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【暴君女王】第2話 「悪夢」

これは「チャット小説」として書いたものです。
そのためセリフ以外の感情等の表現を極力簡潔にしてあります。
セリフをもとに想像してお読みください(*vωv)


? 「…………様…………様」
アカネ (ん…………あ…寝ちゃってた…………え?)


 起きたアカネは目を丸くした。
 そこはまるで中世の西洋の城。豪華な天蓋付きのベッドに寝ている。
 何より驚いたのは、自分を起こしてくれたのが
 半裸の美しい男性だったことだ。


アカネ (え!?なにこれ!つか誰!?)
? 「お目覚めですか?」
アカネ (この人…どこかで見たことがある気が…)
? 「…?どうかなさいましたか?」
アカネ (ここはどこ!?あなたは誰!?)


 言おうとするが声が出ない。


アカネ (なにこれ…どういうこと…?)


 すると目の前にウインドウが出る。
 ウインドウには文字が書かれている。

 1:何でもない。気にするな。
 2:鏡を持ってこい
 3:なぜお前がここにいる。


アカネ (え…これ…選択肢?3ならこの人の名前が聞けるかも…)


 アカネは3にタッチする。
 するとウインドウが消え、アカネの口から言葉が出た


? 「なぜお前がここにいる」

アカネ (え?これ私の声じゃない…でも私がしゃべったんだよね…?)

? 「何故って…私が昨日の共寝係でしたから…」

アカネ (共寝係って…要するにその…一緒に寝て…そういうことをする係ってこと!?)

? 「起きるまで居るべきではなかったでしょうか…」


 美しい男性は困惑した顔をしている。


アカネ (ていうかあなたの名前ー!あ、また選択肢が…)


 1:鏡を持ってこい
 2:そうだったか?
 3:出て行け!


アカネ (…意地でも鏡持ってこさせたがってる…あるのよねー…
 こういう特定の選択肢選ばないと進まないタイプのゲーム…
 …………ゲーム?…そういえば…………この人…………
 『春の微笑み』に出てくる攻略キャラの女王秘書官:ルーネに似てる…?
 あのゲーム、あのクオリティのくせにボイスがないんだよなー…
 だから軽量化してるのかもしれないけど
 ボイスがあればゲームのルーネとこの人を比較できるのに…
 いやいや、とりあえず鏡選んどくか)


 1の選択肢にタッチするとまたそのセリフを自分がしゃべる


? 「…鏡を持ってこい…」
? 「は、はい!」


 美しい男性が手鏡を差し出す。
 アカネはそれに手を伸ばす。


アカネ (しゃべれないけど体はある程度動かせるのね…
 つかこれが私の手?細くて長い指…キレイ…)


 鏡を手に取って自分の顔を見る。


アカネ (え!?えええええええええ!?)


 鏡に映ってるのは、真っ赤な髪と瞳を持つ
 きりっとした顔の美女。


アカネ (こ、この姿…まるで…)


 アカネが鏡を見ながら頬や髪を驚いた表情で触っているのを見て、美青年は心配そうに言う。


? 「だ、大丈夫ですか?スカーレット様」

アカネ (やっぱり!!!この姿…『春の微笑み』のスカーレットだ!)

? 「あ!も、申し訳ございません!決して痕をつけるつもりでは…」

アカネ (ん?あ、これ…?首のとこにある…これって…キスマーク…?
 け…経験ないからわかんないんだよな…ああ!また選択肢が!)


 1:首を跳ねてやる!
 2:どんなお仕置きをしてくれようか
 3:そんなに良かったか?


アカネ (いやー!1とか絶対嫌だし!
 ゲームのスカーレットなら2が1番それっぽいけど…
 ホントに鞭打ちとかすんの?私が?
 つか3はなんなの!?誘惑してんの?
 1番この中だと平和的そうだけど言うの嫌なんですけどー!)


 入力をためらているとウインドウの右下にカウントダウンが出る。


アカネ (うわああ!カウントダウン出てる!えーとえーと…3!)


 アカネは仕方なく3を選ぶ。


スカーレット 「ふふ…
 そんなに夢中になるほど私の身体は良かったか?ルーネ」

アカネ (うわー!選択肢以上のこと言ってる!やだもー!恥ずかしい!
 ていうか言ったー!ルーネって!これで名前呼ぶの!?
 わかるかよおおおお!選択肢に書いとけよ!)

ルーネ 「そ、その…」
スカーレット 「ククク…いつも澄ましているお前の恥ずかしがる顔でこの痕のことは許してやろう。」
ルーネ 「あ…ありがとうございます…」


  ルーネは恥辱に耐えながら、手鏡を受け取るとスカーレットの着替えを用意する。


アカネ (ルーネ君…スカーレットってこういう意地悪もするんだ…
 ていうか…これ…確定していいよね…?
 ここはゲーム『春の微笑み』の世界。
 私は暴君女王:スカーレット…
 「ゲームの中に入っちゃって悪役になっちゃった異世界転生系」ってやつ!?
 なんで!?なんで!?もういいってこういうの!マジでなるとかマジ勘弁だよ!
 夢なら覚めて!夢どころじゃないよ!こんなの悪夢だよ!)

アカネ (…………悪夢…………?)

アカネ (悪夢…………ナイトメア…………これ…まさか…………
 『春の微笑み』のナイトメアモード!?)


ルーネ 「本日のお召し物でございます。これでよろしいですか?」
スカーレット 「うむ」

アカネ (あーもー選択肢出ないで勝手にしゃべってるし…)

ルーネ 「では、侍女と交代いたします」
スカーレット 「待て」

アカネ (ん?また選択肢?)


 1:お前が着ろ
 2:お前が着せろ
 3:お前は裸になれ


アカネ (はあ!?恥辱の上塗りさせたいの!?
 スカーレットってこんななの!?
 つか1と3はないわ!2!もう消去法になってるじゃん…)

スカーレット 「お前が着せろ」
ルーネ 「え…」


 スカーレットはベッドから降りてルーネの前へ立つ。
 長い髪で大事なところは隠れてはいるが全裸だ。


スカーレット 「私の身体が気に入ったのだろう?ん?」
ルーネ 「む…夢中になってしまったのは…
 スカーレット様を愛しているからです…
 そんな短絡的な理由ではありません」

アカネ (嘘だ…ここがあのゲームの世界なら…
 ルーネ君はスカーレットを愛するはずない。
 だって…ルーネ君は公爵家の後とりだったけど
 スカーレットにその容姿の良さに目をつけられて…
 「あの家は王家にたてつく計画を立てている反逆者だ」とか因縁つけられて…親兄弟を処刑されそうになって
 助けてほしかったら…って
 無理やりスカーレットに引き取られたんだもん…
 人質とられて言うこと聞かされて…
 絶対怨んでるって…)

スカーレット 「『愛してる』ねえ…
 『怨んでる』の間違いじゃないのか?」
ルーネ 「!そんなことは…」


 服を着せながらルーネは悔しさのにじんだ表情をしていた。


スカーレット 「人質とられて無理やり城に務めさせられて
 私の夜のお供をさせられて…
 それでホントに愛してしまったのなら
 お前はよほどのマゾだな。ククク」
ルーネ 「…………終わりました」

アカネ (あ、コルセットとかないんだ…
 『史実に忠実じゃないファンタジーあるある』でよかった…
 あれ凄く苦しいって聞くし…
 この服、肌触り良いなぁ…
 こんなに豪華なドレスなのに動きやすい…)

ルーネ 「よくお似合いです…
 スカーレット様には黒い服が一番ふさわしい」

アカネ (あ、選択肢…え?)


 1:私は漆黒の闇のようだと言うのか?
 2:血が飛んでも目立たぬからか?
 3:返り血を浴びても目立たぬからか?


アカネ (2と3って…どう違うの?
 3はスカーレットがルーネを殺すの?んじゃ2は?無難なのは1だけど…
 2がわかんない…選んでみようかな…)


 アカネは2を押した。


スカーレット 「血が飛んでも目立たぬからか?」
ルーネ 「…………はい。その赤い髪と瞳だけでは足りない…………
 残念です。スカーレット様…………いえ、暴君女王」


 ルーネは両手に短剣を持っている。


アカネ (え?なに?「血が飛んでも目立たぬ」って…………私の血!?)


  シャッ! ピシュー…………

 ルーネが素早くスカーレットの首を切り裂く。
 スカーレットの首から鮮血がほとばしる


アカネ (ぐ…………痛い…熱い…呼吸ができない…苦しい…)


 ゲホ… 口から血が噴き出し、スカーレットはその場に倒れる。
 視界がだんだん暗くなっていく。
 脳内に「YOUAREDEAD」の文字が浮かびあたりは真っ暗になる。


アカネ (ああ…興味本位でわかんない選択肢選ぶんじゃなかった…
 でも…これで元の世界に戻れるのかな…)


 薄れていく意識の中でぼんやりとそんなことを考えながら
 スカーレットことアカネは絶命した。



? 「…………様…………様」
アカネ (ん…………あ…寝ちゃって…………え?)


 起きたアカネは目を丸くした。
 そこはまるで中世の西洋の城。豪華な天蓋付きのベッドに寝ている。
 何より驚いたのは、自分を起こしてくれたのが半裸の美しい男性…というかルーネだったことだ。


アカネ (ループ!?)

ルーネ 「お目覚めですか?」

アカネ (く…ゲームあるあるすぎる…『ミスって死ぬと自動的にセーブ地点からリスタートさせられる』親切設計…
 でも…まださっきの刃物の感覚が…………)

ルーネ 「…?どうかなさいましたか?」


 アカネはルーネの顔にゾッとした


アカネ (これ…選択ミス=死なら…毎回あの苦痛を味わうってこと!?)


 <第3話へ続く>





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