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日本の「公園の父」で、しかも大投資家の本多静六の本がやたらとおもしろい

ひふみ投信のファンドマネージャーの藤野英人さんにすすめられて、本多静六の『私の財産告白』を読んでいたんだけど、これがやたらとおもしろかったので紹介します。

『私の財産告白』

本職は東京農林学校、今の東大農学部の教授で、日比谷公園、明治神宮、大濠公園などの日本中の公園や庭園を設計をしたり、丸の内西口広場や行幸通りの設計とか関東大震災後の東京の復興計画をつくったりした人である。それだけでもすごいんだけど、投資家としても大成功していて、現在のお金で数百億円以上の資産を築いた。

彼の投資法はシンプルで、まず給料の4分の1を天引きして貯金する(臨時収入はぜんぶ貯金する)。それがある程度たまったら、株式投資をする。ちゃんと分散投資になるようにいろんな銘柄を買って、利食いとか売却もルールをつくって実行している。また、自分の専門分野を生かして、山林への投資を行い、それも大成功している。

彼が投資をはじめた理由は、恩師にこう言われたのがきっかけだ。

いかに学者でもまず優に独立生活ができるだけの財産をこしらえなければ駄目だ。そうしなければ常に金のために自由を制せられ、心にもない屈従を強いられることになる。学者の権威もなにもあったものではない。

いつでも仕事をやめられるだけのお金がないと、やりたくない仕事もしなければいけなくなる。十分に資産があれば、仕事は道楽になり、道楽としてやればこんなに楽しいことはなく、楽しければ努力をし続けることができて成果もあがる、ということなのだけど、これをちゃんとやりきるのがすごい。

それから30年、日本中の公園を設計したり、本も300冊くらい書いて、そして資産はどうなったのか?

六十近い頃には、数百万円の貯金、株式、家屋等のほかに、田畑、山林一万町歩、別荘地六ケ所という、かねて自分がひそかに予想していた以上に、はるかに大きな財産を所有することになったのである。

当時(明治末期)の数百万円は、現在の価値に直すと、たぶん数十億円から100億円くらい。そして田畑・山林一万町歩というのは、約1万ヘクタールだから、東京ドームになおすと2000個分くらい。合計すると数百億円くらいになるのかな。いくら日本が伸びていた時代とはいえ、すごいことだ。

で、さらにすごいのが、上記は定年退官時の総資産なんだけど、その時点で、ほとんどぜんぶを寄付してしまったのだ。子供の教育のためによくないというのがいちばんの理由なんだけど、くわしくは本書を読んでみてほしい。とにかく、マンガの主人公みたいなひとである。

「財産告白」は本の前半で終わりで、後半は仕事論とか人生論みたいな話になっていて、こっちもおもしろい。あまりにも面白いので、別の本(『人生計画の建て方』『私の生活流儀』)も買ってしまった。

昔の本なので、文章はちょっと古いけど、中身がおもしろいので気にならずに読める。こういう本は、Kindleで買ったほうがすぐ辞書がひけて読書がはかどります。

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