色を奪われた冬、推しについて考えさせられる冬

髪をピンクにした
ネイルを青にした
グリーンのワンピースを着た
赤いダッフルコート可愛いな

『○○のメンバーカラーだ』

9色も奪われちゃ、そりゃ、誰かしらのメンバーカラーにもなりますて

黄色とかオレンジは避けがちだからなかなかないけれど、白と黒は避けようもない

カーキとグレーとブラウンあたりを探すしかないのか
いや、それもはや、冬の枯れ草とかじゃん
ただでさえインパクトの欠片もない顔面に、枯れ草コーデは、存在が消えてなくなるよ

アースカラーを着こなせるのは、健やかロハス女子で、丁寧な暮らしとのセットなんよ
夜はパジャマ着て、寝る前にハーブティー飲むタイプ

頼む、わたしに色を返してくれ
誰のことも推してはいないが、もう、『箱推し』認定でいいよ
だから、わたしに色を返してくれ!

近頃は、まわりが『推し』に熱心でとても幸せそうだ
新曲が、YouTubeが、雑誌がと楽しそう
年末は歌番組も多いから、推しがたくさん観られて忙しいんだそうだ
今、一番人気のある人たちを推しているからか、追いつかないらしい


私の推しは、もう長年、『本』なので個人的にはとても安定した幸せ指数なのだけれど、誰かに本を勧めたいと思うことも稀なので、『推し活』としては弱い部類のようだ

なので、『本ばかり読んでないで、推し作りなよ』なんて言われたりもするのだけれど、活字に埋もれて生きていきたい時点で、わたしもしっかり、推しはある

一昔前でいう、携帯小説に近いものまでも読み漁るほどに、ずっと読んでいる
二次小説の存在を知ったときは、ドラマや映画ですら物語が無限に広がっていくんだと、震えたよね
実在する人物を題材にしたものなんかもあって、時々その人のリアルのパーソナリティを錯覚しそうになるものもある

もちろん、二次小説には著作権も影響してくるからとてもグレーなところは多いけれど、それでも、こんな文章を書ける人がいるんだ!という感情には勝てず、夜な夜な読み漁ってしまう

この世の中には、小説家ではなくたって素晴らしい構成と文章の物語を生み出す人がいるんだと嬉しくなる

小説の中にはタイトルが中身以上に秀逸だなと思うものもある

短い詩のような
葉桜の季節に君を想うということ
試着室で思い出したら本気の恋だと思う

タイトルだけで、青春モノかなと想像させる
成瀬は天下を取りにいく
桐島、部活やめるってよ

タイトルからは想像できない
バカが全裸でやってくる

本屋に行ったら、ひたすら背表紙を斜め読み
タイトルに引っ掛かったら、裏表紙の概要を確認
その次は最初の2行を読んでみて、言葉のリズムがしっくりきたらいったんキープ

書き出し2行のリズム確認は特に重要
苦手なリズムの作品はどんなに話題作でも、読んでいる途中でクラクラしてくる
不協和音を聴いてる気分になる

そんな感じで大体、10冊くらいに絞ったらドラフト会議
おおよその予算は決めているから、順位には価格も影響してくる
ジャンルの偏り、家に残る未読の本たちとのバランスなんかを考えて選別
次点で落選した本はメモして、いつかのドラフト会議の候補へ
1冊は育成枠として、新人作家を入れてみたり

そんな推し活の結果、我が家の本棚とクローゼットと廊下にまで本は積まれていく(キリが無いので本棚増やすの諦めた)
周りがキラキラと画面に映る人たちを推してる間、わたしは、ひたすらに私の思うままに景色や人物や声色を変えられた登場人物たちを頭の中で生かす
それは、表には見えないから、何も推していないように見えるのだけれど、全てを想いのままに想像しているわたしの方がよっぽど、重めの推し活なのかもしれない
ある意味、自分の想像しか認めないわけで、同担拒否よりも強く、リアコなんて飛び越えて、でも、本を閉じた瞬間や次の本を手に取った瞬間には忘れ去る
とても薄情な推し活かもしれない






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