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映画、ゲーム、本など、なんも分かんない五里霧中状態で頑張ります

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最近の記事

『ジャスティス』(1979)アウト・オブ・オーダーと言われたら

アル・パシーノからアル・パチーノへ アル・パチーノがまだアル・パシーノだった時代、無論、その時からすでにパチーノは名優であった。というわけで、今回は弁護士パチーノが、法制度と権力の在り方に対して怒髪天を衝くことでお馴染み、『ジャスティス』(1979)を紹介していきたい。 マイケル・コルレオーネの美青年としての面影と静かな狂気、トミー・モンタナのギラギラの狂気の間に位置する本作でパチーノが見せるのは、その二つを繋ぐ、苦悩と哀しみを持って法と権力の理不尽にブチ切れる、熱き弁護士の

    • 『神の一手』囲碁と暴力、そして『ヒカルの碁』、前人未踏の合体※ネタバレあり

      新たなジャンルの確立見出しの画像は、冷凍庫で囲碁を打っている映画の一場面である。半裸で。この後、冷凍庫で半裸で殴り合いをするのだが、これが伊達や酔狂ではない。ある意味伊達や酔狂ではあるが、映画として決して出オチの場面ではなく、ある種の必然と面白をもって描かれる。映画『神の一手』は、そんなバイオレンス囲碁アクション、と思わず呼びたくなるようなジャンルを一本で確立させた、驚異の映画だ。 あらすじ メタ的にふざけないことの重要性 基本的はお話の骨子は復讐譚だ。兄とプロ棋士人生を奪

      • 『FINAL FANTASY XVI』人が人として生きられる場所を作る前に※ネタバレあり

        遊んでいる間の巨大な違和感2023年6月12日に全世界同時発売となった「ファイナルファンタジー16」。正直全く遊ぶつもりはなかったが、コンバットディレクターがデビルメイクライシリーズなどを手掛けていた鈴木良太さんということを発売二日後ぐらいに知り、DMC5が大変好きなため、それは買うしかない!走って!と周回遅れで購入。それから何だかんだと文句をダラダラ言いつつ、一週目メインストーリーをようやくクリアした。そしてあまりにも巨大な違和感、文句、モヤモヤが渦巻いているため、ここに吐

        • 『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』 人生の教科書なんてものはない※ネタバレあり

          繰り返されるベンおじさんの死「運命なんてブッつぶせ。」日本版『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のポスターに爛々炯々と踊る惹句である。前作『スパイダーマン:スパイダーバース』をのポスターの惹句を見たところ、「運命を受け入れろ。」だった。この惹句はサム・ライミ版『スパイダーマン』の日本語版ポスターの惹句でもある。 思えばこれまでスパイダーマンという物語は、大いなる力には大いなる責任が伴う、それを受け入れろ、というお話だった。主にベンおじさんがその命をかけて教えて

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          『カード・カウンター』出よう!外に!無理だとしても!※ネタバレあり

          巨匠、いつもの味と反骨精神ポール・シュレイダー監督最新作の本作は、まさしくいつものシュレイダー作品であることは間違いない。いつものシュレイダー作品というのは、何か内にトラウマと狂気を秘めた主人公が、何かに囚われ狂気をひたすら募らせていく、そしてその狂気がどこに向かうのか…といった話だ。その話の結末は様々だが、大抵は全く碌なことにならずに終わる。ただ、その終わりが、主人公にとってどうなのか、ということは毎回変わる。 『カード・カウンター』は、その終わりが非常に美しくロマンチッ

          『カード・カウンター』出よう!外に!無理だとしても!※ネタバレあり

          映画五里霧中 信頼と困惑のSHINJIDAI!『クリード3 過去の逆襲』※ネタバレあり

          お前は過ちじゃないが、お前が犯した過ちについてはどうだ?――『クリード3 過去の逆襲』は、つまる所大体そんな映画だった。そしてSHINJIDAIだった。そんな自身が立てた問いに対して、主演にして本作映画初監督のMBJことマイケル・B・ジョーダンは、きっちり同じ作品内で答えを出している。謝ろう!ごめん!――この衒いのない感じの良さが、なんともグッとくる映画だった。そしておまけ映像でその余韻が全て消え、困惑だけが残った。ありがとうございます。 2015年「クリード チャンプを継

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