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富士五湖ツーリング その8


富士山を一周している。

田貫湖、本栖湖、精進湖を過ぎ
次は西湖だ。

上の精進湖の写真で15:13。
写真は、時間の記録にもなる。


15時を過ぎると、陽射しが弱まり
大気は冷たさを増してくる。

R139を東へ。
少し走ると『西湖湖畔』と書いた看板があった。

国道から外れ、県道21へ。

西湖の湖畔に出た。
湖を右に見ながら東へと走る。

西湖は東西に細長い。
湖は一周せず、北側半分だけ走ろうと決める。

すぐに、駐車場があった。
人がいる。富士山が見えるのかも。

駐車スペースは車の分しかなく
そこを一つ使うのは申し訳なくて
バイクを路肩に停めた。

ここで、一度ヘルメットを取る。
ようやく水分補給。
持ってきた白湯があと少しになる。

ここには、石碑があった。
みんなで順番に写真を撮る。

西湖と富士山

自転車の人が石碑に自転車を預けて
写真を撮っている。

バイクより自転車の方が大変だろう。
ここまで来た記念なんだろうな。

そんなことを思いながら見ていたら
小型のバイクの人も石碑の近くにバイクを置いて
写真を撮っていた。

西湖のほとりには
車が何台も停まっていて
湖畔の駐車場なのか、賑わっていた。

写真に写らないように
石碑で車を避けて写真を撮ったけど
本当はこんな感じ。

湖畔の砂地に停められる様子

ここで、15:25。
精進湖と西湖は近いみたい。

少し開けてきたから
きっとスタンドもあるだろう。

駐車場の紅葉が綺麗だ。

色づいてきている

今年は残暑が長かったせいか
紅葉が遅い気がする。

これから見頃を迎えるんだろう。

どこに行っても色とりどりの中
走るのは気持ちいいだろうなぁ。

今はまだ緑が濃い山を見ながら
先へ急ごうとヘルメットをかぶった。


湖に沿って走る。

カーブの大きさは好きな感じだけど
路面が荒い。ザグザグしてる感じ。

ツルツルよりはいいけれど。
砂も浮いてないからいいか。

国道は直線があり、左手を離して走れたが
ここはカーブが続き、片手運転ができない。

左肩が痛むが、仕方ない。

片手でカーブを曲がるとさすがに危ないので
痛みを我慢して左手もハンドルに置いた。

右手はずっと湖が見えている。
気持ちの良い道だ。

富士山は向かい側の山で
見えたり隠れたり。

対岸の山は日陰で
緑が深緑へと暗く沈んでいる。

右の湖側に木がないので
湖と対岸の山、時折富士山を見ながら走る。

左は山が迫っていて
陽が当たり、緑まぶしい。

でも、スタンドはない。
建物一つ建っていない。

ここは山と山の割れ目のようなところに
水がたまったんだな。

西湖にはスタンドはない。

そんな気がして、次の湖に向かって
バイクを走らせた。


湖が見えなくなった。
西湖を抜けたようだ。

ここから下っていく。

たしか、富士五湖は湖面の高さが違い
西湖と河口湖はかなり高低差があると
聞いたことがある(気がする)。

ぐっと下りながら
集落の中を抜けていく。

人の住む家はあるが、スタンドはない。

みんな、車のガソリンどうしてるんだろ。

もはや、不思議にすらなってきた
スタンドなし問題。

こんな山の中、電車もないし
バス停も見当たらない。

車がないと生きていけないと思うんだが。
なぜ、その予想が外れてスタンドが全くないのか。


下った先で平らになると
周りに住宅が増えてきてあっという間に湖畔に出た。

ここは左へ。
左は県道21、右は県道710と名前を変える。

湖畔で停まり
富士山と湖の写真を撮ると
スマホを見て、次のルートを覚える。

それを繰り返して
記憶できなくなっている頭でも
ようやくここまで来られた。

今、道を間違うと
帰りたい道で帰れなくなる。

その必死さからか湖同士が近いからか
間違えずに今のところ来ている。

ようやく河口湖。

ここには来たことがある。
ホッとしている自分に体の力が少し抜けた。


河口湖は周りが少し開けていて
左側にペンションやホテルなどが並ぶ。

旅館じゃないところが面白い。
一気におしゃれな感じになる。

でも、スタンドはない。
こんなに開けているのに?

ガソリンのフューエルメーターは
最後のひとメモリのまま。

確か、最後はランプがついた気がする。
赤いランプだったような。

メーターあたりに目をやる。
赤い色は見えない。

3年前、高速道路で
赤いランプがついたことを思い出した。

ガソリンが残り2Lでつくはずのランプ。
リッター30km走るから
あと60km走るはずと走りながら計算したあの時。

目の前の電光掲示板に
『沼津まであと何キロ』と書いてあって
60km未満だった時の安堵感を思い出す。

あの時は、うちの車の後をついて
走っていたからなぁ。

このバイクでの初めての高速。

慣らしも終わってなくて
エンジンが8,000回転だと置いていかれて…


思い出から現実に戻り
あと60km以上走れることに気づく。

河口湖は開けている。
どこかにスタンドはあるはずだ。

そう信じることにした。


右手は林はなく、湖沿いを走る。
一段と陽が落ちたような気がする。

そんなに時間は経ってないのに。

秋の夕日はつるべ落としとは
よく言ったものだ。

刻々と、色の彩度が落ちていく。
今日の日の入りは何時なんだろう。

いくつか点在していたホテルのうち
大きなホテル前に来た。

左手の長く伸びる柵と
右手のガードレールの間。

真っ直ぐな道を走っていると
右手に富士山が見えた。

路肩がない。
左手の柵が切れ、ホテルの入り口が現れた。

バスが停まりそうな大きな路肩に
バイクを寄せて停め
またがったまま、写真を撮る。

雲が湧いてきている

手前の山で半分隠れている。

急がねば。

河口湖は西湖より広い。
まだ山中湖もある。

山中湖の後、道志を通って帰れるのか。


今、15:45。
山中湖のあの交差点に17時に着けたら
道志を通って帰ろう。

日の入りから夜の闇に包まれるまでの
残光が残る間に道志を抜けよう。

そう決めて
間に合うか間に合わないか
時間の読めないまま
とにかくスタンドを見つけようと
河口湖の湖畔をひたすら東に向かって走った。





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