台湾で禅体験
台湾の友人から「禅の体験講座」があるということを聞き、興味津々で申し込みをしました。
法鼓山蘭陽分院という、羅東にある禅宗の寺院です。
私は京都の大学に在学中には仏教の研究会に所属するなど、若い頃から仏教には関心を持っていました。
社会人になってから日本の禅寺で座禅に参加したり、お寺でお坊さんの法話を聴いたり写経をしたりすることはとても心地よく好きなことなのです。
言葉ができない不安はありながらの参加です。
詳しい内容など知らずに参加したのですが、50名くらいの参加者の中には20代くらいの若い人や高校生のような方たちがいたこと、こんな若い人が禅に興味を持っていることに驚かされました。
禅とは?の講義から始まり、
心身をリラックスさせることの大切さやその方法を体験を混じえて学びます。
7名ずつのグループ編成で、経験者がリーダーで入っていて一人一人に細かい点の指導やグループディスカッションをリードしていただき落ちこぼれることもなく助かりました。
隣に英語の話せる方がおられて、時々説明していただけたのもありがたかったです。
参加者全員でお互いが自然に交わるゲーム感覚の活動などを通してリラックスし、楽しく気持ちがほぐれるよう工夫されていました。(普通ならこれが楽しい時間なのでしょうが、私にとっては言葉が通じない分、この時間が情けなくてつらい時間でした😅)
食事の作法を教わってから迎えたお昼の時間。
お寺で準備して下さった、素食のお弁当(精進料理)を一堂に会していただきました。
多分、スタッフの方々が作ってくださったであろうお料理の数々、とても美味しく滋味深い味わいのお弁当でした。
スマホ持ち込み禁止なので写真が撮れず残念。
記憶で簡単な絵を描きました。
(種類豊富な野菜料理とタンパク源は大豆製品3種類ほど。スープも具だくさんでした。)
食事の作法を守ってのとても静かな食事時間、黙々と食べることに専念する(今のこの時期は黙食は一般的になりましたね)、これも禅のひとつということなのです。
(食の作法、決まり事については、後で触れたいと思います。)
丸一日かけての禅についての学び、
体験はとても興味深く有意義なものでしたが、言葉がわからない中で講義を受けたり、ディスカッションをしたりはやはりもどかしいものでした。
ちなみに、この講座の参加費用は無料なのです。(昼食も全て)
思いがけず、こんな機会に出会えたことに感謝❣️
そしてなんと、これには続きがあるのです!
この体験講座の後
間も無く、また友人が「[初級禅訓班]というのがあるけど、参加してみる?」と教えてくれたのです。
前回の体験講座で、行き詰ったのでは?、、😅
フルタイムでの二日間果たしてついていけるかの不安もあり、ためらっていると、「大丈夫だよ。今度は黙々と禅の訓練が中心だから」とのこと。
それを聞いて、それならと、また挑戦してみたくなったのでした。
思い切って申し込みをしてみることにしました。
事前に心身の健康他のチェックがあり、それで受講許可を得る必要があります。
無事、許可のメールが届きました。
この禅訓練は2日間にわたる研修、本当にできるか不安だらけの参加です。
[初級禅訓班]は禅の入門編というところ。
前回が体験で、これからいよいよ訓練に入るということのようです。
朝9時始まり。
受付けでは 日本人を迎えるという雰囲気で皆さんにっこりと“おはよう”とか日本語でのご挨拶までいただいて心が和みました。
ちなみに日本人(外国人)の参加者は私が一人。
しかも最高齢者!(前回の体験講座も)
少し早めに着いたと思っていたら、会場にはすでに半分くらいの人が。
前回の体験講座で少し雰囲気に慣れていたので気分的にはとても楽に臨めました。
広い講堂のフローリングの床に、一人ずつに、70cm四方くらいのマットと厚めのクッション、厚めのタオルの膝掛けがセットされています。
参加者は50名前後、6人のグループが8組ほど。
各班には前回同様リーダーの方が付いていて一人一人に細やかな指導をしてくださるので安心です。
スマホ持ち込みは禁止、スマホの翻訳にも頼れないので、開き直って大袈裟に言えば、体全体にアンテナを張って吸収するしかないと考えていました。
前回の体験講座の反省から、今回は筆記用具を持って臨みました。
台北や花蓮あたりからの参加者もおられて、民宿に泊まって2日間の訓練に臨んでいるようでした。
禅の訓練は初級から始まり中級、上級へと段階を追って訓練に参加できるようです。
まず座学で、法師のお話があります。
助かったことには、プロジェクターを使って話の骨子が示されたこと、
そして、[初級禅訓班]という冊子をいただけたのは大助かりでした。
お話の細部は理解できなくても、
幸い、漢字を読むことができるので、スクリーンに示されたことや、配られた学習ノートに示されていることを見ておおよその内容については把握することができました。(今回はノートをとれたのが1番の救いでした)
法師が話される一つひとつのポイントについて、スクリーンとにらめっこしながら理解に努め、ノートをとることができました。
話の区切り区切りで、グループでのディスカッションを円座になって行います。
言葉が通じない中、隣の方が英語のできる方だったので、時々、説明をしてもらえたのが助かりました。(時には漢字で筆談をしたり😅)
今回の禅の訓練で重要なポイントは
★身心をリラックス[身心放鬆]させること
「身在那裡、身體放鬆。心在那裡、心情放鬆。」と
何度もみんなで声に出して唱和しました。
★集中して感じること(身心の集中)
坐禅を組む時はお尻をクッションの半分ほどに載せて当て、足を組み、膝掛けをかけます。
足の組み方も具体的に学び、7点支座というポイントを押さえた形で姿勢を整えます。
心がけることは“身心放鬆”(身体と心をリラックスさせる)
息の整え方なども学びます。
始める前には体をほぐす動きをしてから坐禅を始めます。
2日間の日程の中で何回かの坐禅があり、やはり一番の“身心放鬆”の時でした。
体をリラックスさせる事前の体操や坐禅の具体的な姿勢などを教わり、それを実際に体験することにより、少し禅の入り口に立つことができた感じです。
坐禅を行う時に痛みや煩わしさなどを感じる時、それから解き放たれる方法として、「息を吐く」ことを学びました。
実際にこれをやってみると、本当に痛みを感じなくなる実感も味わいました。息を大きく吐くことで心身のリラックスができることは貴重な体験でした。
禅は、[坐禅]だけではなく、[立禅]、[經行(慢歩經行、自然經行)]、[臥禅]、[吃飯禅]、など様々なものがあることを知りました。
[經行]の訓練では
なみなみと水が入ったお椀を持ってこぼさないようにゆっくりゆっくり歩くのですが、この訓練では、心身がリラックスしないとうまくいかない、まさに心身を解き放って集中することが大切であることがよく分かりました。
[吃飯禅]では
食事の時の心構えとして、5つのことが示されました。
これは、以前日本の禅宗のお寺の[朝偈]の体験をしたことがあり、その時に学んだ[五観の偈]とおおよそ同じ内容であることがわかりました。
日本の禅宗のお寺のホームページに解説まで示されているのが あったので下記に貼ってみました。
この五観の偈について自分に問いながら 食事に向き合うのです。
具体的なことも示され
最初の三口をよく味わいながら100回噛んでから呑み込むこと、口に食べ物がある間は次に箸をつけないなどは、実際やってみることによってその後の食べ方のペースにもつながるのだということがよく分かります。
この日の食事はセルフで自分に見合った食事量を選び、しっかり味わっていくというスタイルです。
この二日間の昼食は、スタッフの方々が準備してくださった精進料理をじっくり味わわせていただきました。
(私は長年、食に関する仕事をしてきたので、台湾の人々の食を大切にする考え方や料理に大変関心があります。
この2日間の素食の機会はとても貴重な体験でした。)
この二日間の初級禅訓練では
禅は生活のあらゆる場面に通じるものであること、実際の生活の中に意識して活かしていくことが重要であるということを学びました。
様々な生活の中での考え方についても具体的に示されましたが、ここでは割愛します。
日常を離れて静かにただひたすら禅について学び体験したこの二日間で何を得ることが出来たのか?
私はこれからどのように生活していくか?ゆっくり考える時間となりました。
結果
「力を抜いてリラックスし、自然体で丁寧に暮らしていきたい」
という想いを新たにしたのが大きな喜びでした。
言葉の通じない私を研修会に受け入れていただいた事にとても感謝しています。
これからの人生の糧になる貴重な機会でした。
この初級禅訓班終了後に
レポートを依頼され、日本語でよければと、お礼の意味を込めて提出しました。
この後、
次の段階の訓練に臨むか、友人がチェックしてくれました。
残念なことに、年齢制限に引っかかり受けられないということが分かりました。
ところが、前回のレポートをお読みくださった法師が、私の次の訓練を許可してくださったとのこと。
4月下旬には中級禅訓班に参加することになりました!
さてさてうまく訓練がこなせるか心配ですが、嬉しさも❣️
心静かな生き方ができるように精進していきたいと思っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?