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ははが がん になりました。~家族としてはじめにしたこと~

母から乳がんになったことを告知された日の夜。

急いで家路につき、子供達へ食事をつくり、寝かしつけて・・・普段通りの生活を終え、ベッドに入ったら、また自然と涙が流れていた。

泣いている横で夫が、そっと背中を擦ってくれた。
夫と母は、結婚が決まった時に意見の食い違いで揉めてしまい、私が実家に帰省する時も、夫は同行しない。
最後に会ったのは継父と簡易的な結婚式をしたときくらい。
夫はきっと母のことがキライ。(口には出さないけど)
そんな夫に母の病気のことを伝えるのは悩んだ。伝えたところで「ふ~ん。」という反応が返ってくると思ったからだ。

でも、隠すことができなかった。
母の病名を伝えた後の夫の反応は「今週末退院するんでしょ?みんなで顔見に行こう。おれも行くから。しんぱいだね。」と予想外のものだった。
あんなに母を嫌がっていたのに、一緒になって心配してくれてとてもうれしかった。辛いとき一緒に寄り添ってくれる人がいるってこんなにも心強いんだな・・・と実感した。

でも、術後すぐの訪問は身体に負担だろう。乳がん術後はドレーン(創部内の滲出液を排出するために管を入れる)があるだろうし。
いろいろ考えた末、体力が戻ってくるだろう1カ月後くらいに帰省することを決めた。


その間にできることはなにか・・・​

運命なのか、数週間前に、
患者さんから 子供に病気を話すか悩んでるの。と相談を受けていた。
その時に渡したパンフレットの内容を思い出していた。
(まさか自分が熟読する日が来るなんて・・・)

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出典(がん情報サービス/家族ががんになったとき)

今やがんは2人に1人罹るといわれている病気。
ゆえに情報が溢れかえっているので、間違った(患者さんに合っていない)情報に流されて精神的に落ち込む人も多い。
だから、医療者として、エビデンスがはっきりしている情報を提供することが必須である。普段、病院ではこの “がん情報サービス” のサイトやパンフレットを用いて説明することが多い。

このパンフレットを何度も読み返し、
100%理解できなくてもいい。私が母を大切に思っているということを伝えよう・母の伴走者でいよう。
と思った。
がんは、癌腫によっては「慢性疾患」のように何年も付き合っていく病気になりつつある。
体力的にも精神的にも金銭的にも負担になる。
そんな母を引っ張るのではなく、母の希望を聞きながら一緒に闘っていこう。そう思った。


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