N-qia『Fringe Popcical』

 Serphなどソロ名義でも活動中のTakmaとボーカリストNozomiによるエレクトロポップユニットの最新作。

 まるで夢の中にいるような全13曲。軽やかな電子音に、飛び跳ねるようなピアノや荘厳な弦楽器などのアコースティック楽器が重なり、そこにNozomiの繊細なボーカルが乗る。彼女のボーカルは、声というよりは一つの楽器のように音を奏でる。風でも吹いたら消えてしまいそうな儚い声で、時に優しく、時に切なく。

 個人的に一番のお気に入りは、幼虫がサナギから蝶になるように〈君が少しずつ大人になる〉様を描いた4曲目、“Cocoonsong”。序盤の無邪気な電子音から、中盤の重厚なパート、そして終盤へとどんどん変化していく曲調は、まさに「羽化そのものだ。

 1曲目“Shootingstar”を聴いていて、軽やかに跳ねる音が何かに似ていると思ったら、これはまるでイルミネーションだ。電子音もアコースティックな楽器の音もボーカルも、気まぐれなようで計算しつくされた電飾のように光ってはまた消える。冬の澄んだ空気の中、そんなイルミネーションを楽しむように、夜空の下で聴きたい一枚。

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