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MRRとは?SaaSビジネスを理解する上で重要となるMRRについて解説します。

SaaSビジネスを理解する上で重要な指標の一つにMRRがあります。
MRRといっても人によっては聞きなれない単語かもしれませんが、SaaSビジネスを紐解く上で知っておくべき単語の一つです。

Sansan株式会社2022年5月期 決算説明資料より

実際にSansan株式会社の2022年5月期決算の説明資料においてもMRRという単語が使われています。
ぜひこの機会にMRRとは何かを理解して、SaaSビジネスを深く理解できるようになりましょう。

MRRとは?

MRRとはMonthly Recurring Revenueの略で、日本語訳すると「月次経常収益」の事です。
よく同じ場面で使用される単語としてARRがありますが、ARRはAnnual Recurring Revenueの略で、「年間経常収益」になります。

サブスクリプションのような定額制のビジネスモデルにおいて、事業の安定性や将来性を判断するための重要な指標として使用されます。

MRRの種類と計算方法

MRRは月間の経常収益になるのですが、その中でも収益の発生原因によって4つの種類に分けることができます。

MRRは4つの種類に分けられる

①New MRR

新規顧客から得られるMRRの事を指します。プロダクトをローンチしたばかりの時期に着目すべき指標とされています。

②Downgrade MRR

既存顧客が前月と比べてサービスをダウングレードしたことで収益が減少したMRRの事を指します。
減少した原因を探ることで、更なる事業成長に活かします。

③Expansion MRR

②のダウングレードとは逆で、アップグレードしたことで収益が増加したMRRの事を指します。

④Churn MRR

当月に解約をした顧客から得ていたMRRのことです。
少ないほど事業が安定していることになります。

MRRの計算方法

基本的なMRRの計算方法は、「月額利用額」×「顧客数」で出すことができます。
もっと具体で計算方法を出すと
MRR=前月MRR+(New MRR+Expansion MRR-Downgrade MRR-Churn MRR)になります。

MRRとARRの違いは?

最初の方で話した通り、MRRが月間の経常収益であるのに対して、ARRは年間の経常収益になります。

SaaS企業の決算資料を見ると、ARRについて詳しく記載しているのか、MRRについて詳しく記載しているのかが分かれますが、基本的に料金プランが年単位の契約の場合はARRについての記載が多く、複数の料金プランを用意していたり、定額制ではなく従量課金制の料金体制をとっているケースはMRRについて記載しているケースが多くなります。

ARRを見るかMRRを見るかは、どんなデータが欲しいかを明確にしてデータを見る必要があります。

MRRはなぜ重要視されるのか?

MRRと同様に、SaaS Quicks Ratioも企業の成長率を把握することができる重要な指標の一つになります。
MRRについての理解も深まったところでSaaS Quick Ratioについての理解も深めましょう。

SaaS Quick Ratioの分析に必要

SaaS Quick Ratioは、減少したMRRと増加したMRRの比率の事を表した指標です。
例えば、New MRRとExpansion MRRで+400万円、Downgrade MRRとChurn MRRで‐100万円だった場合、400÷100=4になります。

一般的に、数値が4以上の場合にビジネスとして収益の安定や将来性があるとされています。
まだSaaSのプロダクトがPMFしていないケースだと、解約数も自然と多くなるので、ある程度軌道に乗ってから正確な比率を出すようにする必要があります。
※PMF=Product Market Fitの略で、プロダクトが市場のニーズとあっている状態の事を指す。

MRRを計算する際の注意点

ARRと同様に、導入にかかる初期費用やコンサルティング費用などといった、ショットの収益に関してはMRRに含まれないので注意する必要があります。

MRRを改善・向上するための施策は?

MRRを改善するには、そのMRRの種類によって対策が変わってきます。

New MRRを向上するためには、新規顧客獲得をする必要がマストになってきますし、Downgrade MRRを改善するためには、顧客がダウングレードした原因を探り対策していく必要があります。

対策していきたいMRRによって、対策が異なるので、そういった視点で企業のマーケティング戦略を見れると面白くなります。

MRR向上事例:Bill One

Bill OneはSansan株式会社が提供しているサービスであり、請求書業務を加速させる請求書受領サービスです。

ついこの間、Bill OneのARRが10億を超えを1年9か月というかなりの速さで達成したというのがSaaS界隈で話題になっていました。

私自身、Sansan株式会社のマーケティング担当ではないので、具体的にどういった施策を通して1年9か月という短いスパンでARR10億円を達成したかはわかりませんが、あくまで考えられる施策として以下の2つがあると思います。

①エンタープライズ領域の営業強化

Bill Oneは請求書関連のサービスであり、従量課金型の料金体制をとっています。
つまり社員数が少ない中小企業の契約を複数社頂くよりも、社員数が多い大企業1社に契約してもらった方が、ARRに大きなインパクトを与えるケースも考えられます。

②既存顧客のクロスセル

サービスを提供しているSansan株式会社は既に名刺管理サービスSansanの方は多くの企業で導入されており、かなりの顧客データを抱えていると思うので、既存顧客に対しての営業を強化してBill Oneの導入を促進させることが可能です。

あくまで私自身の推測ではありますが、このようにしてARR10億円を1年9か月という速さで達成したのではないでしょうか。

MRRを理解して楽しくSaaS企業の決算資料を読もう。

MRRはSaaS企業の決算資料を読むうえで必ず知っておくべき単語になります。

MRRを理解して、SaaSビジネスに対する理解を深めていきましょう。
今回は以上になります。
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