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ワーママへの歪んだやさしさ

ワーママへの優しさって何だろう。このモヤモヤを抱えたのは、3年以上前の独身の頃です。

発端は、ワーママへの自己研鑽の資格取得の免除です。当時の職場の部署では、成績一覧表のように資格一覧表があり、部内のだれがどの資格を取得しているか一目でわかるように見える化されていました。「年間、一人一つは資格取得に挑戦すること」と目標を立てられ、プレッシャーを感じていました。

しかし、ある日、上司は全体の場でワーママ社員に優しく言いました。「子育てで忙しい〇〇さんは、資格は無理しなくて大丈夫ですからね。」と。そして、そのワーママは笑顔で「ありがとうございます!助かります。」と答えていました。

ワーママに優しいとは?

私は、その時、違和感を感じました。なぜ、ワーママは当然のように資格取得やその勉強が免除されるのか。当時の私は20代中頃。二度と戻れない20代の私のプライベートの時間だって貴重なのに、当然のように上司は資格勉強にあてろと言ってくる。私の成長の為だとわかっているし、私は勉強が嫌ではなく、むしろ進んで資格取得に挑戦するタイプだったので、実害はなかったのですが、これがワーママに優しい会社のあり方なのか疑問でした。

この一連の流れを同僚はどう受け止めていたのだろう。

業務時間外は一切自己研鑽したくない、一切自由な時間を過ごしたい、そんなタイプの人にとっては、「ワーママはいいよな~」と内心思っていたかもしれません。
また「育児は女がするもので、家で時間がないのは理解できるから免除は理解できる」とか「育児よりは勉強の方がマシだから理解できる」と思っていた人もいたかもしれません。

でも、評価はどうするつもりなのだろう?

これも疑問でした。「資格取得した社員には評価を上げる。資格取得できなかった社員は評価をそのまま。」もし、こういうルールなら、はじめからワーママは評価を上げるつもりも期待もしてないのか。

「資格取得した社員には評価を上げる。資格取得できなかった社員は評価はそのまま、あるいは下げる。資格受験しなかった人は評価を下げる。」もし、こういうルールなら、ワーママは当然のように評価が下げられてしまう。

ワーママはそもそも資格関係の評価対象外で、資格受験しなくても評価が下がらないようにしているとしたら、ワーママ以外の人が受けるペナルティがない。これは、平等で納得があるのだろうか??

私の考え

個人的に、資格取得が評価に加味されることは納得できるし、会社が自己研鑽の推進をすることも理解できるのですが、ワーママだけ資格取得を目指す目標を免除するのはおかしいと思うんです。業務時間外の時間の使い方は、社員の自由で、ワーママであろうが、独身だろうが、勉強したくて、勉強時間を確保すると決めた人だけが挑戦すればいいと思うのです。

マネジメントについて、まだ私は経験不足ですが、相手の事情に合わせた個別対応や個別の成長支援は必要だと考えています。だから、乳幼児を抱えるワーママの負担を軽減しようとして、資格取得の免除の声をかけること自体は、相手次第では、悪いことではなく、正解なのかもしれません。
でも、そもそも、ワーパパだって会社にはたくさんいます。その中には、乳幼児のワーパパもいるはずで、そんなに人にも資格取得の免除を声掛けする気配もないのに、ワーママだけというのはちょっと違う気がするのです。乳幼児だけでなく、受験を控えた子どもがいたり、不登校などの事情を抱えた子どもをもつ家庭もあるでしょう。
あとは…、大した資格を何一つもっていない私が言うのもおこがましいのですが、このご時世、資格取得だけで自己研鑽の推進を管理をしていることが、ちょっとダサくて残念だなと思うんです。自律的に学びたいことを学べば、それを資格という形で証明しなくてもいいし大事なのは、社員一人一人が社会に貢献できる実力を身に付けて、皆が成長できる会社だと思うんです。ちなみに、子連れMBAでは、毎月、MBA講座が開講され勉強できます。

誰もが働きやすい会社にするためには、ワーママだけじゃなくて、ワーパパ含めた制度設計が必要で、ワーママに免除するならワーパパにも免除を、ワーパパに求めるならワーママにも求めていいと思うんです、全国転勤のあり方とかも、そろそろ本気で考えた方がいいと思っています。

ほかにもある謎の優しさ

例えば、休日の任意のボランティア活動やレクリエーション大会。正直、面倒だと思っている社員は沢山いると思われます。そんな中、ワーママは、育児を理由に欠席が暗黙の了承で認められる雰囲気があり、それ以外の社員はほぼ全員参加が求められます。(特に、若手はマスト参加の傾向がある。)

でも、アフター5に、ワーママが子どもは夫に預けて、任意の飲み会には参加するということがあります。ワーママがパパに預けて会社行事に参加するのはよいことですが、参加したい活動には、子どもをどうにかして参加し、参加したくない活動には、育児を理由に参加しないということになってくると、これまたおかしい。

「ワーママは、やりたいことはなんとしてもやって、やりたくないことは子育てを理由にやらない」

本当のところは、全部に参加したくて、飲み会だけでもと必死に時間を作って参加しようとしてくれたのかもしれないし、全部に参加したくないところ、最低でも一つは参加しようと協力してくれたのかもしれないですが、優先順位を付けて人生を生きる権利はみんなあります。

ただでさえ、「自分の時間」がなく、毎日を必死に子育てをしている子育て世代が、変な風に恨みを買わないようにも、

誰もが皆、やりたいことはやれて、やりたくないことはやらない、そんな未来を作らなければならない。

子連れでできる場所が増えたり、本音で話し合える心理的安全性が担保された場所が増えていくといいなと思います。

やさしさとありがとう

時短するワーママに、「もう帰って大丈夫ですよ」という優しさも、 

「(あなたは戦力外なので)、帰って大丈夫ですよ」なのか、

「(これは誰でもできる仕事なので、私に任せて
子どもを優先して)、帰って大丈夫ですよ」なのか。

「(やりたくないこと免除してくれて)ありがとう」なのか、

「(子育てを気遣ってくれて)ありがとう」なのか、

私自身、ワーママとして、今一度、「優しさ」や「感謝」の意味を考えたいと思います。

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