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【実録】40歳バツイチ女がマッチングアプリで年下彼氏に出会うまで(1)

こんにちは。さえこです。
アプリで出会った5歳年下の夫と幸せに暮らしている私ですが、ここに至るまでには紆余曲折の道のりがありました……。

【実録】40歳バツイチ女がマッチングアプリで年下彼氏に出会うまで
このシリーズで、紆余曲折の物語を小説タッチに書き綴っていこうと思います。何回の連載になるかわからないのですが、お付き合いいただける方はぜひ、数年前の私の動向を見守ってくださいませ。

それでは、はじまり、はじまり~~!
ーーー


2018年。離婚してから3年ほどの時間が過ぎていた。
7月の暑い日である。40回目の誕生日を迎えたばかりの私は、マッチングアプリにプロフィールを記入していた。眼差しは真剣そのものである。

彼氏ほしい!!!

実のところ、離婚してからマッチングアプリを使うのはこれが初めてではい。
半年ほど前にアプリで素敵な男性と出会った。有名企業に勤める同い年の男性で、高身長、高収入、おまけに性格は穏やかで優しい。出会ったその日に意気投合し、お付き合いが始まった。

39歳の私は浮かれていた。「結婚にはそれほど興味ない」という彼の言葉には何ら疑問を持たなかった。なぜなら、私だって同じだったから。結婚はもうこりごり。長くそばにいてくれる男性が見つかるなら、それでいい。だから何の問題もない。

もしかして、彼女持ち…?


仕事が忙しい彼を気遣って、彼の職場近くまで私が出向くデートが続いていた。不穏な空気が漂い始めたのは、付き合って1ヶ月ほど経った頃である。
「ねえ、ヒロくん(仮名)。そろそろ私、お家にお邪魔したいな」

彼は優しく微笑む。
「うん…そのうちね」
「そのうちって、いつ~?」
不満げな私をいなすように頭をポンポンと軽く叩くと、彼は言った。
「ありがとね」

しかし、そこで引き下がる私ではない。
「だめなの?なんで? 理由を教えてくれないと、今日は帰っちゃう」
「…うーん。実は、散らかってるんだ。一人暮らし長いからね」
「そんなの、大丈夫だよ。片づけてあげるっ!」
「はは、ありがとう。さえこは優しいね」

こんな感じで数回はぐらかされたある日のこと。その日は、夕方からのデートだった。

私は、息まいていた。
今日こそは、彼を一人で帰らせない。是が非でも自宅にお邪魔する。断られるなら尾行すると決めていた(過激である)。
じつはこの段階で、私は仮定していた。かなりの確率で、彼は「黒」だ。同棲中の彼女がいると睨んでいた。

きっと、別れたいけど、別れてくれないとかそんな感じなんだろう。「そのうち」家に呼んでくれるって言ってるんだから、彼を信じて待ちたい気持ちもある。でも、優しい彼のことだから、出て行ってほしいってハッキリ言えずにいるんだろう。
まずは事実確認。そして、彼がなるべく彼女を傷つけずに別れられるように、私にできることを考えよう…。

「ねえ、今日、私このままご自宅にお邪魔するね」
そろそろ解散、となったとき、彼に言った。
「え…それはちょっと…困る、かな」

息を整えてから、私は告げた。
「わかってるよ。ご自宅に、誰かいるんでしょう?」
彼は一瞬、驚いたように目を見開いた。そして笑う。
「誰か、って…。人間はいないよ。実はね、ちょっと生き物がいるんだよ」
「え、生き物…? 犬とか、猫とか?」
「いや、爬虫類なんだよ。さえこは苦手でしょ?」

爬虫類…。
確かに、ハッキリ言って、苦手だ。彼にもそういう話をしたことがあった気がする。
「でも、ヒロくんの大切な家族でしょ? だったら私、好きになれるよう努力するっ!」
涙ぐましい健気さで食い下がった。彼は言った。
「ありがとね。今日のところはお気持ちだけ受け取っておく。デリケートな生き物だからね。知らない人がくると体調崩しちゃったり、いろいろあるんだ。……そろそろ帰らないと」

そっか。私のライバルは、爬虫類、だったのかぁ…。
拍子抜けした気持ちで、彼を解放した(尾行はとりあえず保留)。

去っていく背中を見送りながら、思い出した。彼とこんな会話しちゃったなぁ。
「私ね、虫が苦手! 平気なのはアリ🐜まで。それ以上大きくなっちゃうと無理!」
「はは…そっか。他に苦手なものはある?」
「あとね…爬虫類が苦手。トカゲとか。ヘビはもっとダメ。ヘビ年生まれだけど!」

ばかばかばか。彼が好きなものを苦手って言い切るなんて最低だった。危なかった~。即・フラれても仕方なかったんだ。
私は反省して、爬虫類を愛せるようになろうと決めた。それからしばらく、爬虫類の飼い方をネットで調べたりした。
うん。けっこう可愛い。とくにカメレオンとか、表皮の色が変わるメカニズムが神秘的で…。
ヒロくんのおかげで新しい世界を知れたなぁ。調べれば調べるほど、奥深いなぁ。

というのは表面上の私。
潜在意識の私は、こう言っていた。

「あんた、自分をだましてない? 本当に、彼の家にいるのが爬虫類だと思ってる? そんなわけ、ないでしょ。女だよ。苦手な爬虫類がいるって言えば、それ以上押して来ないと思って言ったんだよ」

その声に、気づかないフリをしていたのだ。

(続く)

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