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初めて零戦を見るならば、どこに行くのがいいのだろう?

日本には航空機を展示する施設が結構な数ある。その中でも日本製戦闘機のアイコンとなっている零戦は人気で、残骸や実寸大模型を含めればさまざまな所に展示されている。飛行機に詳しくなくても零戦を知らないという人は少ないはずだ。それを意外と簡単に見られるとなれば、試しに航空博物館へ行ってみたくなる人もそれなりにいるだろう。
そこで、零戦を展示している施設の中で自分が行った事のある所について比較し、初めて見るのならどこの零戦がいいのか考えてみる事にする。
実機か、模型か、他の展示物はどうか、施設の雰囲気、アクセスなどを主な評価点にしつつやってみよう。アクセスに関しては、自分が住んでいる金沢からのアクセスが基準となる為客観性に欠けるが、その施設がある県に入ってから辿り着くまでについては参考になるはずだ。
撮影許可に関しては、基本的に機体の写真撮影のみで判断し、施設内の映像作品は録画不可とか、動画撮影・配信が不可な場合に関しては考えない。
また、この記事の中では実機ベースの復元機は、復元をしていない正確な実機との区別をあまり厳密にはせずに取り扱う。それを言い出すとちゃんと形が残った零戦の「実機」はこの中に無いし、そもそも初見で見る場合は実寸模型との区別を付けるくらいで十分だと考えているからだ。

遊就館

零戦52型

展示されている零戦:零戦52型、実機パーツを使用して復元した物。

他の展示物:かなり多い。

雰囲気:微妙。遺品コーナーは撮影不可。

アクセス:極めて良好。東京駅から地下鉄やバス、徒歩ですぐに到達できる。

靖国神社に併設されている戦争記念館。様々な時代の日本の武器や戦没者の遺品などを主に展示している。

展示されている零戦は戦後国外に放置されていた残骸を回収して復元した物で、新品さながらの見た目となっている。製造番号を示す欄なども再現されており、運用されていた頃の雰囲気をよく表していると思う。周囲には搭載していた武装や計基盤なども展示されている。
零戦以外にもチハや彗星艦爆、桜花、陸海軍の砲、SL、重要文化財の刀剣など年代を問わず日本の武器が展示されていて、展示物のバリエーションにも富んでいる。

実機で、見た目も良く、かなり近くから細部を見られる上に零戦以外の展示物も充実しており、アクセスも良好と一見非の打ち所がないように見えるが、いくつか欠点もある。

一つは配置場所の都合で正面からはガラス越しにしか見られない事だ。一番分かりやすくカッコいい正面からのアングルに制約が掛かるのは無視できず、写真を撮る際にも気になる。
もう一つは場所柄の問題だ。参拝や存在の是非が定期的に話題になる事でお馴染みの靖国神社の境内にある為、時期によっては軍服おじさんなどの変な人を見かけてテンションが下がったりするリスクがある。
それに遊就館の歴史解説パネルはかなり右翼的な思想が強い。大真面目にアジア解放がどうのと書いてあり、戦争への反省の言葉一つない。読んでるとゲンナリするレベルなので程々に読み飛ばすか、いっそ無視してもいいかもしれない。
ついでに、行ってきたことを学校や職場などでの土産話にすると変なレッテルを貼られるリスクが高い点もマイナスか。

総じて、展示されている零戦への満足度は高く、その他の展示も充実しているのは間違いないのだが、思想的な面がかなりのネックになるといった所。その辺りを理解した上で行く場合はおすすめするが、最初に選ぶには若干気が引ける。

河口湖自動車博物館 飛行館

スケルトンモデルの零戦
零戦21型。白い零戦の実機は珍しい。後ろを向いているのは52型。上に吊られているのは隼1型。

展示されている零戦:零戦21型、零戦21型(スケルトンモデル)、零戦52型。全て実機パーツを使用して復元した物。

他の展示物:航空機関連は極めて充実。併設の自動車博物館も大ボリューム。

雰囲気:良好。撮影自由。

アクセス:良好とは言い難い。

山梨県の河口湖にある個人の博物館。旧軍機の復元を精力的に行なっており、それを8月限定で公開している。実は遊就館の零戦もここで復元したものを出荷したものらしい。

零戦だけでも3機あり、その全てが実機のパーツから復元した物。白い零戦、緑の零戦、機体構造が分かるように外板を付けず展示している零戦を1ヶ所で全て見られるのは驚異的だ。ここに来るだけで大体の零戦を見られると言っても過言ではない。有名な割に白い零戦の展示は意外と少ないのだが、ここではしっかり展示されている。撮影もかなり近くから、様々なアングルで可能。

零戦の他にも隼1型、隼2型、一式陸攻の胴体部、復元中の彩雲、F-104などの自衛隊機、各種エンジンや部品、戦時中の新聞やチラシなど当時の環境を表すメディアといった様々な物がある。
隣には自動車博物館もあり、全国各地からレアな車を集めているようだ。自分はクルマに疎いので価値が分からないが、そっち方面から見ても恐らく垂涎ものなのだろう。
また、館内の雰囲気も面白い。山奥にある秘密格納庫といった感じで、工場内部のように機械油の匂いがほんのり漂う。期間限定公開である為混雑しやすく、内部も広くはないので気になる人は注意が必要。

アクセスは少し手間。まず8月しか開かない。山梨にたどり着くまででもそこそこ労力がかかるし、そこから最寄駅の河口湖駅に向かってタクシーを拾うと片道3000円は掛かるのでコストもバカにならない。その上バスの類もないので駅前からはタクシーか歩きかの二択。レンタカーも手ではあるがシーズン的にこれも高つくのが目に見えている。

国内で零戦の実機が3機あるのはここだけで、他の展示も多い上に別ジャンルかつ飛行機よりメジャーな博物館が隣接されている素晴らしい場所だ。しかし、上述の通りアクセスはあまり良くなく、人も多い。また、職場で配れるような分かりやすいお土産の類もない。
8月に休みを取れる環境ならば行かない理由はないと思うが、施設全体が若干マニア向けな空気なので初手で行くには少し重いかもしれない。

大和ミュージアム

零戦62型
ロケットラックが特徴。

展示されている零戦:零戦62型。実機パーツを使用して復元した物。

他の展示物:旧海軍関連の展示に特化しており、かなり多い。付近に海上自衛隊の史料館もある。

雰囲気:良好。撮影も自由。

アクセス:良好。

呉市にある海軍の博物館。名前の通り、大和を筆頭とした軍艦関連の資料展示をメインにやっている所だが、零戦も展示されている。

ここの零戦は、他の施設の零戦とは異なる珍しい型式の機体だ。分かりやすい変化点として、主翼下に対空ロケットを運ぶためのアダプターが付いている事が挙げられる。後述する太刀洗の機体とは違って全体的なシルエットはそこまで変わらないため、写真で見た零戦とあんまり似てないとはなりにくいだろう。機体後部からの撮影は難しいが、上部の通路から見下ろす形での撮影が可能。

零戦の他には旧海軍の資料や各種砲弾、戦艦陸奥の主砲砲身、1/10スケールの戦艦大和の模型などがあり、退屈することはないだろう。
付近には海上自衛隊の史料館のてつのくじら館もあり、そこには退役した潜水艦を陸揚げして内部を一部公開した展示を筆頭に海自関連の展示が目白押し。こちらもかなりのボリュームで、どちらも真面目に見るなら1日は余裕で掛かるだろう。さらに、付近のドックを巡るボートツアーもやっている。普通の旅行としてもかなりの満足度が期待できる。

施設の空気感も良好。旧軍関連をメインとする展示ではあるが、暗すぎず、そこまで美化もせずといった感じで、バランスがよく比較的とっつきやすい。造船所として発展した呉の郷土資料館といった雰囲気もある。気分を損ねるような事は無いはずだ。
お土産の類も人に渡しやすい商品が揃っているし、大和の博物館に行ったというのは話のネタとしても悪くないだろう。少なくともマニアックな所扱いはされないと思う。

アクセスも手軽な部類。広島までは新幹線が通っている上、広島駅から博物館最寄りの呉駅までは直通路線もある。呉駅からも近い上専用の歩道まで設けられており、この手の博物館としてはかなり親切。

珍しい型式の実機展示、その他の展示物や付近の施設の充実ぶり、変に構えたりしなくて済む雰囲気、良好なアクセスと利点ばかりな上に欠点らしい欠点がない。家がよほど遠くない限り零戦目当てで初めて行くならここで決まりじゃないだろうか。

海上自衛隊鹿屋航空基地史料館

零戦52型
コクピットの撮影も可能。

展示されている零戦:零戦52型。実機パーツを使用して復元した物。

他の展示物:二式大艇が目玉。それ以外にもUS-1、P-2J、HSS-2などの海自で運用された機体が大量にある。ただし屋外展示の機体の状態はだいぶ良くない。その他対潜ソノブイや旧軍の軍服、遺品など。全体的に充実している。

雰囲気:明るくもなく暗くもなく。遺品などは撮影不可。

アクセス:正直悪い。

鹿児島県は鹿屋市にある海上自衛隊の史料館。自衛隊の史料館ではあるものの、旧海軍の物品や機体も展示されている。

ここの零戦も実機ベースの復元機なのだが、実物を見ると他の実機零戦と比べて若干綺麗すぎる感じがする。どちらかというと模型のような格好だ。尾翼に特に何も書かれていないのもその印象を増す。この零戦だけ見る分には問題にならないだろうが、外に展示されている復元機でもない正真正銘の実機と比較すると、初めてでも気になる人は気になるかもしれない。とはいえ貴重な事には変わりないし、綺麗なコクピット内の写真を撮影できる零戦は珍しい。

どちらかというと他の展示物の方がメインだろう。世界で唯一残っている二式大艇や、旧軍機の部品、海上自衛隊の各種航空機や装備などが大量にある。その中でもP-2Jの展示は異様に充実しており、実機はもちろん、館内に機内設備とコクピットをそのまま移設した展示まである。展示物をしっかり見れば全体的な満足度は高いはずだ。

雰囲気に関しては特筆するような点はない。展示の一部には特攻隊の遺書や遺品などを展示する重たいものもある。観光地としてはマイナーな部類なので人の多さには煩わされないと思う。そのせいか一般的な博物館よりもやや物静かな印象を受ける。あとは、付近に海自の航空基地があるお陰でヘリコプターや飛行機の音がしょっちゅう聞こえる。そこまでうるさい物ではないので、自分はむしろ土地柄を際立たせるアクセントとして評価したい。お土産の類もあるが、ここならではの商品となると自衛隊関連になるので人に渡す時は空気を読もう。

アクセスはあまり褒められたものではない。まず鹿児島までが新幹線が大阪から直通しているとはいえ遠い。終点の鹿児島中央駅からも遠く、駅からバス→フェリー→バスと乗り継ぐ事になるし運賃も嵩む。おまけにバスの運行本数が少ないので乗り遅れると面倒。どこに宿泊するかにもよるが、鹿児島県内からでも行って帰るだけで確実に一日が飛ぶ。隣県でもない限り2日は欲しいのはネックか。

ここに展示されている物自体は貴重だし、興味深い施設なのは確かだ。ただ零戦目当てで来るには若干手間の方が勝る。何らかの事情で付近を通るならともかく、零戦がメインなら他の場所の方がいいだろう。

知覧特攻平和会館

零戦52型丙の残骸
機内の内装や構造がよく見える。

展示されている零戦:零戦52型丙。復元がなされておらず、引き揚げられた物に劣化防止の処置だけ施した物を展示している。

他の展示物:兵器関連の展示量自体は控えめ。特攻隊の遺品や遺書、絶筆の類は大量にある。

雰囲気:かなり重苦しい。館内はエントランスと零戦の残骸以外撮影不可。

アクセス:良好ではない。

鹿児島県知覧町にある特攻をメインテーマとした博物館。ここには海中から引き揚げられた残骸に最低限の処置だけを施した零戦52型丙がある。

今まで紹介してきた零戦とは違い、復元の為に新しい部品などを組み込んでいないオリジナルの零戦がそのまま展示されている。主翼には補修跡が幾つもあり、実際に戦争に使用していた時の生々しい様子が伝わってくる。また、外板と骨格の関係や燃料タンクなど内装品の位置関係、材質の違いによる劣化の進行具合など興味深い点がいくつもある。
しかし、いくら貴重な方法での展示とはいえ、初めて零戦を見ようという時に残骸から見るのはちょっと攻めた選択ではないだろうか。個人的には、最初はちゃんと綺麗に整えられた実機に違い復元機を見たほうがいいと思う。この考え方は恐らく幼稚なのだが、それでも飛行機に興味を持つきっかけとして零戦を見るのであれば、しっかり復元された物の方が分かりやすいはずだ。ある程度色々な機体を見た後にした方が、自分で着眼点を見つけられてより良い結果を得られるだろう。少なくとも自分はそうだった。

零戦の他には世界で唯一の四式戦の実機や一式戦の模型、特攻艇の震洋の模型などがある。兵器以外では、特攻隊の遺書や遺筆、手紙がこれでもかと集められており、特攻について改めて考え直すきっかけになるだろう。また、博物館の付近には当時の飛行場にあった掩体壕跡や弾薬庫跡などの史跡もある。

テーマがテーマなので雰囲気は当然暗く、厳粛だ。特に遺書などはこちらの精神にかなりの影響を与える。どういう施設かをしっかり理解した上で行くべきだ。意外とお土産の類は充実しており、特に茶葉がたくさんある。親しい相手に送るのにちょうどいいだろう。

アクセスもそこまで良くない。やっぱり鹿児島までが遠いのを差し引いてもバスや電車の本数が少なく、どうしても時間がかかる。それでも鹿屋よりは楽。ほぼ一日仕事になるのは変わらないが。

正直零戦目当てで行く所ではない。それなら鹿屋の方がまだ良いだろう。

大刀洗平和記念館

零戦32型

展示されている零戦:零戦32型。実機パーツを使用して復元した物。

他の展示物:いくらか航空機は展示されているが、兵器関連の展示量は他と比べると多くはない。

雰囲気:知覧ほどではないが明るい雰囲気とは言い難く、戦争博物館特有の重たさがある。航空機以外の撮影は不可。

アクセス:可もなく不可もなく。

福岡県の大刀洗町にある戦争博物館。ここには国内唯一の零戦32型が展示されている。

零戦32型は翼の端が四角くなっており、他の零戦と比べるとかなり違った印象を受ける。何らかの媒体で見た零戦とは別物に見えるかもしれない。どちらかといえば他の零戦を見てからの方がより新鮮さが増して楽しめるのではないだろうか。この機体もコクピットが撮影できるが、残念ながら機体正面方向からの撮影は出来ない。

零戦以外だと、ゴジラ-1.0で使われた震電の実寸模型や、海中から引き揚げられた九七式戦闘機の展示が目立つ。特に震電は意外に大きく、中々迫力がある。それに、模型とは思えないような細部の作り込みと、主翼の下を通れるような大胆な展示の仕方が印象的だ。模型だからこそできる事といえるだろう。ほとんど原型を留めていないものの、零戦の残骸も展示されている。
その他陸軍航空機の無線機などの機材や、市民の生活用品、空襲を受けた際の被害を示す物、兵士の遺書などがある。
また、最寄り駅の大刀洗駅には自衛隊の練習機T-33や、古い家電などを展示している小さな博物館がある。開館スケジュールは若干不安定だが、開いていたら寄ることをおすすめする。

ここもあくまで戦争博物館なので明るい場所ではない。大規模な空襲を受けた事を紹介するコーナーや、特攻の教本から内容を抜粋して掲示しているコーナーはかなりしんどい。震電周りはゴジラで使われた事を大々的に宣伝しているのでそれが清涼剤になるか。お土産は普通のお菓子がいくらかあるのと、プラモデルやクリアファイル、本など。配ろうと思えば普通に配れるだろう。

アクセスはそこまで悪くない。ここも九州ではあるが、比較的本州から近いし大規模な空港も近くにあるのでまだ楽な方。博多駅から鳥栖駅へ向かい、そこから大刀洗駅までは電車のみで完結する。施設は駅の目の前にあるので迷うことはないだろう。

初めて零戦を見に行く場所としてはそこそこといった所か。近くに住んでるならまずはここから始めるのがいいと思う。

かかみがはら航空宇宙博物館

十二試艦戦の実寸模型

展示されている零戦:十二試艦戦(零戦の試作機)の実寸模型。

他の展示物:航空関連、宇宙関連どちらもボリュームはトップクラス。

雰囲気:極めて良好。撮影自由。

アクセス:苦労はしない。

岐阜県各務原市にある航空・宇宙博物館。様々な機体が展示されているのだが、ここに展示されている零戦は意外にも模型である。

この模型は正式には十二試艦戦という名前の機体の物で、零戦の試作機である。この機体の初飛行は博物館のある各務原で行われており、実機に溢れた博物館の中であえて模型を展示するのはこれが理由だろう。プロペラが2枚なのは新鮮かつ最初期の機体らしさがあって面白いが、他に展示されている機体と比べるとやっぱりちょっと冴えない部分もある。特に外板はいかにも模型といった感じが否めない。天井から吊り下げて展示されており、撮影角度はやや制限される。一応中二階のラウンジから撮影できるので、機体と同じ高さからの撮影は可能。

他の展示物は質・量共に圧倒的で、オリジナルの部分が多く残っている三式戦二型や、F-4EJ改やF-104Jなどの空自の戦闘機、飛鳥やT-2 CCVといった実験機など貴重な航空機が山ほどある。宇宙関連の展示も充実しており、地上試験に使われた人工衛星の実機やロケット先端部の実寸モデル、宇宙に行って帰ってきた試料など色々な物がある。展示物を見ているだけで1日居られるだろう。また、岐阜基地の近くなので航空機が頻繁に飛ぶ。特に、一部のT-4は離陸後こちらを向いて旋回してくれるので、ちょっとしたエアショー気分も味わえる。

施設の雰囲気も良く、旧軍機も展示しているが展示の主題はあくまで航空宇宙技術の発展を伝える事だと割り切っており、とても明るい。博物館に慣れていなくても入りやすいはずだ。売店の品揃えも充実しており、配るお土産には困らない他、プラモデルや博物館が発行した本、細々としたグッズなどあらゆる需要に対応している。

アクセスも悪くない。名古屋経由で岐阜に入り、名鉄各務原線で各務原市役所前駅へ。そこからバスで30分ほどで施設内のバス停に到着する。バスの本数は1時間に2本程度。

航空宇宙博物館としては間違いなく国内トップクラスなのだが、残念ながら零戦を見る目的で行くのにはあまり向いていない。それでも、あえて模型でしか見られない型式を確固たる理由を持って展示している点は評価するべきだろう。

浜松エアーパーク

零戦52型。

展示されている零戦:零戦52型。実機のパーツを使用して復元した物。

他の展示物:航空自衛隊関連の物はかなり充実している。

雰囲気:良好。撮影自由。

アクセス:良い方。

静岡県浜松市にある航空自衛隊の史料館。当然自衛隊がメインなのだが、零戦も展示されている。やはり零戦は日本機の顔役なのだろう。

展示されている零戦は復元した実機で、他の実機とは異なり吊り下げ展示されているのが特徴。このおかげであまり近くからは見られないのだが、機体の下面をよく見られるというメリットがある。塗装のクオリティも高い。

無論零戦以外の展示物は充実しており、F-1のカットモデルやF-86F、F-104J、F-4EJ改、T-4、V-107など航空自衛隊の機体がたくさん。歴代ブルーインパルス仕様の機体も勢揃い。機体によってはコクピットに座ることもできる。他には航空自衛隊が使用したレーダーや地対空ミサイル、銃火器やパイロットスーツなどもある。機体展示倉庫からは基地の滑走路が見え、時折離陸する航空機も見られる。正直零戦はほとんどおまけだろう。

アクセスは比較的容易。新幹線で浜松駅に行ってからバスで最寄りバス停へ、そこから1.5kmくらい歩く。その気になれば浜松駅から歩ける距離。バスの本数もそれなりにある。

施設の雰囲気も爽やか。自衛隊の広報館ではあるが、博物館としての色合いがかなり強い。特に自衛隊に興味がなくても楽しめると思う。売店の品揃えは自衛隊物に特化している。お菓子類も何種かあるが、職場に持っていくなら比較的無難な奴を選ぼう。

零戦を見に行く場所として悪くはないだろう。零戦見学のついでに航空自衛隊の機体を色々見られるのもポイントか。

あいち航空ミュージアム

零戦52型の実寸模型。

展示されている零戦:零戦52型の実寸模型。

他の展示物:民間機が多め。ボリューム自体はそれなり。

雰囲気:良好。撮影自由。

アクセス:良好。

愛知県の名古屋空港に隣接する博物館。ここには零戦の実寸模型がある。

零戦の模型は52型をモデルにしている。それらしい汚し塗装もされているが、やっぱり実機との質感の違いは否定できない。先の震電の模型ではそういった点がかなり改善されているのは技術の進歩という事なのだろうか。一応コクピットも覗ける。

零戦以外の展示物は、航空自衛隊で運用されたYS-11やブルーインパルス仕様のT-4が目玉か。他には警視庁の大型ヘリであるロビンソン式R22Betaが珍しいかもしれない。後は民生用のMU-2など三菱の小型旅客機がいくらかある。MRJの胴体のモックアップもあるが、いつか撤去されそう。実機以外だと日本の名機100選と銘打って、日本が製造した航空機の縮尺模型が100種類展示されている。また、愛知空港の滑走路も施設の中から見られる。

施設の雰囲気は悪くない。カジュアル寄りな博物館といった感じ。若干三菱の宣伝施設っぽさもある。売店は正直ショボい。大したお土産も無い。

アクセスは楽な方。名古屋駅から県営名古屋空港までの直通バスがあるのでこれに乗ればいい。

零戦を見に行く場所としては微妙。そもそも模型なのと、博物館自体も今ひとつ面白みに欠ける印象がある。ここに行くくらいならもう少し足を伸ばして各務原まで行こう。
というかここに行った時の記憶がほとんどない。つい最近行ったのに。

総評

自分が行ったことのある施設の中で考えると、以下のようになる。

思想が気にならないなら遊就館。展示物自体は充実してるし、想像より面白くなかったり、気分悪くなったとしても口直しの選択肢が豊富。

とりあえずで行くなら大和ミュージアム。欠点が見当たらない。

とにかく零戦をいっぱい見たいなら河口湖自動車博物館 飛行館。ただし8月限定。

零戦以外、特にジェット機にも興味があるなら浜松エアーパーク

九州にいるなら大刀洗平和記念館

これらの中でも一番初見に向くのは大和ミュージアムだろう。綺麗に仕上がった実機ベースの復元機で、施設の雰囲気が良くて入りやすい。零戦以外にもキャッチーな展示がある上周辺の施設も充実、交通の利便性も高いと良いこと尽くめだ。

今回挙げた場所以外にもまだまだ零戦が展示されている所があるので、気になったら自分の家の近くにないかとりあえず調べてみるのが一番大切かもしれない。近くにあるというのは強烈なモチベーションになり得るからだ。

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