さびシマ | サイエンスコミュニケーター

生物系出身のサイエンスコミュニケーターです。自然科学、工学、文学、芸術、社会科学、みん…

さびシマ | サイエンスコミュニケーター

生物系出身のサイエンスコミュニケーターです。自然科学、工学、文学、芸術、社会科学、みんな好き。 某研究機関で研究広報の仕事をしています。3歳児の母。 (※ このnoteは個人で運営しています。所属機関とは関連ありません)

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ゆるりサイエンスのすすめ

はじめまして。「さびシマ」といいます。 この note は、日頃は科学ネタに縁がない人にも気軽に科学の話を楽しんでほしいという気持ちで始めました。 コンセプトは「女性誌・女性ファッション誌の巻末にある本・映画・音楽コラムのようなサイエンスコラム」です。 気軽に読めて人生を少し豊かにする、そんなサイエンスコラムを目指しています。 誰かに、あなたに、科学の話を少しでも面白がってもらえたら、この note は大成功です。 「この人の note、へーと思ったけど中身忘れちゃった」で

    • 夜になるとなんで暗くなるの? | ゆるりサイエンス#5

      わが家の3歳児、いわゆるなぜなぜ期真っ只中である。 今回のタイトルもその一つ。皆さんならどう答えるだろう? 「おひさまが出ていると暖かくて明るいでしょう。それが昼間。おひさまが沈むと夜になって、おひさまの光が届かないから暗くなるんだよ」 と、まずは答えてみる。するとすかさず次の「なんで?」がやってくる。 「なんでおひさまがしずむの?」 ふむ、良い質問ですね。などと相槌を打ちながら、どう説明したものか私の頭はフル回転だ。 好奇心の芽は大事にしたいし、でも難しくしすぎても

      • 『とかげくんのしっぽ』 | わが家の絵本紹介#2

        『とかげくんのしっぽ』は、イラストレーターでもあるツク之助さんの絵本の一つ。ツク之助さんの描くフトアゴヒゲトカゲの可愛さに骨抜きにされた我々夫婦が、買おう買おうと思っていた絵本のひとつだ。 とにかく絵が可愛い。可愛い以外の言葉が思いつかないほどに。 肝心のおはなしは、ある日「ぷつん」と切れてしまったしっぽを探して、とかげくんがいろんな動物に会いにいく物語。可愛いだけではなくて、じつはちょっと勉強になったりもする。 いろんな動物のしっぽを見せてもらう、とかげくん。ページをめく

        • 『このあな なんじゃ』 1&2 | わが家の絵本紹介 #1

          『このあな なんじゃ』はゆるっとかわいいイラストで描かれた仕掛け絵本だ。本を開いたその上で、さらにペラりとめくれる場所がある。 最初は何やら、穴や不思議な形のものが少しだけ見えていて、「なんじゃ? なんじゃ? これはなんじゃ?」とワクワクしながら開くと、その正体が姿を現す。 「何かあるね。なんだろ」 「なにかなぁ」 「覗いてみようか」 「うん」 「せーの……お! おいでおいでするカニ、ハクセンシオマネキじゃ〜〜〜〜!」 「じゃ〜〜!」 という具合で、ちょっともったいをつけ

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          化石からわかるあんなこと、こんなこと | ゆるりサイエンス#4

          子どもはどうして、あんなに「うんち」が好きなのか。(食事中の各位、申し訳ない) 「うんちー!」と言ってあんなにゲラゲラ笑えるのは、一体なんなのだろう。親が微妙な顔をするのもきっと面白いのだと思うのだけれど。 そんな「うんち」大好きな子どもと楽しめるかなと、先日二冊の本を買った。『ウンチ化石学入門』(著 泉賢太郎、集英社インターナショナル)と『こっそり楽しむうんこ化石の世界』(著 土屋健、技術評論社)だ。 正直、まだ我が子には早すぎるのだが、タイトルがバカうけして引力は抜群だっ

          化石からわかるあんなこと、こんなこと | ゆるりサイエンス#4

          『東京「街角」地質学』 | Book review 2

          「東京」に対するイメージは、人によってさまざまだろう。 オフィス街の丸の内も、情緒あふれる浅草も、田園風景広がる多摩も、東洋のガラパゴスと呼ばれる小笠原諸島も東京都だ。そんな東京で「すごい石」を探そうと思ったら、普通は自然豊かなところに目が向きそうなものだ。 だが本書では、あえて「街角」地質学を掲げ、都心部で見られる石について、地質学的な見方と石材建築の歴史的な見方を紹介している。 「東京は石だらけだ」と著者はいう。なるほど、本書を読むと、思っていた以上に私たちが石に囲まれ

          『東京「街角」地質学』 | Book review 2

          サスティナブルなうなぎとの付き合い方 | ゆるりサイエンス#3

          うなぎと言えば、誰もがあの甘辛いタレの効いた「蒲焼」と「黒くてぬめっとした細長い魚」をイメージすると思う。古典落語にもちょいちょい登場するので、うなぎ=日本のものと思われる方も多いだろう。 実際、ニホンウナギという名前のうなぎがいる。食用にされるうなぎのひとつだ。 他にヨーロッパウナギという種類もいて、こちらはテムズ川などヨーロッパの河を遡上する。イギリスではゼリー寄せとして親しまれてきたらしい。 うなぎは世界で19種類が報告されていて、そのうち4種が食用にされている。 そし

          サスティナブルなうなぎとの付き合い方 | ゆるりサイエンス#3

          寝ないと眠くなるのはどういう訳だ? | ゆるりサイエンス #2

          「昼寝をすれば夜中に眠れないのはどういう訳だ」とは、井上陽水の歌の一節である(『東へ西へ』作詞・作曲 井上陽水)。 いやそりゃ、昼寝したら夜眠くないのも当然でしょうよ。と、うっかり子どもと昼寝をしてしまった日の夜はいつも思う。ついスマホを見てダラダラしてしまうあの時間。あぁ、いま良質な睡眠が取れたら明日のパフォーマンスも上がるだろうに、とかなんとか思いながら、やっぱりスマホを見てしまう。 育児あるあるだ(と信じたい。みんな経験あるよね?)。 そうこうしていたら、スマホ画面に

          寝ないと眠くなるのはどういう訳だ? | ゆるりサイエンス #2

          『ウンチ化石学入門』 | Book review 1

          なかなかインパクトのあるタイトルだ。 帰宅する車の中で、運転席の夫に今日買った本として報告したところ、後部座席から子どもが「ウンチの話?」と割り込んでくるくらいには強烈だ。私の手元にある本書には幅広の帯がついていて、誰でも知っているスター恐竜のウンチの写真がどどんと印刷されている。これまたインパクトが大きい。 ところがどっこい、本書の内容はこの帯からイメージするものとは少し違っている。 著者の専門は「海棲無脊椎動物のウンチ化石」である。ご本人曰く、「地味な生痕化石、地味なウ

          『ウンチ化石学入門』 | Book review 1

          ブラックホール 〜歴史の1ページ執筆中〜 | ゆるりサイエンス#1

          3年前のその日、私は病院のベッドの上にいた。 緊急帝王切開で母子ともに死線を乗り越えたばかり。 そんな中、お見舞いに来た夫がテンション高く 「昨日のニュース見た? ブラックホールの撮影に初成功だって!」 というので、思わず 「知らんよ」 と冷たく返した。その温度差たるや。だってそれどころじゃなかったもの。 その夜、泣く子を抱えながらぼんやりと思い出したのは、映画『銀河鉄道の夜』(作画:ますむらひろし、監督:杉井ギサブロー)だった。言わずと知れた宮沢賢治の名作だが、この映画版

          ブラックホール 〜歴史の1ページ執筆中〜 | ゆるりサイエンス#1