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完済の日の話

数年前のお盆休みに私は年収以上あったすべての借金を完済した。
任意整理をする勇気もなくひたすら返済した数年間だった。
全力で返済していると、どんどん返済できるようになり最後は思いがけず予定より早く完済できた(次の冬のボーナスで完済だなと思っていたのがお盆になった)
最後にATMで端数を返せた時に開放感とともになぜかとても地味な気持ちになり、お祝い兼ねて寄ろうと思っていたデパ地下に寄るのをやめ、近くのスーパーでビールと割引のお鮨を買ったことを覚えている。よくあの額を自力で返せたなとか返せるまで大病を患ったり死んだりしなくてラッキーだったなとか色々なことを考え感謝した。借金のことは誰にも言わなかったのでその孤独からも開放された気がした。

いま思えばお金がないことより、その後ろめたい孤独が大きなストレスだったのだと思う。それがない今何もなくても幸せである。
そして全力返済時の節約による惨めな気持ちや、辛かったこと、課金できない故に不快だったこと(美容院とか)は、時とともにほとんど忘れてしまった。誰かになにかされたとか親のせいで金銭的に苦労する子供時代を過ごされた方の苦悩と違い、自業自得な浪費による借金返済の苦しみは忘れられるようにできているようなので、本当に借金はさっさとかえしちまうに限る。






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