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【暴君女王】第5話 「そういう趣味なの!?」

これは「チャット小説」として書いたものです。
そのためセリフ以外の感情等の表現を極力簡潔にしてあります。
セリフをもとに想像してお読みください(*vωv)


 昼食をとり、午後の雑務を終え、夕食後自室に戻ると


ルーネ 「ここからは『今日の係』と交代いたします。では」


 と言ってルーネは出て行った。
 代わりに鎧を外して共寝係の衣装に着替えたマルテが入ってくる。


アカネ (ここからは「マルテ攻略タイム」に入るのか…
 ん?ていうか…そういう係なんだよね…?
 ルーネ君の時は朝のシーンからだったからなかったけど…
 やるの!?)


 マルテはスカーレットを抱きしめる。


アカネ (逞しいな…さすが兵士…
 マルテの身体は普段なら頼もしいんだろうけど…
 今の状態は「また圧殺されるかもしれない」って緊縛でしかないよ…)

マルテ 「スカーレット様…」


 マルテはスカーレットにキスしようとする


アカネ (ちょっと待ってー!)


 すると選択肢が出る

 1:マルテに身を任せる
 2:頬を引っ叩く
 3:自分からキスする


アカネ (ひいいい!えっとえっと…マルテは確か…
 「ふしだらな暴君女王」って言って殺しにかかってきたんだったよね?
 じゃあ…)


 2!


 スカーレットはマルテを突き飛ばしその頬を引っ叩く。


スカーレット 「無礼者!私を誰だと思っている!」
マルテ 「…………寝所でそういう態度をとるのですか…………俺はあなたの命令でここにきたのに…」

アカネ (あ…………あからさまにヤバい…………)

スカーレット 「やかましい!それがどうした!」
マルテ 「残念だ…………スカーレット様…いいえ、暴君女王!」


 マルテはスカーレットをベッドに押し倒し
 馬乗りになると何度も何度も顔を殴った。


アカネ (ぎゃああああああ!撲殺う!?痛い!痛い!やめ…もう…だんだん痛みが分からなくなってきた…
 意識が遠くなっていく…)


 「YOU ARE DEAD」


アカネ (久しぶりに見ちゃった…
 この脳裏に浮かぶ「YOU ARE DEAD」…………)




 気が付くとマルテが部屋に入ってくるところだった。


アカネ (ここでオートセーブ入ったのか…
 部屋だけど中にいる人が変わった=違う場面扱いか…
 分析してる場合じゃないのよ…
 じゃあさっきの選択肢…もうキスするしかないじゃん…!)

マルテ 「スカーレット様…」

アカネ (ここは…支配者が誰なのかはっきりさせるように、積極的に…)


 3:自分からキスする


アカネ (初心な女子大生アカネはゲームのバーチャル世界でファーストキスを経験するのであった…)

マルテ 「スカーレット様…まさかあなたの方からキスしてくるとは…」
スカーレット 「いけない?おとなしくなさい。あなたは私の奴隷なんだから。」
マルテ 「…………奴隷ですか…………分かりました。では次は何をすればいいですか?」

アカネ (あれ…………?勝手に動くこのパターンは…………)


 スカーレットはベッドに腰かけ、脚を組む。


スカーレット 「跪いて足を舐めなさい」
マルテ 「…………分かりました」


 マルテは跪くとスカーレットの足を取り、その剛力で足首を折る。


スカーレット 「ぎゃ…………」


 叫び声を上げるより早くマルテは手でスカーレットの口をふさぎ
 そのまま馬乗りになると口と鼻を手で塞ぐ。


アカネ (今度は窒息死かーい!!!この人、殺し方のバリエーション多すぎる!
 苦しい…身体がじわじわしてくる…もらしそう…っていうか…我慢とか無理…意識が遠くなっていく…)


 「YOU ARE DEAD」




 また巻き戻されたアカネ…


アカネ (もう…やだ…この人わかんない…)


 2連続で死の苦しみを味わったアカネは抗う気力をなくしていた。


アカネ (もうどーでもいい…すきにしたら…?)


 1:マルテに身を任せる

 マルテが優しくキスする。


マルテ 「ああ…かわいらしい…」

アカネ (…………は?
 …………スカーレットがかわいい…………?
 誰からも恐れられてる暴君なのに…………?
 まあ感じ方は人それぞれか…………暴君よりよっぽど凶暴だし…………
 あー…………選択肢出てる…………)


 1:不敵にほほ笑む
 2:妖艶にほほ笑む
 3:恥じらいほほ笑む


アカネ (なにこれ…………まーいっか…………
 かわいいとか言ってたし3かな…………)


 すっかりアカネはやる気を失っていた。

 3

 スカーレットはその言葉に恥ずかしそうに微笑む。
 マルテは優しく髪をなでる


マルテ 「俺に任せて…」


 マルテはスカーレットをお姫様抱っこすると優しくベッドに寝かせる。


アカネ (なんか…………うまくいってる…………?)


 1:胸元を開けて誘う
 2:手を伸ばして優しく微笑む
 3:胸元の服を掴む


アカネ (???
 えーと…………2かな…………)


 3


アカネ (ハッ!やば!なんか2連続殺されて…
 投げやりになっててぼんやりしてた!!
 今のミス!今のミスーーーー!!!)


 スカーレットは、はだけそうになった胸元を両手で抑えて目をそらす。


マルテ 「ああ…そんなふうに恥じらわないで…大丈夫…もうこんなに部屋は暗い…」

アカネ (あれ…?うま…く…いった…?
 なんか…さっきまでの殺人ゴリラとは思えないくらい優しいんですけど…)


 事を終え、ベッドの中で抱き合う二人。


アカネ (えーと…初体験だったわけだけど…これはノーカンだな…
 スカーレットの身体だから感覚がスカーレットなんだもん…)

マルテ 「かわいいよ…俺の『レティ』…」
アカネ (『レティ』ってたしか…ヴァイオレットとかコレットとか…
 「~レット」って名前の愛称だよね…?
 もしかしてこの人…………あ…)


 1:人前では呼ぶな
 2:もっと呼べ
 3:その呼び方はやめろ


アカネ (…………私の予想が正しければ…………)


 1:人前では呼ぶな

 スカーレットはマルテの胸に顔をうずめてつぶやく


スカーレット 「…………その呼び方は…………人前ではするな…………二人きりの時だけ…………」
マルテ 「分かってる。人前では今まで通り…冷たく厳格な女王で居てくれ…」

アカネ (間違いない…こいつ…………ギャップ萌えタイプだ…
 『普段は冷酷だけど二人きりの時は甘々』とかそういう
 『自分だけに見せる意外な一面を見たいタイプ』だわ…
 めっちゃ単純じゃん…なんかわかってみると…かわいいな…)


 スカーレットはマルテの大きな胸の中で眠る。


アカネ (あー幸せそうに寝てんだろうなースカーレット…
 こうしてると…………すごく…安心する…………
 …………!スカーレットの気持ち…!?
 マルテがギャップ萌えタイプだってわかってて演じてるのかもしれないけど…
 分かりやすいマルテにはホントに心を預けられるのかも…
 なんとなく…後者な気がする…)


 空が白み始める。


マルテ 「レティ、朝だぞ」
スカーレット 「ん…………もう少し…………」
マルテ 「しかたないな」


 マルテが優しくスカーレットの髪をなでる。


スカーレット 「わかったわかった…起きる」


 マルテがスカーレットを抱き起す。
 スカーレットは帯はほどかれていたが寝巻は着ていた。
 マルテは全裸だったが


アカネ (まるで彫刻みたいな筋肉…
 いやらしいとか全然感じない…むしろ…美しい)


 スカーレットは寝巻を正して侍女を呼ぶ。
 マルテも共寝係の衣装を着る。
 漆黒のドレスに着替えたスカーレットを抱きしめる。


マルテ 「…………この部屋を出たら…女王と兵士になってしまうんだな…」
スカーレット 「…………」
マルテ 「レティ、また火の曜にそのかわいい姿を見せてくれ」


 マルテはスカーレットに深くキスする。
 そして扉を開けエスコートして食堂へ行く。


アカネ (『火の曜』って…火曜日ってこと…?
 日替わりで居るのか…共寝係…
 …って思うけど逆ハーレム状態の乙女ゲームだとデフォなのよね…
 ゲームでもそうだったけど…
 あれだとただの「イベント」としか思ってなかった…
 でも、こうして実際体験してみると…すさまじいっつか生々しくて…
 そんな毎日せんでも…って思っちゃうわ…(げっそり))


 食堂につくとルーネが待っていた。


アカネ (ああ、ルーネはスカーレットの秘書官…共寝係はここで引き渡すのか…)

ルーネ 「さあ、朝食を。」


 ジオーヴェがまた料理を運んでくる。


アカネ (食堂での攻略は分かってる。
 たしかに昨日の朝食の時はやたら選択肢が多くて…
 食事の邪魔しないでよ!ってポンポン選んでたら
 全部上手くいっちゃって…どういう選択肢だったのか全然覚えていない…

 でも私はとにかくおいしい食事を食べたくて…
 ひたすら料理人の腕をほめて、多かったら残してもいいみたいなことを言われたら
 「料理人に失礼だ」というようなことを言った…ような気がした

 だから昼食と夕食の時に確かめさせてもらった…
 結果…
 まじめな料理人のジオーヴェおじさまには、小狡い攻略は要らない!
 必要なのは…『敬意と賞賛』!
 料理をおいしく味わって素直にしてればいい。

 ああ…食事中だけは何もかも忘れていられる…
 こんな「ゲームの中に入っちゃった」なんて異常事態も…
 選択肢を間違ったら殺されるという恐怖からも…
 この人はどう攻略したらいい?なんて考察も…
 どうすれば抜け出せるのか?なんてことも…

 ん…?『どうすれば抜け出せるのか』?

 そうだよ!
 私、最大の目的を忘れてた…!

 殺されたくなくて…攻略するのに夢中になって…
 でも…

 それでこの世界から出られるの…?)


 <第6話へ続く>





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