見出し画像

女性のキャリア構築支援に重要な視点とは?~1on1をメンタリングの場として活用するために必要なマインドとスキル

池原 真佐子さんが2023年3月に出版された、『女性部下や後輩をもつ人のための1on1の教科書』について感想をまとめました!(出版から、すっごい時間がかかっちゃった)。

<https://onl.bz/qz1V9Wk>

女性のキャリア構築をサポートする際、定例の1on1をメンタリングの場として活用するために、すぐに使える実践的な問いかけやワークシートがたくさん含まれており、学びが多かったです!

女性を部下に持たれている方は、早めに目を通しておくと、ご自身のマネジメントや人材育成のアプローチについて向き合う際、少し肩の力が抜けて、呼吸が楽になるのではと思います。

ちょっと五月雨になりますが、以下、自分が特に学びになった点をピックアップしてみます!

▽▽▽

本書では、

メンタリングを、「指示命令/ 評価対象としての関係性ではなく、経験豊かで成熟した先輩が、次世代の人に対し、キャリアの発達や心理的・社会的成長をう案が須ために実施する対話」(南山大学 久村恵子先生)ととらえ、

Mentor Forさんが独自に編み出したメンタリングスキルとして、

①信頼関係を構築し・傾聴と問いかけで思考を深めるディープ・カンバセーション(深い対話)スキル
②メンターが経験に基づいた助言を行う、アドバイス・スキル
③ネクストアクションに繋げていくための、クロージング・スキル

の重要性を挙げています。

そして、1on1における、メンターの役割としては、

①キャリア支援
②ロールモデル、もしくはパーツモデルの提示
③エンパワーメント(励まし、勇気づけ)

の3つを挙げています。

問いかけを通じて、内省を促すコーチングももちろん重要です。ただ、企業での1on1の実践の場面では、同じ社内の先輩社員が支援する側になります。"武勇伝語り"になることは避けつつも(本書でも「教訓化」の重要性が強調されています)、豊かな経験を適宜伝えることで(アドバイス・スキル)、支援を受ける側の視野が広がるとともに、ロール(パーツ)モデルとして、具体的なマインドセットや行動の具体例を学べるというのも、とっても大事な"成長促進資源"なのだなと思います。外部支援者という立場で、私はコーチングをしていますが、"自社内での業務経験"というリソースは活用しきれていないな~と感じました。

また、1on1を単なる業務進捗の場にするのではなく、大きなゴールを最初に握る、「ワーク(仕事・タスク)」「ライフ(ライフイベント・他者との関係性・役割など)」「セルフ(自分一人の時間・個としてのありたい姿)」の3つの円の重なりを扱うという視点も、大事なフレームワークだなと思います。目の前の業務だけではなく、一人のビジネスパーソンとして、"全人的な成長"にどう向き合っていくか? そんなことについて、メンターに寄り添ってもらいながら深めていける時間はとってもありがたいなと。

正直、メンター自身も最初の段階では、それぞれの3つの円について、自分自身のキャリアに関する具体的なイメージを持っているかというと必ずしもみなさんそうではない気がします。メンターとメンティーの関係性はある意味"鏡"みたいなものですので、事前の1on1に向けての準備や、問いかけがブーメランのように自分に返ってきて、メンター自身の内省も進むなと。相手の成長を支援することは、実は、自分自身の成長を支援してもらっていることに繋がるのかもしれません。

後は、1on1の中で、「ライフ」を扱う際に、どのようなスタンスでプライベートへの問いかけをしていくのか?についても、大きな示唆がありました。「興味本位で聞かない」「何のためににそれを聞くのかを明確にする」「話したくないのなら話さなくてもいい」という3つの条件を満たすことが大事だよと。真面目なマネジャーの方ほど、部下に嫌な想いをさせまい、ハラスメントはさけなければと、自縄自縛的になってしまって、何も話せないというマインドになってしまかなと。それだと、豊かな対話の機会が失われもったいないですよね。メンティーとコミュニケーションする上で、こうした一つの指針や線引きを提起してもらい、意識しておけると、話やすくなるなと思います。

最後に、組織内における女性活躍の問題を考える上で、「『人口の半数、就業人口の半分近くいる女性が、役職が上がるにつれて極端に少ない』という事実の裏に、無意識バイアスや組織のあり方など、さまざまな課題が複雑に絡み合っているのです」という、構造が生み出す問題に対する視座の重要性を感じました。一人ひとりのメンバーの状況に寄り添いつつも、特定のグループが共有している(向き合わざるを得ない)問題については、構造に働きかけていく必要があるなと。

そうした、構造の改善に取り組み、その具体的な方法を経験値として組織内に蓄積していくことは、周縁に追いやられているの他のグループが、組織の中でパワーを高めていく際にも、活かしていける知見になるなと思いました。

▽▽▽

企業管理職向けに延べ650人、累計3,000時間のセッションという、たくさんの現場実践を重ね、学術的な学びも大切にされている、池原さん/ Mentor Forさんだからこそ、執筆できた書籍だなと感じました。女性を部下に持たれている方や、組織の中で、女性活躍に関する問題の構造的な解決に取り組もうとされている方は、得られるものが多いと思います!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?