見出し画像

トニ・クロース 「レーヴに伝える必要はなかった」

トニ・クロースは2日、自身のInstagramを通じて、ドイツ代表を引退することを発表した(ドイツ代表通算106試合出場17ゴール)。

クロースは2010年3月3日の親善試合アルゼンチン戦(●0-1:H)でドイツ代表デビュー。

W杯に3回(2010、2014,2018)、EUROに3回(2012、2016、2020)出場し、2014年W杯では優勝を果たした。

クロースのコメント

― あなたはドイツ代表から引退することを決めた。その決断をしたのはいつ?
「僕を知っている人なら誰でも知っていることだけど、僕は決して感情に基づいて決断したりしない。僕のキャリアの中では、いつもそれでうまくやってきた。しばらく考えたし、決断自体はEUROでの自分のパフォーマンスに関係なく、大会前にすでに決断していた」

― 思い悩んでいた2018年W杯の時と比べて、今日の決断はあなた個人にとってどのような違いがある?
「実は、2018年W杯の後に代表引退することをすでに考えていた。当時、特に息子のレオンが、僕がドイツ代表のユニフォームを着てプレーし続けるのを見たいと言った。ヨギ・レーヴも何度も僕に電話をかけてきて、僕を説得した。彼らがそうしてくれたのは、当時の僕が今のようにはっきりしていなかったからだ。(代表引退という)その決断が100%正しいと思ったことは一度もなかったんだ。もちろん、今回のベスト16敗退という結果は、2018年W杯のグループステージ敗退と同じように満足のいくものではない。当時との違いは、2018年は28歳、今は31歳ということだけど、僕の場合、引退の決断は年齢は問題ではない。今でもそうだ。それよりも気持ちの問題だ。そして今日、それは正しいと感じている」

― ヨギ・レーヴにはすでに引退の意思を伝えたの?
「いいえ、その必要はなかった。まず第一に、彼自身がもう代表チームの一員ではない。しかし、何よりもまず、彼が3月に僕に電話をかけてきて、大会後に代表監督を退任することを事前に個人的に伝えてきた時に、僕はすでに彼に自分の意向を示していた。その時、僕はすでに彼に『同時に辞めることになるかもしれないけど…』と伝えていた」

― ヨギ・レーヴにとって、あなたが今回のEUROまで代表でのプレーを続けたことはどれほど重要だった?
「それが僕にとって重要なポイントだった。もし、スポーツ面で僕のために戦ってくれているという感覚がなかったら、おそらく辞めていただろう。代表チームは家族のようなものだから、簡単には辞められない」

― 31歳という年齢であれば、まだ106試合という出場試合数をもっと伸ばせるはずだ。今、引退する理由は何?
「結論から言うと、実は2つの理由がある。僕は家庭的な男で、14年間のプロ生活を経て、妻や子供たちと過ごす時間を増やしたいと思っている。クラブでの活動に加えて、代表戦で年に何週間も家を空けることになる。妻や子供たちとは、Facetimeやビデオ通話だけではなく、もっと一緒にいたいと思っている。それに加えて、レアル・マドリードの絶対的なトップレベルであと数年はプレーしたいと思っている。今後、休みがあれば、もっとしっかりと充電できると思うし、何よりも充実した時間を過ごせると信じている」

― かつてのレーヴ監督のように、ハンジ・フリック新監督から残留の打診があったらどうする?
「ハンジには計画を立ててもらいたいので、すでにすべてをクリアにしている。EUROの前から連絡を取り合っていたけど、EURO後も僕と一緒に仕事をしたいというシグナルを送ってきていた。彼が(ドイツ代表の)アシスタントコーチをしていた頃からの良好な関係があるので、僕の決断で彼を動揺させたくなかった。だからこそ、公にする前に彼にこの情報を伝えたかったんだ。つまり、ハンジはすべてを知っているんだ。もちろん、オリヴァー・ビアホフも同じだ」

― ドイツ代表での個人的なベストシーンは?
「106試合も代表戦に出場しているので、それを言うのは難しいね。タイトルを獲得したW杯決勝を挙げるのが筋だろう。確かに世界王者になることは、サッカー選手にとって最高のことだ。それでも、今振り返って言わせてもらうと、ドイツ代表として活躍していた頃は、代表戦が当たり前だと思っていたこともあった。僕にとってドイツ代表としてプレーすることは、単なる一部だったんだ。とはいえ、毎回、いや実際には106試合すべてで、自分の国の代表としてプレーすることは、僕にとって特別なことだった。特にドイツでは、他の国よりも僕たち代表選手を批判的に見ている人が多いことも知っている」

― 最も苦い敗北は?
「1つ選ぶとしたら、2016年のEURO準決勝のフランス戦だ。あの時は、欧州王者になれる可能性が一番高いと感じていた。フランス戦では、前半は明らかに自分たちの方が勝っていたのに、後半はPKの影響もあって負けてしまった。ポルトガルとの決勝に進出していたら、僕たちは多くのことが可能だっただろう。振り返ってみると、タイトル獲得のチャンスを失ったことは、非常に苦い経験だったと言わざるを得ない」

― 今回のEUROでは、タイトル獲得の可能性はどのくらいあった?
「今回のEUROでは、それ以上のものがあった。イングランド戦でも、1-0で勝つことができた。トーナメント表を見れば、僕たちが決勝に進出できたことがわかる。僕たちには欧州チャンピオンになるためのクオリティがあった。その一方で、前進するための何かがまだ足りなかったという事実もある。それでも、僕の引退時期に関しては、スポーツ面で単純に状況が悪かった2018年の時よりも、今の方が良いと感じている。今回、僕は鏡を見て言うことができる。『僕はすべてをやったし、僕はすべてを試した』とね」

― あなたはノイアーと並んで、レーヴ監督のチームで最も重要な役割を果たしていた。主力選手たちは、3バックという問題のある戦術を変えるように、レーヴ監督にもっと影響を与えられなかったことを非難すべき?
「結局のところ、僕たちはこのシステムでもっと良いプレーができたし、もっと成功できたと思う。監督は現在、このフォーメーションに取り組んでおり、どのシステムにもメリットとデメリットがあると正しく語っている。監督は決断を下す、それで終わりだ。もちろん、どの選手も自分の意見を持っている」

― このシステムに違和感はなかった?
「僕のポジションはそれほど変わっていない。しかし、ギュンドアンが僕の隣でプレーするか、レアル・マドリードのカゼミーロのような6番(守備的MF)のキミッヒが隣でプレーするかは、もちろん僕にとって違いがある。今回のEUROの場合は、結果的に通常よりも守備的な仕事が少し多くなった。典型的な6番がいないことで、僕にとっては別のアプローチ、別のゲームになる。しかし、僕が適応する準備ができていたことが分かってもらえたと思う」

― キミッヒが右WBという不慣れなポジションに不満を持っていたことを理解している?
「彼は僕のように成功を何よりも優先し、それを達成するためにチームのために身を粉にして働くタイプだ。今回のEUROでもそうだったし、バイエルンでは以前、2020年のチャンピオンズリーグ優勝時にも右SBの役割で成功している。中盤でプレーするのが好きだと、彼ははっきりと言っている。しかし、11人の選手それぞれがシステムの中で絶対的に好きなポジションでプレーするのは難しいだろう。常に何か不満があるものだ」

― チャンピオンズリーグで4回優勝したトニ・クロースのいないドイツ代表の中盤の将来をどう見ている?
「ドイツ代表の中盤にクオリティの問題が出てくるとは心配していない。例えばキミッヒのように、将来的に中盤を引き継ぐことができる他の選手が今は十分にいる」

― 2014年のW杯で優勝した時のメンバーであるトーマス・ミュラーとマッツ・フンメルスを復帰させたのは正しい判断だった?
「僕にとって、トーマスとマッツを戻したのは間違いなく正しい判断だった。彼らのプレー時間がそれを証明しているし、大会で明確な役割を果たしてくれた。しかし、彼らの復帰が自動的にタイトルを保証するものではないことは、誰もが事前に知っていたことだ」

― あなたとレアル・マドリードとの契約は2023年まで残っている。あなたの代表引退は、クラブでの将来にとってどのような意味がある?
「2023年というタイミングは非常に良く、意図的に選ばれたものだと思う。その時には僕は33歳になっている。その後、もう1年か2年、契約を延長するかどうかを、じっくりと一緒に決めることができる。僕にとって、それはまだ完全にオープンだ。でも、レアル・マドリードでキャリアを終えると確信している」

― ドイツでは批判的な見方をされることが多く、『Querpass-Toni』というニックネームで呼ばれることもあったが、海外ではあなたのプレーはとても高く評価されている。それをどう感じた?
「ドイツでは一概には言えないけど、確かに僕のプレーを評価してくれるファンはたくさんいる。しかし、11年間の代表生活の中で、僕のプレーをよく理解していない人がいるのではないかと感じることもあった。一方、スペインでは、僕がレアル・マドリードで初めてプレーした時からそうだったけど、それは7年経っても変わらない。言ってみれば、ドイツでは賛否両論あっても、世界では認められている方がいいんだ」

― ドイツ代表のトニ・クロースを、ファンの皆にどのように覚えてもらいたい?
「ドイツ代表のトニ・クロースについて、『シンプルに美しいサッカーをしていたから、彼を見るのが好きだった』と言われたら嬉しいね。成功したかどうかに関わらず、それだけで十分だよ」


出典:7月3日、Bild

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?