巡る。
化かし合い、潰し合い、
読み合って、黙り合っていた。
そこには本当は何もなかったかもしれない。
何もないことに大人達が怯えていた。
ついに因縁の決着がついた。
僕は家に帰るまで泣かなかった。
悔しいことばかりだったけど、
もう越えた。もう、済んだことになった。
真面目で、誠実で、正義感があって、
そして何よりも強くて、
そんなプロレスラーを観てきたからかなと、
プロレスという教科書に感謝した。
手が震えている。
興奮じゃなくて、たぶん本当は怖かった。
不安定で、脆くて、いつも自信がない。
でも、心の中に大木を眠らせているような、
そんな考えを自覚している。
ずっと黙ってた。
本当は死ぬほど悔しかった。
プロレスを観てきて良かった。
また強くなれる。この世界でやれる。
逆境で力を発揮できたのは、
たぶんプロレスが好きだったからだ。
これからもプロレスを観る。
「転職なんてユニフォームが変わるぐらいで、俺はどこに行っても俺でしかないからね」
格好つけて、可愛らしい女の子に言おうと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?