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3月14日 その1

 日帰りで京都に行ってきた。観光ではないけれど、首尾よく用事が終わったら個人書店に行く予定。スマートEXという仕組みのおかげで事前にアプリで席指定まで予約できるし、PASMOに紐づけておくとチケットも必要ない。すごい時代だよなあ。多分、私が知らない「便利なこと」は他にもいろいろあるんだろうな。
 そういえば、PayPayで支払うとかも、友人たちは易々と乗り越えているけれど、私は「カード決済」というのが苦手で、大きい金額のものを買うときのカード決済が関の山だ。「お財布携帯」とか、その世界の便利さを知らない。「入ったお金」と「出て行ったお金」と「残ったお金」で暮らしている。「今キャベツを買ったけど、お金は来月出ていく」を管理するのがとても苦手。それに、「買ったけど支払ってないモノ」を使う時なんだか気が引ける。使うけど。
 7時までにベランダの水やりと朝掃除と洗濯を済ませ、猫のお皿に今日の3回分の餌をまとめて入れた。お茶を飲みながら、いつもは取り掛かりが遅くって8時とか在宅日は9時くらいまでかかる朝仕事もこういうふうにテキパキやるとできるんだなあと自分に感心するけれど、続けることはできないだろうな。「やればできる」ということは覚えておこう。
 新幹線で読む本二冊。行きはずっと寝てた。京都での移動はバスの予定だったが乗るバスを間違えて、待ち合わせの時間に遅れる可能性が出てきてタクシーに変更。私には贅沢なこと。反省。
 運転手さんに目的地を伝える。京都は盆地で中心部から周辺に向かって緩やかに上り坂になっている。多分目印となるであろう大きな道を伝え、その道より中心部に近い方で平行に走る細い道沿いに目的地はある。そこで、
私「〇〇通りを1本下がった細い道の△△寺の近くまで行ってください。」
運転手さん「どこ下がるんですか。(京都弁)」
私「坂の上にある〇〇通りから並行している細い道の方にくだってください。」
運転手さん「下がりますか?(京都弁)」
運転手さんと私は、上記の会話を3回くらい繰り返す。

私(どう考えたって細い道の方が坂の下だよーと心で呟きながら)地図アプリで場所を指す。
運転手さん「あーここですか。わかりました。(京都弁)」
約束の時間に間に合うように目的地に着いた。

 帰りの新幹線で「はっ」と気がつく。京都では坂を上る・下るではなくって、御所に向かって上る・下がるなんだ。つまり、細い通りは、大通りから「上がった」ところってことなのかもな。修学旅行でバスガイドさんが説明してたことを半世紀近く経って初めて実感。なるほどー!
 一方で、もしかしたら、京都特有のお上りさんイジリ仕草かもしれない、とスレた私が解釈しそうになる。
 でも、御所に向かって上る・下るという身体性を持って暮らしていた時代があったのだということを思い出させてくれたのも事実。政治的とか思想的な主張を持っているわけではない。人間が社会的な生き物だということを再認識したのだ。京都の運転手さんは観光地まで連れて行ってくれるだけでなく「京が都だった頃の社会と身体」をお上りさんにリロードする役割を担っている。そんな気がした。
 うちなる京都人が「京都は今でも都。東京は『東の』という説明が必要な都」と囁く。

京都市内交通費:4040円・昼ごはんカレー1300円・夜ご飯カレー                                                                                                                                    1420円行きたかったカレー屋さん二軒。本屋さん日記はまた。

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