見出し画像

【論文レビュー】気になっている人が多い?「プロアクティブ行動」の研究傾向を調べてみる

おはようございます。
久しぶりのnoteとなってしまいました・・・!

今回は、従業員の主体的な行動である「プロアクティブ行動」について、最近の流れを調べられている論文をレビューします。

プロアクティブ行動の先行要因と結果に関する研究のレビュー
張 森

Waseda University(2021)

自主性、自走、自律etc・・・
このようなワードが気になっている方は、ぜひお付き合いください。


プロアクティブ行動とは

そもそも、聞き馴染みのない方も多いかと思う「プロアクティブ行動」
(最初、私は某スキンケア商品を思い出しました)

プロアクティブ行動とは:
個人が自分自身や環境に影響を及ぼすような先見的な行動であり、未来志向で変革思考の行動

(Grant & Ashford,2008;尾形,2016)

うーん。分かるようでわかりにくい?
日本の人事部さんの解説が分かりやすいので転記させていただきます。

「プロアクティブ行動」とは組織行動学における用語で、組織からの期待に応えるために、自ら行動を起こして学んだり、組織になじもうとしたりする行動のことです。
 新入社員の行動を例にすると、研修などの受け身の学びだけでなく、職場にいち早く溶け込むために自ら勉強会を企画するなど、主体的・自律的な適応行動を挙げることができます。ただ待つのではなく、自ら考え変化のために行動できることは、VUCAの時代に求められる姿勢といえるでしょう。

https://jinjibu.jp/keyword/detl/1336/

自ら行動を起こすことが大切なポイントですね。

では、論文レビューに戻ります。

本論文の目的

先にも記載したように、VUCA時代と言われている昨今の背景も踏まえ、プロアクティブ行動の研究が増えているのですが、プロアクティブ行動を促す個別要因に着目する文献が多くなっているとのこと。

それゆえ、最近のプロアクティブ行動の研究潮流が分かりにくいと考えた筆者が、2014年〜2020年7月までの研究をレビューし、近年の研究焦点と結論をまとめました。

プロアクティブ行動をもたらす「先行要因」とプロアクティブ行動によってもたらされる「結果」に焦点を当てられています。

プロアクティブ行動をもたらす要因のまとめ

本論文では、先行要因は個人の内的要因と、外部の働きかけによる外的要因に整理されます。

本論文より抜粋(筆者作成)

内的要因

個人の感情は行動に影響するのはもちろん、特に先々の未来を考えるプロアクティブ行動にとっても、ポジティブな感情で物事を進めていくことは重要な要素になります。
でも、私自身も経験がありますが、ネガティブな感情も先々の行動に良い影響を与えることがありますよね。
これは、ネガティブな感情で課題認識をして、それをポジティブな感情に転換して実行に移すという感情とプロアクティブ行動の影響メカニズムがあるとのこと。(Sonnentag & Starzyk,2015)

ちなみに、個人の資質として、プロアクティブ・パーソナリティ(個人が環境に働きかけ変化させようとする行動傾向)も先行要因となるとのこと。

外的要因

会社など組織で個人のプロアクティブ行動を促すなら、「個人への働きかけよりリーダーの役割や組織風土を整えることが大切ではないか?」という視点を提示した上で、以下のような要因が整理されています。

<環境>
・リーダーシップ要因:プロアクティブ行動は未来に向けた行動でもあることから潜在的なリスクと不確実性があるため、従業員を支援する環境があると促進される可能性が高い(Wu & Parker,2017)。一方、ハラスメントなどに近い概念であるリーダーの侮辱的管理は、プロアクティブ行動に負の影響を与えることが確認されている(Ouyang et al.,2015)。
・職場要因:個人と仕事内容とがマッチすると、満足感が生まれプロアクティブ行動の維持に効果をもたらす。
・仕事後の活動:前日の睡眠の質が個人のバイタリティを高め、のちにプロアクティブ行動の意欲上昇に貢献する。

<組織レベル>
・マネジメント要因:組織からの支援を感じると、その待遇を返済する義務感を持ち、組織にベネフィットをもたらす自発的行動が増加する。また、高業績HRMシステム(High Performance Work Systems)が従業員のプロアクティブ行動を促進するツールとして考えられる。

プロアクティブ行動によってもたらされる「結果」の整理

実は、プロアクティブ行動の結果を検討する研究が少ないとの指摘をされています(6年で4本のみ)。
この理由として、論文末尾の考察に記載されていましたが、プロアクティブ行動の実現が難しいため、結果の分析より先行要因を明確にする方が、組織の成長と発展に意味をもたらすと考えられるとのことです。
本文中では、以下のような整理となりましたが、個人的にはWell-Beingに繋がることに、いろんな希望を感じています。

本論文より抜粋(筆者作成)

今日のまとめ

LDCに入ってからよく耳にしていたプロアクティブ行動ですが、改めてレビュー論文を読んで、いろんな概念とつながりがありそうだなと感じております。
プロアクティブマスターになるには、道のりは遠い・・・

次回は、この分野で有名な論文をレビューし、プロアクティブマスターに向けて歩みを進めていきたいと思います。

お付き合いいただきありがとうございました!

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?