皇室の行方(皇位継承問題とは)

 どうも!前回皇室とはどういう存在なのか、天皇についての役割について書きましたが、現在の皇室で大きな問題となっているのが皇位継承です。今回の記事では皇位継承で現在議論されている解決策や問題点について、まとめていきたいと思います。

【皇位継承という大きな問題】

 まず皇位継承問題のおさらいです。現在天皇という地位を継げるのは男性皇族方のみです。皇位継承順位でまず秋篠宮文仁皇嗣殿下が最初に継ぐことになり、次に秋篠宮悠仁親王殿下、最後に常陸宮正仁親王殿下という順番になります。ちなみに常陸宮正仁親王殿下は85歳と高齢になられており、現実的にお二人しかいない状況です。

 現在この状況を打破するために考えられる方策としていくつか練られていますが、今年7月26日に行われた政府の皇位継承策に関する有識者会議では皇族確保の策について「旧宮家の男系男子子孫と現皇族の養子縁組」と「女性皇族の婚姻後の皇籍維持」この2案で中間整理することになりました。

 事実上この2案を基軸とし皇位継承を進めていく形になると考えられます。実際にこの2案はどういったものなのか紹介していきます

1.旧宮家の男系男子子孫と現皇族の養子縁組

 まず旧宮家とは1947年10月14日まで皇籍に属していた方々で11家51名、以降は一般国民として生活しています。旧宮家の方々は血筋をたどっていくと南北朝時代の北朝方・崇光天皇(1334~1398)に繋がり、現在の皇室メンバーと共通の祖先に当たります。その子孫にあたる男性方々に現宮家と養子縁組をし、皇籍に入り、当人もしくはその男性子孫に皇位を継承する策です。

 問題として皇室典範(皇室の規定について定めた法律)上、皇族は養子を取ることができません。この場合は皇室典範の改正を行えば法律上の問題はクリアになります。しかし該当者の方たちが皇籍復帰を固辞した場合、どうするかです。強制的に復帰を促すようなことがあれば世論の反発もありえます。もし全員が固辞した場合、さらに遡り共通する祖先をもつ子孫を候補にあげることも視野にいれることも考えなければなりません。

 ちなみに1600年ほど前にも皇統断絶の危機がありました。古事記・日本書紀の総称で「記紀」と呼ばれますが、記紀では第25代武烈天皇が崩御された際、子供がおらず親類にも男系皇族がいなく、継承ができない状態でした。そのため第15代応神天皇の子孫であるオホド王(おほどのおおきみ)を次期天皇として擁立しました。オホド王は第24代仁賢天皇の皇女である手白香皇女(たしらかのひめこ)と結婚、皇室に婿入りし、オホド王は第26代継体天皇として即位しました。このような形で継承させた歴史もあります。

 このような形が現代でできるかは未知数なところがあります。ではもう一つの案はどのようなものでしょうか。

2.女性皇族の婚姻後の皇籍維持 

 女性皇族が結婚後も皇室に残ることいわゆる女性宮家も検討されました。この女性宮家は皇室公務を安定的に継続できるようにするために編み出された案でもあります。またその先にあるのは女性天皇や女系天皇の誕生です。

 歴史的に見ると女性天皇は8人10代います。この8人は全員男系女子です。つまり女性天皇は前例を踏襲すれば可能ではないかと思います。

 しかしここで問題になるのはこの8人は未婚もしくは皇室内の男子と結婚されています。もしこの前例を踏襲することとなれば、もれなく独身を貫くことが必要になってしまいます。また結婚された場合、配偶者やその子供はどのような位置づけをすればいいのかという問題が発生します。
 現状では女性宮家が作られた場合配偶者およびその子供は皇室メンバーとみなさないとしています。おそらく既婚の女性天皇が即位された場合、その子供は皇位が継承されないと考えられます。

 もし男系女性天皇が可能であったとしても皇室メンバー全員女性になった場合、その後継者がいなくなります。この場合女系天皇も視野に入れなければならないと思います。もしこのときが来れば日本の皇室は大きな転換点を迎えます。女系天皇はこれまでの男系で続いてきた血筋が途絶えてしまうことになり、新たな歴史が始まることになります。ここまで来ると価値観の問題になります。

 現在考えられている2案にはこのような問題がはらんでいます。しかしこの問題はいつか決断しなければならないときがきます。もしこの問題を先延ばしにし続けると未来の皇室・日本国民にたいして禍根を残してしまいます。

 次回は思考実験になりますが、もし「皇室」がなくなったらどうなってしまうのか。それを考えていきたいと思います。

 今日はこの辺で。駄文を読んでいただきありがとうございました。

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