人工甘味料と妊活・不妊治療
妊活・不妊治療では人工甘味料は控えた方が良い?
おそらく「Yes」。
人工甘味料の摂取は妊活・不妊治療の領域では旗色は良くありません。
人工甘味料は砂糖の100~200倍も甘く感じられるにもかかわらず、低カロリーなため、たくさん食品・飲料に使用されています。
天然にはない化合物であるため、安全性に対してはさまざまな議論がありますが、結論は出ていません。
習慣的に人工甘味料を摂取している女性は、摂取していない女性に比べて不妊症のリスクが高くなる報告がこれまでにありました。
近年ですと、台湾からの報告で、ヒトと動物(ラット)についての研究報告があります。
この報告では人工甘味料の摂取において、35歳以下では不妊症のリスクが高まり、ラットの実験では性周期の乱れ、AMHレベルの低下、抗酸化作用の抑制などをもたらしたとしています。
これまでの報告は動物実験によるものがほとんどで、ヒトに関するものは多くなく、あっても信頼度が高くないものが多いため、決定的な判断を下すための根拠が不足しています。
卵巣は「糖」の代謝の影響を受けることがわかっていますので、本来自然には存在しない糖に似た化合物が卵巣の機能や卵胞の発育に影響を与える可能性があることは想像できます。
これまでのヒトでの報告では人工甘味料の実際の摂取量や頻度など詳しいことは調べられていませんし、研究の方法も「後ろ向き研究」という方法で、バイアスの影響を受けやすい調査方法での報告です。
これまでの報告からは、「人工甘味料」がよくなさそう…という印象はありますが「悪い」と結論づけるにはデータが不足しています。
現時点では、人工甘味料は避けることができるのであれば、避けた方が→保さそうですが、量的に食べ過ぎないこと、習慣にしないようにするというのが現時点でのバランスの取れた対策かもしれません。
飲み物については清涼飲料水は糖分や人工甘味料を使用しているものが多いので、水分摂取目的で飲む時は、ミネラルウォーター類、茶系飲料に変えるのが良いと思われます。
また、最近、妊活・不妊治療の以外の分野でその影響についての報道がありました。「カロリーゼロの甘味料、心臓発作や脳卒中リスク増大と関係 米研究」という内容です。
報道の元になったのはこちらの報告です。
砂糖の代替としてステビアなどの甘味料に使われたりすることのある「エリスリトール」という成分と血栓や脳卒中、心臓発作や死亡リスク増大との関係を指摘したものです。
糖尿病など心疾患の危険を伴う基礎疾患がある人は、血中のエリスリトール濃度が高い場合、心臓発作や脳卒中のリスクが2倍になるとしています。
妊活・不妊治療では「血栓」のできやすさも問題になることがあります。
今回の報告は妊活・不妊治療領域の報告ではありませんし、おそらく「エリスリトール」については初めての報告と思われますので、今後長期的な安全性を評価する研究が必要です。
エリスリトールから作られた商品も日本では発売されていますので、妊活中・不妊治療中の方はたくさん使用したり、長期にわたる使用は控えておいた方が良いかもしれません。
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