「スキ」と「みんな」が重なるところ
昨日は学生向けのイベントで、Casa BRUTUSの編集長・松原享さんと対談させていただいた。編集という仕事について、松原さんが紙担当、ぼくがデジタル担当という形で話をして、その後は質疑応答になった。
「編集者は、自分が好きなものを世の中に紹介する仕事だと思うんですが、それが通じなかったらどうしようという恐怖はないんですか?」
たぶん彼が聞きたかったのは、後段のほうだと思うんだけど、まず前段のほうが気になった。ぼくも学生のころ「編集者は自分の好きなことをして、それが仕事になるからいいな」と思っていたことを思い出したからだ。
これ、けっこう難しい話で、基本的には、たぶん逆なんですよね。どちらかというと「みんながほしいものを紹介する仕事」というのが正しい。仕事なんだから、お客さんの役に立つ、というのがやっぱり最初にあるわけです。
で、難しいのはそればっかりでもないことです。自分の好きなことやものを取り扱うほうが、やっぱり力は出やすいわけです。そりゃそうですよね。好きだからテンションが上がるし、おもしろいから時間をかけることができるわけで。
じゃあどうすればいいのか? 自分の「好き」と「みんな」を、つなぐ方法をがんばって考えるというのが答えなのかなと思っています。
心のなかに「好き」をいっぱいためこんで、「みんながほしいもの」をじっと眺めて、ふたつが重なる瞬間を見つける。そういえば、いつもこんなことをしてますね。
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