１９５８年５月１日５時５３分
ボクはこの地球ほしに生まれる

それまで光溢あふれる霊界ふるさとにいたのだ
明るく温あったかで柔らかく
そして、心地よい──

☆☆☆

こんにちは。フジミドリです。今日は、私の誕生日。６４回目となりました。

本来の誕生日は、両親おやを祝う、なんて聞いた記憶がございます。とはいえ──

父が他界帰還。母は入院中ですが、ウイルス騒動ちゃばんのため、見舞みまうことも叶かないません。

そんな私の、霊魂たましいから観みる誕生日、お読み頂ければ嬉しく思います。

☆☆☆

ボクはよく覚おぼえている。

なんで、生まれた日を覚えているか。とてもとても強い印象イメージがあるからだ。

この世に生まれた時、固くて冷たくて暗くて寂さみしくて、堪こらえ切れなくなった。

ボクは、オギャアと泣き出す。

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あーこれが地球ちきゅうという星か。不自由だなぁ。重力おもさは纏まとわりついてくる。ヤだね。

空気が濃過こすぎて、息苦しい。もわもわと何か流れてきた。人の思い。靄もやっている。

ボクは改めて、こんな環境で生きていけるのだろうかと、恐おそれ戦おののいたものだ。

☆☆☆

ホントやだなーもう絶望お先真っ暗だよ。やってらんないなぁ──

でも突然とつぜん、世界は変わる。

温かくて柔らかで優しい波動はどうが、ボクを包み込んでくれた。あぁいいなぁ。

おーこれは母親というもの。母かあさんの思いがフワッと漂ただよってきた。ボクを撫なでる。

☆☆☆

ありがとね
生まれてくれてありがとう
わたしの人生ところへ来てくれて嬉しいわ

そう響ひびいてきた。

あーそうか。そうなのか。母さん、ボクを待っていてくれたんだね。

そうだ。思い出した。ボクは、母さんの息子として生きていく人生を選んだのだ。

☆☆☆

来てくれてありがとう
わたしの可愛かわいい坊ボウや

☆☆☆

別の声──
心で語る声。波動が響いた。
とても力強く。

よく来たな。嬉うれしいぞ。待ってたよ。お前はオレの息子だ。よく来たな。待ってたぞ。

この人が、ボクの父とうさん──

☆☆☆

ボクは、何も変わらない
ずっと霊界ここにいる
生まれる前も生まれた後も
いつも今。どこでもここ

よくできてるなぁ
動くのは周囲まわりなのに
まるで、ボクが動くようだ

☆☆☆

すると突然、ボクは中学生になって、何か怒おこっている。ドラマを楽しみにして、見損みそこなったとか何なんとか。そんなことだ。

夜よが更ふけて、テレビのあるキッチンに、ボクと父さんの二人。母さんと妹は眠っている。

父さんが尋たずねた。

お前、何を怒ってる。ボクは答えた。自分だよ。それならいい。父さんが頷うなづく。

☆☆☆

するとまた、ボクは別ほかの場面にいる。

大学へ入ったばかり。母さんと向かい合う。喫茶店きっさてんの椅子イスに座っている。

何を買ったのか。経緯いきさつも覚えてない。

あなたは何がしたいの。そう訊きかれた。ボクは海外がいこくへ行って学びたいと答える。

☆☆☆

本当に、そう思ったわけではないけど、なんとなく口が自動かってに動いていた。

それから、母さんは寂さびしがるんじゃないかと思いが浮かぶ。うん。きっとそうだ。

だからボクは、やっぱ止やめた、取り消そうとする。この国だって、学べるものな。

でも母さんは諭さとす。あなたがやりたいことをやればいいの。あなたの人生だからね。

☆☆☆

そうしてまた、ボクは別の場面に飛ぶ。色々いろんな人と種々しゅじゅな出来事が映る──

ボクの眼前まえに、今回の人生は、すべて映し出されている。一瞬ごとの静止画せいしがなのだ。

ボクが、沢山たくさんの静止画を光速こうそくで観ていくと、時間じかんが生まれる。時間は幻想まぼろしなのだ。

パラパラ漫画まんがみたい。

☆☆☆

高校生のボクが将棋しょうぎを指さす。

仕事から帰ってきた父さんは、母さんの用意した夕食ごはんを済ませると、疲れた顔も見せず、対戦あいてしてくれた。

小学生の頃は、キャッチボールしたけど、もうやらない。だからこうして、息子の相手をするの、嬉しいんじゃないかな。

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勝ったり負けたり。
指し終えて、ああだこうだ話す。

しばらく経たって気づく。父さんは、ボクを勝たせようとしていたのだ。

手抜きをするわけじゃない。精一杯マジで、闘う。そうして、息子に負けると嬉しいのだ。

気づいたのは、父さんが光に戻もどってからで、ボクは、いつも大事なことに後で気づく。

☆☆☆

それでも、母さん父さんに愛された。

だから、なんとかして期待に応こたえようと頑張がんばった。褒ほめてもらえると嬉しかった。

応えられないと不安だ。

☆☆☆

心配を掛かけた。申し訳ない。そんな思いが高こうじてくると、ボクは苛立いらだつようになった。

なんだかとっても、五月蝿うるさく文句もんくを言われている。そんな感じが込み上げてきた。

期待に応えられない苛立ちから、会うとすぐ口論くちげんかとなってしまうのだ。

父さんとボクの諍いさかい。
悲しそうな顔した母さん。

☆☆☆

今度こそ喧嘩ケンカしないよう、心も動かされないよう、気を引き締しめて会うけれど──

そんな時期ときもあったな。

上手うまくやろう、仲良くしようと力りきめば、却かえって出来なくなる。そういうものだ。

☆☆☆

あの頃ボクは、仲良くしている場面を頭脳アタマで想像イメージした。感情こころを抑おさえようと頑張った。

すっかり忘れていたのだ！

頭脳でイメージできたら、地上に近い波動、つまり低級霊ていきゅうれいが管轄ひょういしている。

この世的に成功しても、死後の世界で、邪魔あしかせになってしまうのだ。

☆☆☆

思いはハラに収おさめる。

こう在ありたいと求める環境すがたは、仙骨ハラで意識すれば成なる。願望のぞみは中真ちゅうしんが叶かなえてくれる。

後になって思い出した。
やれやれ。

☆☆☆

今、ボクは還暦かんれきを超こえた。

世間せけんの基準おもいこみで言えば、すっかり爺ジイさん。孫まごがいても不思議はない歳ころだよな。

今回のボクは、子供を持たない人生を選んでいる。だからもちろん、孫もいない。

☆☆☆

子供のない人生を体験したかった。多くの人は子供を持つ。そうしないと絶たえるから。

子供の姿で生まれ、成長したら老おいて死ぬ。それが地球このほしでの在り方なのだ。

もちろん、例外はあるけど──

子供がない人生も必要たいせつだ。互いを察さっすれば、深い理解に結びつけられるから。

☆☆☆

そうである所有こと。そうでない喪失こと。両方観るから、経験として深く味わえる。

日常ふだんの些事さじから、人生の一大事ビッグイベントまで、何なんでも同じように観ればよい。

この星に住む、多くの人がそうである常識フツー。そしてその反対。両方とも必要なのだ。

☆☆☆

見たり聞いたり触さわったり
生きていると、思いが浮かぶ

浮かんで消え
消えては浮かんで
強まったり弱まったり

けれど、思いは重くて
耐たえられそうにもない時
何度かあったなぁ

靄もやで覆おおわれ、先が見えず
死にたくなることも──

☆☆☆

いつの間にか、消えていた。

宇宙そらへ手放せた思考おもいもあれば、中真ちゅうしんの仙骨センコツに収まって、浄化じょうかされた想念おもいもある。

そして、ボクはだんだん透明ゼロになって、もう本来もとの霊魂たましいに近づいてきたのだ。

☆☆☆

ふと思い出す。
お祖母ばあちゃんに貰もらった御お守まもり。

開あけちゃダメと睨にらまれたけど、ボクは密かにこっそり紐ひもを解ほどいて中なか身みも取り出したっけ。

代かわりに、鉄腕てつわんアトムのメンコ！

その方が心地よい。これで罰バチを当てる神さまなんて、低級霊どうぶつれいだから怖こわくないのだ。

☆☆☆

色んな思いや考えが
頭や心に渦うず巻まくけれど
怖おそれなくていい

思いを使うから、味わえるのだ
体験の彩いろどりが豊かになった

使い終えたら、もう掴つかまない
宇宙へ手放すか中真センコツに収めるか

☆☆☆

そろそろ終活おわり。 今回の人生を振り返る。色々な人と出会って別れて、種々さまざまな出来事を味わった。観かんじることは沢山いっぱいある。

でも、大事なこと理解をすぐ忘れてしまう。簡単にできること動作が、どれだけスゴいこと奇跡か。

息を吐いて吸う。見て聞いて触ふれる。立って歩いて眠って、そしてまた目が覚さめる。

本当マジにスゴい！

☆☆☆

できるのはこれだけ。金メダルが取れても。ノーベル賞で認められても。息を吐いたら吸って、体が動く。これだけなのだ。

騒ぐことじゃない。
表面かたちの違いに囚とらわれ過ぎ。

成功しても失敗しても、愛しても憎んでも、健康でも病気でも、ただ吐いて吸う。そして体を動かすだけではないか──

☆☆☆

肉体からだは、本当によくできている。細胞が再生して、新しく生まれ変わってしまうのだ。

この世では、細胞の働きを邪魔すること快楽が、次々と顕あらわれてきたりする。

なんとか、細胞の働きを助ける方へ戻もどそうとするけれど、誘惑おもいに負けることも多い。

やれやれ──

☆☆☆

その原因もとは、若く美しく恰好カッコよく、他者たにんからよく見られようとする思いだ。

他者と比べ、自分を卑下ひげする思い。体だけでなく、能力ちからも同じ。思いに振り回される。

☆☆☆

より強く高く大きく！

そんな価値観おもいこみに操あやつられてしまう。競争し奪い合って戦うのだ。どんどん不自由になる。

いくら心が傷ついても、また同じ過誤あやまちを繰り返す──飽きるまで続けるしかない。

☆☆☆

流石さすがに、もういいかと思う。
散々たっぷり、やり尽つくせた。

戦ったらああなる。仲良くしたらこうなる。競きそえば、譲ゆずれば、憎めば、愛すれば。

味わって、体験し終えた。
もういいよ。

☆☆☆

どちらか一方が正しくて、残りは間違ってるからダメ、なんてことはない。

寒さがないと、暖かさを感じられない。愛と憎しみは、両方あって成り立つのだ。

すべて表裏一体ひとつのもの。
思いの具現化あらわれに過ぎない。

貧しさと豊かさ、病気と健康、成功と失敗、尊敬と軽蔑けいべつ、全ての本質ひかりは同じだった。

☆☆☆

時は新緑しんりょくの５月きせつ。近くの公園を歩く。桜は散ったけれど、色鮮いろあざやかな緑葉が繁しげる。

曇り空ぞらに薄うっすら陽ひは差す。
軽やかな風が吹く。柔らかく生暖なまあたたかだ。

歩きつつ体を感じる。皮膚から筋肉、筋すじから骨へ、意識は緩ゆるやかに染しみ込む。

細胞一つひとつ。血管一本ずつ。更さらに奥深く原子アトムへと沁しみ込んでいく。

☆☆☆

空を仰あおぐ。周囲あたりも見み渡わたす。そして、体の奥深く、素粒子ひかりの世界にまで入り込むのだ。

疎まばらに歩く人、道路を走る車、遠くに霞かすむ駅前の観覧車、全てボクの細胞一つ。

一つひとつ
個々バラバラに見えるけど
全てボクなのだ──

☆☆☆

ボクは変わらない
初めから此処ここにいた

愛と憎しみに翻弄みだされる時
ボクはボクを忘れて
のめり込んで味わい尽くした

それから、ボクへ戻る
何も変わらない
いつもいつも霊界ここに在る

貧しさや豊かさ
楽しいと詰つまらない
健すこやかなる時も病やめる時も

このままでよい
何もかもが
そのままでよいのだ

☆☆☆

ありがとうございます。お蔭さまで清々すがすがしい気分になれました。ご縁えんに感謝m(__)mです。

次回フジミドリ、５月８日午後３時。
明日の西遊記で創作過程プロセス、午後６時です。

ではまた💚