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貴方があたしを思う時

なつかしい気配はどうがある。
久しぶりだった。
でも、普通しぜん会話お喋りしている。

霊界れいかい、死後の世界。本やブログあるけど、微妙ビミョーに違うじゃないの。どれが真実ホンモノだ』

「あのね。同じ物も、角度が変われば違って見えるでしょ。正解なんてないのよ」

☆☆☆

こんにちは。フジミドリです。今日4/24は、私とミドリの結婚記念日。39年前になります。

不思議夢のようです。今ここで結婚式の場所にいる。情景ようす鮮明にありありと浮かびます。ただ、記憶おもいでの中にだけるのでしょうか。

ミドリを看取みとって、今年の夏で15年になります。以前、こちらに書きました☟


作家を夢み、挫折ザセツした私。ミドリの声がこえて、書けるようになりました。

☆☆☆

『あはは~なんかオレ、スピリチュアルの先生みたいになっちゃってさ。ご質問を頂いたりするんだけど。いいのかな』

「あら、いいんじゃない。塾の先生やってるくらいだしね。あなたって、昔っから理屈りくつっぽくて、 説明が上手じょうずだったもの」

『あれ~あれれ~ああ言えばこう言う、口のらないやつとかおっしゃってませんでした?』

「まぁ、何を仰るウサギさん。そんなこと言ってませんことよ。おーっほっほっほ」

☆☆☆

ちよっと言葉遊び、想像の産物もうそうほらばなし私物語ファンタジーとしてお読み頂ければ嬉しく思います──

☆☆☆

『死後の世界がどうか。3次元こっちにいると実感わかないわけよ。知らなくていいのかな』

「うーん。そこは微妙ね」

前世ぜんせの記憶なら曖昧うっすらでもいいよ。こまかなことまで覚えていたら、混乱しちゃう』

「そうねぇ。ややこしくなるわ」

『けど、死後の世界があるってわかれば、生き方は変わってくる。最重要事項たいせつなことだよ』

「たーしかに確かに」

☆☆☆

前世を知ることでいやされる。トラウマは解消できた。そんな方法があっていい。

否定するのではない。ただ道術家どうじゅつかは、くわしく知る必要がないと考えるのだ。

前世はあるとだけ、受け入れておけば済む。そのような理解でよいのだろう。

☆☆☆

「生まれる時って、赤ちゃんはみんな、泣くじゃない。わかってるのよ。とんでもないとこに来ちゃったなって」

『あ。ホントだ。なんで、笑って生まれないんだろう。わかってんのか。死後の世界』

「でも、大人まわり常識おもいこみで、ふうじられるわ。学校へ行けば、お勉強ベンキョしなさいだもん」

『そっかぁ。死ぬ時って安らかな顔してる。どんな処へ向かうのか、想像つくよな』

☆☆☆

本来たましいの自分を忘れてしまう。そして、生まれてくる。別の人として生き直すために。

すっかり忘れて、味わうのめりこむ人生もあるだろう。オレのように、思い出す霊止ヒトもいる。

色々な物語じんせい混在カオスしている。

☆☆☆

『人生は決まってる。そう理解しても、辛いこと苦しいこと、次々とおそいかかって来た。マジ、何でだろうと思ったよ』

「わかるわ。あたしホントつらかった。でも、霊界こっちに来ると、そういう記憶おもいでは消してしまえるから、大切なこと波動しか残らないの」

『大切なことって理解だよね。法則がどういう仕組みシステムになっているのか。科学や哲学じゃ説明できない領域じげんを感じとるわけだ』

「あなたって、感じるの苦手にがてだったわよね。デリカシー繊細さないし。あたしが霊界ここへ来て、ちょびっとはマシになったけど』

スビバセンm(__)m。お手数お掛け致しました』

☆☆☆

あねさん女房にょうぼうだった。ミドリは3月生まれで、オレが5月。2ヶ月ちがいで一つ上の学年。

今から思えば、突っ張ってイキがった、うつわの小さい癇癪持かんしゃくもちの若造わかぞうだった。支えられていたことがよくわかる。

☆☆☆

『あはは~デリカシーこまやかさがない。何やってんだって恥ずかしいね。薄れてはきたけど』

「だからあたしも言えるのよ」

俯瞰ふかんするというか。今のオレとは違うって感覚あるよ。他人を外から見る感じだね』

「そうなるとらくチンでしょ」

☆☆☆

あの頃、こんな風に話せたら、どんなに愉快ゆかいだったろう。なぜ、できなかったのか。

とはいえ、過去あのころの自分を責める思いはない。その時々で、精一杯げんかいだった。

あの経験ひびがあって此処ここまで来た。この境地ばしょに立てた。えなければならないかべだった。

今ならそう言える。このオレだから。渦中かちゅうにある時は、思いに振り回された。

☆☆☆

死後そっちの世界って、ゆうれいしん界に分かれている。そう理解してるんだけど』

『いいんじゃないかしら」

『その中も、階層かいそうというか、霊魂たましい波動はどうで、明確に分かれていくと感じるんだ』

全然それでオッケーよ」

☆☆☆

同じ波動の霊魂たましいつどう世界。言葉など不要いらない。お互い、るだけで通じ合うのだ。

ただ心地よい。

それに比べて、この世はなんと、入り乱れていることか。軋轢あつれきがあるのも当然だろう。

☆☆☆

ラクよぉ。楽過ぎちゃって、波動を上げる方法に気づけないの。何でもできるからね」

『食べたいだけ食べても太らない。おなかくださない。体ないからね。そんなのもありか』

「あたし、犬や猫と遊んで、美味おいしく食べて温泉かって、好きなだけ本を読んだわ」

とどまる霊魂もあるか。時間とき空間ばしょもないからね。あっという間に千年経っちゃう』

☆☆☆

好きな趣味ことだけ、望む時に、気が済むまで。うれいもなく安心して。緩みダラケ切った暮らし。

悪くない。そう思う。
永遠とわに続くのか。

☆☆☆

もう沢山おなかいっぱいって悟るまでよ。誰も文句もんく言わないし。さとす人もないの」

『この世にある苦悩くのうが、全て解消されるんだものな。ひたり切っちゃいそうだよ』

「多いわね。そういう霊魂たましい

『でもやっぱ、オレはその先へ進みたい気がするよ。どうなるかわかんないけどさ』

☆☆☆

自然と口は動く。
粋がっているのかもしれない。
すると、おだやかな気配はどうが流れてきた。
悪戯いたずらっぽく笑うような──

ミドリは黙っていた。

☆☆☆

『好きなことに浸るのが幽界、卒業すると霊界、さらに進んで神界。そんなとこルートかな』

「うん。それでいいわ」

『神界って、何もかもがヒトツだよね。そもそもの分離ぶんりがないっていうかさ』

「そうねぇ。あたしもよくわからないけど、何もないって、まらないかしれないわ」

☆☆☆

映像ヴィジョンが浮かぶ。螺旋らせん渦巻うずまきつつのぼっていく右回りの流れ。スッと視点が変わる。

今度は左回りで下降かこうしていく。

右回りがいつの間にか左回り。上昇は下降と入れ替わる。立体的なメビウスの

☆☆☆

『うーん。一つと思えば一つ。分かれると思えば分かれる。まさに自由自在じぶんしだいか』

「そうよぉ。みーんなつながってる。なのに、別々になる世界も創れちゃうの」

3次元こっちにいると、生きてる時と死んだ時の境界って厳格でしょ。死体も見たしさ』

「あぁ、確かに」

☆☆☆

思い出す。かかえるほどの木箱。骨壺こつつぼフタはずす。ひとり暮らしの部屋。白いほねに見入る。伸ばす手はふるえた──

☆☆☆

「そうね。雨が降ってる辛いこと苦しいことだらけとするわ。曇り空ぜつぼう。でも、雲の上は太陽きぼうが光り輝いてるの」

『なるほど。雨雲トラブルを見ても、輝く太陽たましいが感じられるかって話か。いやいや、難しいぞ』

「うん。理屈アタマでわかっても、実際えびでんすは見えないから。聞くこともできないわ」

『感じるといっても、さわれるわけはないし。推定する思い込むというか。もう信仰しんこうだよな』

☆☆☆

この会話は、オレが想像しているのか。それとも、ミドリの霊魂たましいからひびいてくる何かを、脳が言葉に変換するのか。

☆☆☆

「そう。感じる目も耳も鼻もないのよね。だって身体カラダがないんだもの。テヘ」

『オレは道術家どうじゅつだからさ。れずに相手を動かせる。これが中真感覚ちゅうしんかんかくって体験あるけど』

「うーん。あたしにとっての道術は、動物との一体感モフモフ料理グルメだったかしらね」

『あ。犬のしつけトレーナーだったよ。飼い主が持てあましてるのに、一瞬で言うこと聞かせていたもんな。料理も上手うまかった』

☆☆☆

好きな趣味や得意な技に熱中する時は、それぞれの道で、本来たましいの自分を取り戻している。

心地よい、このままでよいと感ずれば、オレがオレであるいまなのだ。

☆☆☆

『ようやく今は少し楽になって。でも、キツかったなぁ。もう勘弁かんべんしてくれって思った』

「あら、そんなの当たり前じゃない。霊魂たましいは死ぬ前に、できるだけ理解を進めたいもん。心のことなんて考えてないわ」

『やれやれ。お手柔てやわらかに頼むよ。でもさ、決まってるんだから、俎板まないたの上のこいめてお任せした方がいいね』

「そうよ。決めたこと人生だもの。そして何時いつだって、雨雲おもいはる彼方かなた太陽たましいは輝いてるわ」

☆☆☆

オレはこれでいい。

地球ここで、決まっている人生を淡々と済ます。こんな風に、次の世界も感じつつ。

☆☆

『死んだらになるって思う人がいて、死んだあとも、ぼーっとしてるって聞いたけど』

「そう。そうなの。ちょっと不気味ブッキッミーよ」
『それも自分で創るのか』
「無になるって思い込んでるものね」
『あのさ。お墓参りしてないよ』

「ありがと」
『言ったじゃない』
「うん。言った」
『あんな暗くて狭いとこにいないわ』

「そうよ。絶対ぜってぇイヤだもん」
『他の人はいいけど、あなた行かないで』
「だって、長い間ずっとあそこにいるのよ」
『それも自分で創っちゃうんだ』

☆☆☆

墓を否定するわけもない。

どう捉えるのかは、それぞれの人生で決めた通り。賛同さんどうはしないが批判ひはんも浮かばない。

そのままでよいのだ。

☆☆☆

『オレたち、波乱万丈はらんばんじょうだった。刺激が強過ぎるかもなって、控え目に書いたけど』

「それでいいんじゃない。わかる人はわかるわよ。行間ぎょうかんからにじみ出るっていうか」

『今は、かすみかってる感じだね。ホント、前世の自分をるようだな』

「あたしも同じだわ。あなたが思い出してくれる時、あたしはここにいるの」

☆☆☆

オレが思い出す時、ミドリはいる。

ハッとした。証拠えびでんすはない。証明も不要いらない。誰かにわかってもらえなくて構わない。

思い出す時、傍にいる。
いてくれるのか。
それでいい。

☆☆☆

『あのあとしばらく、本当マジに後悔したよ。自分でも驚嘆びっくりするくらい泣けた』

「あたしもビックリ」
『もっと優しくしていれば』
「あなたって、いつも遅いの」
『スビバセン』

「でも最期さいご、一人で送ってくれたでしょ。心配いらないよ。安心してっていいからね。あなたにしたら上出来じょうできだわ」

『どうも。あのまま寝てるかれたら、オレが動けなくなったり事故じこったり──後で想像してふるえあがったものだよ』

☆☆☆

看取った夏の朝。
告別式は台風だった。
一瞬だけ、晴れる。

すべて映像まぼろし泡沫うたかたの夢。消えていく。
もう何処どこにも残ってないのだ。
あなたがあたしを思ってくれる時──

気配は薄らいできた。
さびしさがただよう。

☆☆☆

『夢で逢えるよね』
「もちろん」
『今夜、死ぬかもしれない』
「あはは~どうかしら」

『じゃあ、また』
「うん。バイビー」

☆☆☆

イラストは朔川揺さん💝

☆☆☆

お読み頂き、ありがとうございます。

いかがでしたか。皆さまのおかげで、私は今、とてもさわやかな心地でおります。

次回5月1日午後3時。
私の誕生日64歳でございます。

ではまた💚



ありがとうございます🎊