見出し画像

ソーラーシェアリング下での営農記録(2022シーズン)

こんにちは。さがみこファーム・マネージャーの小出です。
今日はソーラーシェアリング下での営農の記録を記載しようと思います。

ソーラーシェアリングについて調べてもらうと色々な事例や記事が出てきますが、ソーラーシェアリングの失敗例として「太陽光発電メインで、営農が疎かになってしまう」という事例が多いようです。

ソーラーシェアリングの第一人者である千葉エコ・エネルギー株式会社代表取締役の馬上さんによると、「ソーラーシェアリングを始めた農家のうちおよそ1割が3年間で自主的に撤退」しているそうです。

下記のグラフは農水省の最新の資料から抜粋です。

出典: 営農型太陽光発電設備設置状況等について (令和元年度末現在)
出典: 営農型太陽光発電設備設置状況等について (令和元年度末現在)

これによると、ソーラーシェアリング農園の12%は営農の支障があり、原因の80%は「営農者起因による単収減」であると報告されています。理想はともかく、実際は遮光下での農業は言うほど簡単ではない、ということです。遮光される上、架台の設置個所は営農できないため、「単収8割」という基準の妥当性も議論も余地はあるでしょう。(令和元年度は「支障あり」の割合が著しく低いですが、統計手法等に起因するものは後ほど修正されるケースもあるようです)

私たちは、ソーラーシェアリングは基本的に「農業もエネルギーも自立した運営を行うこと」が重要だと考えています。さがみこファームは就農3年ですが、もちろんブルーベリー栽培は手を抜いていません。今年は4年生の苗が初めて収穫を迎えたシーズンです。参考までに今年の収穫期を振り返ります。

収量(推定 2022)
 栽培本数:1,100本(うち半数の550本の4年生苗が実稼働)
 栽培種類:33種類
 栽培方法:ポット養液栽培(集中管理)
 総収量:400~500kg(推定)
 一株あたりの収量:0.7~0.9kg 

0.7kgって少なくない?(一般的には1株あたり5kg程度取れるといわれています)と思うかもしれません。
ただ、ブルーベリー5年生から本格的に収穫するというのが一般的です。さがみこベリーガーデンは2年物の苗で2シーズン育てた4年生の苗を今年収穫しましたので、一般的なブルーベリー園より1年ほど早く収穫が可能でした。これはポット養液栽培という栽培手法によるところが大きいです。
来年は株も大きくなり、更に、現在3年生苗(550本)が実稼働に回りますので、収量も倍増する予定です。

枯死数、鳥獣害、病虫害等(2022)
・枯死数:30本
・鳥獣害:ヒヨドリ、スズメによる食害が若干。但し、致命的な影響にはならず。(※鹿などは電柵で防除、鳥よけのネットは張っていない)
・病虫害:コガネムシ、カミキリムシが主。イラガは地域柄あまりなし(※カミキリムシのポット内への侵入は100鉢以上あり。タイタンなど特定の品種に偏りあり)
・生育不良:苗自体の不良に起因するものも?(詳細不明)
・原因不明の突然死:一定数あり

ソーラーシェアリング下の営農での留意点
・多様なパネル環境下での生育の違い:微妙な遮光具合が成長に影響している可能性がある→継続的な調査が必要。
・パネルからの雨だれによる下部への被害:ポット栽培のため、置き場所を工夫するなどをすることにより、問題を回避。

ポット養液栽培特有の注意事項
・養液を注入するドリップピンの外れや配管の詰まり
・トラブルによる断水:真夏の暑さで数日潅水が滞ると枯死してしまうため、こまめなチェックが必要。

まぁ、こんなところでしょうか。
細かくはいろいろとあるのですが、プレオープンの2022年は順調に生育し、お客様に楽しんでいただけたかと思います。

来年はもっとおいしいブルーベリーをもっとたくさん作れるように頑張ります!!ぜひさがみこベリーガーデンに足を運んでください!!

(小出 竜士 20220909)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?