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ふるさとの景色

冬になると特に感じることがある。
晴れた日の朝、北西方向に見える日光連山の美しさだ。

私の家から街中方向に車で出かける時、アップダウンの多い幹線道路を通る。
ちょうど大きい交差点が上り坂の頂上にあって、信号待ちの間に日光連山を眺める形になる。
こちらも山も両方晴れていると、冠雪した男体山がきれいに見える。

山に雪雲がかかっていてよく見えないと、少し残念な気持ちになるのだけれど、毎冬1回は
「この景色が見えなかったら寂しいと感じる日もあるんだよね」
と思う。
実際、学生時代は都内に住んでいたので、そんな日があった。

この景色の美しさ、そしてこれが私の故郷の景色だということを自覚したのは、中学1年生の時だった。
母校は1年生が3階、2年生が2階、3年生が1階の教室だったのだが、3回のエレベーターホール(給食用のワゴンを乗せるエレベーター)の窓から、日光連山がとてもよく見えたのだ。
その美しさに心を奪われたのは、休み時間に友人とそこでおしゃべりをしていた時だったと思う。
その後も、今でも、空気が澄んで男体山が特に美しく見える朝に、その時の景色を鮮明に思い出す。

そのようなはっきりとした『故郷の景色』があるのは、本当に幸せなことだと思う。
きっと、どんなことがあっても、この景色を思い出せば根無し草のような気持ちにならないで済むのだろう。
例えこの先、何かがあって世界中を転々とするような人生になったとしても(その予定は今のところないけれど)、きっとこの景色を思い出すに違いないと思う。


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