬間です。これはLFIのいいね数ランキングのときにも出た共通点ですね。外的要因から考えるのであれば、落合陽一さんの周りに居る方々が落合陽一さんのお子さんの写真を高く評価しているようです。フォロワーの人柄の良さが垣間見えます。

良い写真には良い評価者も必要

今回の記事で内的な評価要因だけではなく外的な評価要因も必要だという事が発見できました。Leica使いである落合陽一さんのランキングは、Leicaの好む決定的な瞬間と、落合陽一さんの周りの人柄の良いフォロワーに構成されたものと言えるでしょう。良い写真とは、良く撮れた写真だけで成り立つことはありません。良い評価者が周りに居て、初めて「良い写真」になると言うことを発見できました。

あとがき

この記事を書いていくことで意外と多くの共通点や重要な概念が発見できました。良い写真についてひたすら考えた記事でしたが、最終的に周りの写真を評価してくれる人たちも大事だと気づくことができました。私は数ヶ月前に、写真に関する情報収集のため「写真喫茶エス」というオンラインサロンに入りました。最初は情報収集が目的でしたが、この記事を書いてみて良い写真には良い評価者が必要だということに気づけました。これからはもう少しこのサロンの活動に参加して、この記事の内容を活かした良い写真をメンバーと共に撮って行きたいと思います。私はあまり人付き合いが得意でないので、それを補填するためにお金を払ってでもどこかのコミュニティに属するしかないという自覚がありました。月額3,300円は決して安くはないのですが、その自覚もあり入会した感じです。人付き合いが苦手な方ほど、良い写真のためにどこかのコミュニティに属するのもアリなのではないかなと思いました。

おわり

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