子供を産みたいと思わないこと

30歳になった。
その時、ふと子供を産める期間が少ないことに気づいた。
いや、気づいたのではない。見ないフリをしていただけなのだ。

大人と呼ばれる年齢になって気づいただろう。
みんな大人とは年月がしてくれるものではないのだと。
悩み、傷つき、落ち込み、抜け出せず足掻き、たまに人も傷つける。
思い描いていた”大人”になった人はどれほどいるのだろう。

親になるということは女性が妊娠し、
十月十日腹の中で育て、出産し、その後、親となる人が育てていくことだ

産んだこともない人間が何をいうと言われるかもしれないが、
一般的な女性よりも私は妊娠出産に関わる話、育児に関する話を積極的にアップデートしてきたと思われる。自分が妊娠できる最後の期間に突入した今、妊娠出産、親になることに何を思うのか綴ってみたい。

子供を産むまで

葉酸サプリを飲み、体を温め、恥ずかしい格好で検査を行い、子供ができなければ不妊外来に通い、痛い処置を受け苦痛を伴うのは全て女性だ。男性はその間なす術もない。
そしていざ妊娠したら悪阻で苦しむのは女性、流産や発育不良の恐怖に常に苛まれながら、風邪をひかぬように、便秘や腰痛に苦しみ、食べたいものも我慢し、寝相にも気を使いながら日々を過ごす。
そして、仕事をしていきたいと考えるならマタハラに耐え、体調不良と闘いながら必死に仕事をする。これで子供が上手く育たなかったらどうしようと思いながら。

出産が近づき、恐怖を覚えても、誰もが通ってきた道だと大して心配もされず、無痛分娩を選びようものなら楽をしたと責められ、帝王切開で産めば、”普通の”出産をしなかったと腹を切った体に無知(鞭)を打たれる。

子供を産んだら

新生児の時に障害が見つかるかもしれない。そもそも無事に産まれるかもわからない。
ボロボロの体で迎えた育児、母乳がでないと悩み、黄疸が治るか悩み、なぜ泣くか誰も答えてくれない。
”お母さんでしょ” その一言に潰されそうになる。
子供が他人に迷惑をかけて親のせい。
子供が友達ができなくて親のせい。
子供の成績が悪くて親のせい。
子供の運動神経が悪くて親のせい。

父親は少しオムツを変えただけで褒められ、抱っこ紐で抱っこしていれば賞賛に値するであろう。

子供を産まぬ選択をしたら

子供どうするの?と聞かれるのは女性だ。
義両親、両親、親族その他から聞かれるのは女性なのだ。
その度にこの選択が正しかったのか悩み、責められているような気持ちにもなるだろう。
”産まなかったことをいつか後悔するわよ”といった言葉にそんな日々が来ることへの不安を覚えながら。
産まぬという選択をした、なんと母性に欠けた女性であろうと自分を責めるかもしれない。


子供が欲しくない。
子供のできた友人にも、結婚していない友人にも、結婚して子供のいない友人にも決して簡単に話すことができない悩みだ。

結論の出ぬ問い

結局何が言いたいんだとこの記事を読んだ人は思うだろう。
そう、何もまとまらないのだ。
産むも産まぬも地獄なような気がして、ずっと私は悩み苦しんでいるのだ。

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