ARRとは?SaaSビジネスを理解する上で重要となるARRについて解説します。
SaaSビジネスを理解する上で重要な指標の一つにARRがあります。
人によっては聞きなれない単語かもしれませんが、SaaS企業の決算資料を見てみると必ずといっていいほどARRという単語が出てきます。
SaaS企業の事業の成長率を見る上でARRは非常に重要な指標となるので、この機会にARRについての理解を深め、SaaS企業のビジネスを深く理解できるようになりましょう。
ARRとは?
ARRとはAnnual Recurring Revenueの略で、年間の経常収益の事を指します。
SaaSビジネスでは、半年間や1年間といった期間を定めて契約を結ぶことが多いので、年単位で収益を見ることで、事業の成長率を見ることができます。
ARRとMRRの違い
先ほどのSansan株式会社の決算資料を見ていただけると、MRRという単語があるかと思います。
勘のいい方は気づいているかもしれませんが、ARRがAnnual(年間)の経常収益であるのに対して、MRRはMonthly(月間)の経常収益になります。
こちらもSaaSビジネスを理解する上で重要な指標となりますので、ぜひ覚えておきましょう。
基本的に月額の支払い金額が決まっているようなSaaSのプロダクトにおいてはARRが測定指標とされ、使用量によって課金額が変わる従量課金型のSaaSのプロダクトに関してはMRRが測定指標とされることが多い傾向にあります。
なぜARRが重要視されるのか
①企業の時価総額を算定する。
投資家が企業の投資をする際は、事業の将来性や継続性などを見た上で投資をするか否かの意思決定をするかと思いますが、SaaSのプロダクトに関しては、解約率が一定水準以下であれば年間の経常利益がどれくらい見込めるかを予測できるために、事業の将来性や継続性を見るためにARRやその成長率が重要視されます。
②SaaSビジネスにおけるKPIを設定できる
定額制のSaaSのプロダクトにおいて、安定した収益がどれくらい見込めるかを予測しておくことが、プロダクトの成長戦略に大きく関わってきます。
ARRを増加させる方法
①新規顧客獲得
ひとつめは新規顧客の獲得です。
SaaSビジネスの多くは月額課金型であり、ARR=顧客数×1社あたり平均月額課金額×12で算出できるので、顧客数を増やしていくことでARRは増加します。
②1社あたり平均月額課金額の増加
ふたつめは1社あたり平均月額課金額の増加であり、ARR=顧客数×1社あたり平均月額課金額×12で算出できるので、1社あたり平均月額課金額を増やしていくことでARRは増加します。
SaaSプロダクトの料金体制には、月額で決まった金額を支払うといった料金体制と、使用した量だけ支払う従量課金型の料金体制があります。
前者の月額で決まった金額を支払う料金体制においては、顧客のアップセルやオプション追加を通して1社あたりの平均課金額を上げていきます。
一方後者の従量課金型の料金体制においては、使用した分だけ1社あたりの売上が上がるため、プロダクトの導入支援・サポートを通してより使用してもらうようにするのか、そもそも営業の段階で社員数が多い大企業向けにアプローチをかけるといった手法が取られます。
また、増加要因にはなりませんが、契約企業の解約率を下げるというのもARRを増加させるうえで重要になります。
基本的に顧客を維持するためにかかるコストよりも、新規顧客を獲得するコストの方が高いと言われますし、新規顧客を獲得しても解約が多い状態だと、穴の開いたバケツに水を入れ続けている状態になるため、解約率というのはARRを増加させるにあたって重要な指標になります。
ARRとARR成長率の関係性
ARRと同様に重要視される指標としてARR成長率というのがあります。
読んでそのまま、ARRの成長率の事ですが、これもSaaSビジネスの将来性を見る上で重要な指標になっています。
SaaSのプロダクトは、特定の業務の効率化を図るものが多いがために、プロダクトのニーズが満たせる市場の大きさというのが限られてきます。
つまり、売上が上がれば上がるほど残された市場の大きさはどんどん小さくなっているわけです。
残された市場の大きさが小さくなればなるほど、ARR成長率は下がるため、多くのSaaS企業では、一つのプロダクトで大きなキャッシュを得られるようになれば、狙う市場を大きくするために新しいプロダクト・サービスの開発を行う傾向にあります。
この狙う市場の大きさの事をTAM(Total Addressable Market)といい、こちらもよく決算資料で出てくるので覚えておきましょう。
ARRの注意点
ARRを算出する上で、システム導入にかかる初期費用やコンサルティング費用などは加算されません。
なので、損益計算書上の売上高いは差が生じることがあります。
ARRを理解して楽しくSaaS企業の決算資料を読もう
ARRはSaaSの決算資料を読むうえで必ず知っておくべき単語になります。
ついこの間もSansan株式会社が提供している「Bill One」という請求書関連のサービスが1年9か月でARR10億越えを達成したという界隈ではかなり話題になったニュースがありました。
ARRを理解して楽して、SaaSビジネスに対する理解を深めていきましょう。
今回は以上になります。
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